プレゼントの体験価値を作りたい
こんにちは。
明日から町のウェルネス施設が再開するようで、ようやくサウナに入れる喜びとウキウキでいてもたってもいられない松木蓮です。
#ヤバイ嬉しすぎる !
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(3403文字 / 約7分で読めます)
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さて、今日は「体験価値」について考えていることを言語化してみようと思います。デザインのド素人の戯言と捉えていただければと思います。
▼服屋さんになるのかもしれない
僕は現在日本にいる友達と3人でアパレルブランド立ち上げ準備中です。ターゲット層としては20〜30年代のカップル層です。
カップルコーデのアップデートと言ってしまったら格好が付きすぎますが、例えばミッキー&ミニーのプリントシャツを2人で着ていたら、「えぇ、、」となるじゃないですか。いや、でも正確には僕はこの辺はその人たちが楽しんでいれば全然良いと思うタイプなのであまり気にはならなかったのですが、それをじゃあ僕ができるかというとそうではなかったり。
ミッキー&ミニー(あくまでも例です)はちょっと、、という人にもカップルの繋がりを感じられる服(Tシャツ)があれば良いじゃん?という話から始まり、声をかけてくれて僕はそれにジョインすることに。
カップルの繋がりは時計やアクセサリーで感じられるし、それこそ客観的に見て「あの人たちペアルックしてる」とわからないような上品な合わせ方の方が好まれるんじゃないかなぁという風にも思うんですね。この辺はやってみなきゃわからないかも。
というわけで、僕はこのプロジェクトにデザイン担当という枠であれやこれやと進めています。これまでやってきたこととして、フォント選定、ロゴ制作、Tシャツデザインがあります。
で、今やっているのが梱包デザインです。ここが今日の本題です。
▼CHANELの箱を開ける多幸感
カップルをターゲット層としているため、購入のされ方はプレゼント・ギフトの形が多いんじゃないかなと思います。一緒に買おっかとなるかもしれませんが。で、そのプレゼントの体験価値をどうやってデザインするかが僕が今考えているところです。
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ブランド品の財布やカバンを買った時、シックな黒の紙袋の中に入った小さな箱。リボンまで丁寧に設えていて、ひとたまそのマジックボックスに光をかざそうものなら、光沢のあるブランドロゴが余計に輝き出します。
箱を開けると何が出てくるかと思いきや、まず現れたのが薄くて黒い紙。丁寧にシールが貼られいて、これをまた丁寧に剥がしてあげると、ようやく例の物とご対面。
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つまり、単に梱包されている箱を開けてすぐに中身がわかってしまったら結構味気ないなと感じると思います。
先ほどの月並みの開封風景の描写にはいくつか体験価値のデザインが練りこまれていると思っています。まずは、色。ブランドカラーがあるでしょうからここは一概には言えないところですが、「黒」は高級感を演出する作用があり、アクセサリーなどには向いています(ダイヤとかが使われているなら黒背景の方が映えるので)。
それから、ロゴの光沢。これも一概には言えないところですが、落ち着いた箱の素材の中央にちょこんとプリントされたブランドロゴ(この「ちょこん」も重要)。その文字がキラキラと光っていたら、なんだか良いものをもらっているような感覚になると思います。
そして、黒い紙。箱を開けたかと思えば、すぐにはお目当ての物は出てきません。黒い紙一枚を隔てて、それを丁寧に開けてようやくご対面。ここでは、いわゆる「焦らし」が使われているんだと思います。もちろん素材を守るために紙やケースにしまわれていることもあると思いますが。
そんなわけで、どうすれば良い体験価値を提供できるのかを唸りながら考えている最近です。
少し考えても全く浮かばなかったので、とりあえず「開封動画」を見まくり、そして、本を読んでいます。
▼体験価値の法則
YouTubeにて開封動画を色々と見ていて、結果としてはそもそも箱を開けたときの映像が画面に写っていなかったりするので、あんまりよくわからないというのが正直なところなのですが、やっぱりある程度の法則性はありそうだなと思います。それってブランド品だからジャン!と言われるとまさにそうだと思うのですが、その梱包デザインも込みでブランド演出だと思うので、そこは侮れません(と僕は思います)。
ちなみに、開封動画を沢山見ていく中での発見としては、衣類の梱包にビニールやプラスティックが異様に使われていること。開けてしまっては次の目的地はゴミ箱でしかないので、ここは勿体ない、というか環境配慮も含めて改善できるところなのかなと思います(素材によってはビニールの方が痛みにくいとかはあるかと思いますが)。
ただでさえアパレルって大量破棄が問題視されていて、他にも様々な問題を抱えているのですが、トドメと言わんばかりのビニール梱包はなかなか厳しいなと思いました。
そして、開封動画に加えて教材として勉強しているのが、こちらの一冊です。元任天堂社員の方が書かれた本で、世界一売れたゲームであるスーパーマリオにはどんな体験価値が仕組まれているのか、などが事細かに書かれていてとても勉強になります(本当に面白い!)。
ゲームとアパレルって親和性よくないよね?というのはまさにそうだと思うのですが、「体験」という点からすると同じです。
で、先ほどの開封動画と合わせて僕は炙り出した体験価値創造の法則(というかキーワード)はこんな感じ。
・不便益
・アフォーダンス
・焦らし
・裏切り
です。「不便益」は言葉の説明からした方が良いと思うのですが、「不便 益」と分けられます。くれぐれも「不 便益」ではありません。要するに不便益とは、不便なことがもたらすメリットです。山頂からの景色が素晴らしいことは誰もが知っていて感動できますが、それは山頂まで自分の足で登ったからに他なりません。ヘリコプターで山頂まで行ってしまったらその感動は生まれないでしょう。時間をかけて自分でいく、という不便さが作り出したものと言えるでしょう。
「アフォーダンス」も聞き慣れないと思うので、少し説明しますが、物事に与えられた「意味」です。これでもよくわからないと思うのですが、例えば、ロウソクってあるじゃないですか。あれのアフォーダンスは「静かにして」です。周りを静かにさせたいのであれば、LEDの電球を弱くするより、ロウソクの灯火を利用すると良い、みたいな感じです。
先ほどの本に書かれていたスーパーマリオの話で出てきたアフォーダンスでいうと、マリオのキャラ設定がびっくりするくらい巧妙にできているんです。
初めてスーパーマリオを体験する人に楽しんでもらうには、「こうやって操作するのかな?」と自発的に仮説を立てさせて、それを実際にやってみる。それで、その通りだったら、「やった。あってた!」と歓喜に変わり、ゲームを進めていく、という体験デザインがあります。
で、元祖スーパーマリオといっても当時の技術力ですから、画面のピクセル数も荒く、そもそもキャラクターを描くということも難しかったはずです。そんな時に、そのキャラクターの向きを体験者に理解させるために、「帽子」と「髭」を使って方向を暗に示しました。キャラ配置も左端にして、顔も右に向いていることから、「右に進んでねぇ〜!」というのをビジュアルで説明。
こんな細かなデザインが随所に散りばめられているのがスーパーマリオです。そりゃ世界一売れたゲームソフトです。こんな具合で、物に意味を付与することをアフォーダンスと言います。
そして、「焦らし」。これはさっきのCHANELで説明済みなので、割愛します。マトリョーシカなんかも焦らしに近いと思います。
最後に、「裏切り」。驚きの演出とでも言い換えられるかもしれません。体験者が「きっとこうなるはずだ」と思い込んでいた裏をかくと、体験価値は上がります。これについては、「驚かせられるのは一回まで」が鉄則なので、使いどころは重要な予感です。
#サスペンスドラマも一度展開がわかったら
#2度目もびっくりすることはないみたいな感じ
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ということで、今日は体験価値のデザインについて書いてみました。僕自身、法則・キーワードは見えたはいいものの実際にどんな梱包デザインにするかは全く見えていません。
たかだかTシャツなので、あまり凝りすぎるのも違うし安っぽくなりすぎても辛い。いい感じのラインを探りたいと思います!
それでは!
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