【ノルウェーのナショナルデーにあってデンマーク、スウェーデンにないもの】
こんにちは、来年のコペンハーゲンマラソンに出場(2度目)しようかと密かに企んでいる松木蓮です(次は3時間半切るぞ!!)。最近北欧諸国ではナショナルデーを立て続けに迎えています。
ノルウェーは先月の5月17日、デンマークは昨日6月5日、スウェーデンは今日6月6日です。ちなみに、アイスランドは6月17日で、フィンランドは12月6日です。フィンランドは独立記念日なので、ナショナルデーとは若干文脈が異なるかもしれませんが、同列のものと考えます。
今日は特にノルウェー、デンマーク、スウェーデンのナショナルデーに焦点を当てます(いずれもスカンジナビアの国なので)。僕が疑問に思ったのは、この3国でナショナルデーの祝い方が全く違うということです。兄弟のような関係でありながら、これでもかというくらいに違った捉え方をしているのがすごく興味深いです。
まずはノルウェー。先日イベントがあったのですが、正直あれほど盛り上がるものだとは思っていませんでした。一歩外へ出れば、老若男女問わず伝統的な民族衣装を着ている人が沢山いました。みんなノルウェーの国旗を振りながら街を歩くマーチングバンドを笑顔で見守っていたのが印象的です。街の酒場では人でごった返していました。
以前のブログでも書いた気がするのですが、ノルウェーに来て一番街が湧いた日です。コロナでの自粛期間を経ての盛り上がりとも考えれるけど、例年のような大きなイベントはキャンセルになっているので、プラマイゼロかむしろマイナスの盛り上がりだったと思います。
一方で、デンマーク。ノルウェーの盛り上がりを受けて、デンマークではどうなんだろうとSNSなどをみていると、ほとんど言及すらされていなかったと思います。デンマーク大使館でさえも。それほどに重要視されていない日のようです。
事実、昨日デンマークの大学のコーディネーター(僕はカリキュラム上、次のセメスターからデンマークに移動する)とZoomでミーティングがあったのですが、彼もナショナルデーについて全く触れていませんでした。ノルウェー側のコーディネーターから「今日はデンマークのナショナルデーだよね」と切り出したくらい。それに対して、「デンマークではほとんど祝われないんだよね。というか今日はデンマークでは父の日だよ」とさえ言っていました。
そして今日はスウェーデンのナショナルデー。デンマークとは違ってスウェーデン大使館は盛大にPRしていました。2年前くらいのナショナルデーにスウェーデン大使館のイベントに参加したのですが、結構盛り上がっていました(でも、ちょうどあの時は現国王カール16世グスタフ夫妻が来日していたということもあったのかもしれない)。
でも、僕がルンドにいた時ナショナルデーが盛大に祝われていたかというとその記憶が全くないんです。旅行中だったのかもしれませんが、そんなに大々的に祝われていなかった気がします。むしろスウェーデンは数週間後に控えたミッドサマー(夏至祭)でめちゃめちゃ盛り上がるので、この日に備えているとさえ思っています。
さて。
ノルウェー、デンマーク、スウェーデンでこれほどに違いが生まれるのはなぜだろうかと考えました。きっとこれは間違いなく「歴史」が関わっていると思います。
ナショナルデーはいわば国が1つになる日だと思うのですが、その日に1つになる理由があるのがノルウェーで、特別ないのがデンマークとスウェーデンです。
ノルウェーの歴史をみると劣勢であることが多いです。ざっくりいうと、デンマークとスウェーデンの統治下にあった。このおかげで、ノルウェー語のライティングがデンマーク語に近くて、スピーキングがスウェーデン語に近いと考えられます。そんなかんやで独立したのは1905年です。
他国の統治下にあった歴史が長かった分、独立を勝ち取ったことが国民を1つにしているのだと思います。
デンマークは歴史的に優勢なことが多かったです。もちろん第二次世界大戦では早々にナチスに占領されていたと思うのですが、もっと前を見ると例えば1397年のカルマル同盟(スウェーデン、デンマーク、ノルウェー)でデンマーク女王マルグレーテが実験を握りました。それなりに強い国でした。
スウェーデンのナショナルデーに関しては1523年6月6日にかの有名なグスタフヴァーサが国王に就いたことに起因しているようなのですが、ナショナルデーとして制定されたのは1983年のことです。めちゃめちゃ最近のことですよね。スウェーデンも同じように北ヨーロッパの強国として繁栄した時代背景があります(フィンランドを占領していた時代だってあるので)。
まとめると、ノルウェーは独立を勝ち取ったということに由来する結束のようなものが国民にあり(語り継がれているのかな?)、一方で歴史的に強国であったデンマークとスウェーデンはそうした経験が(ほぼ)ない。
きっとこうした歴史的背景がナショナルデーに色濃く反映されているんだと思います。
フィンランドも同じ理由でナショナルデー(Independence Dayといった方がいいのかな?)が祝われていると思います。7世紀に渡って侵略に耐え(Sisu?)、ようやく「自由」を獲得したことで国民としての結束は他の国よりも強くなっているのかなと思います(アイスランドはよくわかりません。勉強しなきゃ!)。
考えてみれば、アメリカなんてその最たるもので、日本人でも7月4日がアメリカの独立記念日だと知っている人は沢山いると思います。大国アメリカも歴史をみればイギリスから独立を果たしたという背景があります。一方で、イギリスやフランスのナショナルデーってほとんど耳にしたことがありません(え、ないよね?)。
日本も同じですね。一応それに当たる建国記念日は2月11日ですが街で大きなイベントが催されているかというと多分そんなことはないと思います。都営バスの先っちょで日の丸がなびいているのを見かけますが、、きっとその時期はチョコレート作りに励む女の子と、それをもらえるかソワソワする男子がいるだけです。
似たような文脈で語られる国であっても、歴史の角度からみると全く違う見え方ができるなと思います。つくづく歴史を知る重要性を感じますね。
今日も素敵な1日を!!
PS. いつの日にか書くといったフィンランドの歴史の記事を今書いています。あと数日でアップできると思います。
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