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明日はどこへ行こう

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明日はどこへ行こう
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「そらをとぶ」
小学校のとき一時期異常にハマっていたポケモン。その中に「そらをとぶ」という技がある。もちろん対戦にときに使える技だ。それだけでなくて、「そらをとぶ」を覚えている仲間がいると、離れた街までひとっ飛びすることができる。すごく画期的な技だ。僕はこの技が好きで、その技を早く欲しくてRPGを進めていた。

それまでは歩いて移動するのが当たり前だったけど、これからは今すぐにでも違う街にいける。二次元の中での小さな一歩に胸を踊らせていたのが懐かしい。思えば、中学生になってから実社会でまさに同じようなことを感じた。中学生のときバスケ部だった僕は、週末になると地元の少し離れた中学校まで練習試合に行くことがあった。その移動手段はバス。名ばかりのキャプテンだった僕は、パソコンでルートを調べて印刷して行った。その紙を握りしめてチームメイトを引っ張る。懐かしいな。時々、区を跨いでプチ遠征に行くこともあったけど、その時はもっとドキドキ。電車なんて滅多に乗らないから、不安にかられながらも顧問の先生に言われた通りに目的地まで向かう。

高校に上がったときもそうだったな。背伸びをして少し都会の方へ足を伸ばしたかった僕は、新宿区にある高校に進学した。通学定期を買ってもらって、自信ありげに改札をピッと通る。通学区間内だったら乗り放題。ビジネスの中心地である大手町が大好きで、事あるごとに途中下車して、働く大人たちに憧れていた。お小遣いをケチって使いたくなかった僕は、部活終わりに疲れた足を前へ動かして大都会新宿まで歩いたこともあった。

移動範囲が広がるとそこには真新しい新鮮な世界が広がっていて、ワクワクする。大学に入ってからは自分でお金を稼ぐようになって、台湾であったり、マレーシアにまで足を伸ばしたりもしていたな。スウェーデンに留学したときなんかは、奨学金を使って、色んな非日常を経験した。国ごとに吸える空気が違くて、それを僕たちは文化と呼ぶ。そういう違いを楽しむのがすごく好きだ。

そしていま僕は、日本から飛行機で12時間、ノルウェーの小さな街スタヴァンゲルにいる。2ヶ月間生活をしていて家の周りであったり、中心部の栄えている観光地なんかは少しわかるようになってきた。ノルウェーはフィヨルドが有名なくらいだから、すごく山々していてゴツゴツしている地形が特徴的だ。だから交通網が少し不便で、電車を見ることはほとんどない。バスか車、それか歩き。これがほとんど。北欧で流行っている電動版キックボード(正式名称は不明)に乗って、スーーーっと軽やかに移動する人もよく見かける。車なんか持っていない僕は基本的に歩きかバス。大学の近くに住んでいるから毎日歩き。中心部に出るときだけたまにバスに乗る。ほんとならもっと足を伸ばして色んなところに行きたいところだけど、運賃が意外に高い。だからこれまで渋っていた。

でも、そんな僕は新しい移動手段を手に入れた。バスだ。僕はこの時を心待ちにしていた。「何言ってんだよ、運賃かかるだろ。」「そうそう、運賃はかかる。だけど、もう払わなくてよくなった。」

スタヴァンゲルでは学生はバス代がかからない。自治体が代わりに払ってくれるみたい。僕はもうノルウェーに頭があがらない。無料で勉強させてもらって、おまけにバスに乗り放題。至れり尽くせりだ。将来はノルウェーに恩返しがしたい。そう切に思う。

スタヴァンゲルに来て2ヶ月にしてやっと手にしたバス無料チケット(実際はアプリのQRコードをかざすだけ)。申請の手続きがすごく大変で、まず移民局に行って、書類が届くのを待って、次は税務署に行って、、順番通りにやらなきゃいけなくてなかなか時間がかかる。それに僕の場合は、最初で躓いて移民局からの書類がなかなか届かなかった。これは、僕の書き間違いか事務員の写し間違いかで登録した部屋番号と実際の部屋番号が微妙に一致していなくて、僕の元に届いていなかった。奇跡的にその書類が届いた郵送先の天使のような女性が連絡をくれて、ようやく手元に届いた。そして、やっとフリーバスチケットを使えるようになった。

「そらをとぶ」を使えるようになったあの時と同じ心境だ。背伸びして入った高校で、大手町をぶらぶらした時と同じくらいドキドキしている。いつだって違うところへ行ける。あそこには何があるんだろう。そう考えるだけで、すごくワクワクする。

明日はどこへ行こう

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今日の一枚。今日はそらをとぶから始めてみたからノルウェーに来たときの飛行機の写真にしようかと思ったけど、前のブログで使用済み。写真フォルダを見返していたらこんな写真を発見。機内から撮った一枚。これはiPhoneで撮ったやつかな。いまこうして見返してもあのときの感情が昨日のことのように思い返される。

金曜日ですね!華金!今日も頑張ります!!

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