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採用シロウト集団が6,000人採用するためにやっていたこと

カレーが大好きな佐々木です。元人事から転職して、現在は転職エージェントをしたり、より良い組織づくりのお手伝いなどをしています。

そんな私ですが、幸運にも前職では創業期に入社し、採用担当として約10年間で20倍の規模にまで成長しました。
超拡大期の過程の中で、上場(マザーズ、東証一部)も経験しました。


今回は「採用シロウト集団が6,000人採用するためにやっていたこと」をご紹介します。

簡単な経歴はこちら。


全員が採用の「シロウト」だった


入社したとき、私は20代後半。
私も当時の上司も採用担当として採用されたわけでもありませんでした。(ちなみに私は事務職、当時の上司は元コンサルです)
しかし、入社3ヶ月ほどたった頃、会社が一気に拡大のギアを踏むタイミングで、採用の仕事を任されることになりました。
今思えば、そんな「シロウト」に任せるなんて、当時の社長はなかなかチャレンジャーだなと思います。
初年度は上司と2人で、なんとかほぼ予算もかけず、300人くらい採用。
(13年ほど前なので、今よりも採用を取り巻く環境は緩やかでしたが、それなりに大変だったな。。。)

私たちが採用していたのはいわゆる「資格職」の人たちがメインだったので、そもそも母数は限られています。特に年々、世の中で慢性的な「保育士不足」になっていき、保育士の採用には一番苦労しました。
どれだけお金を積んでも人が取れない!という言葉が業界で大きな声で言われるようになりました。


年齢も個性も経歴もバラバラのメンバーのチーム


そんな中、途中から私も、チームマネジメントをやるようになりました。
仲間が増えたり、入れ替わったりして、通算で言うと30人くらいのメンバーと13年で関わったでしょうか。
20代から一番上は50代まで幅広い年齢の人たちがいましたが、9割が人事や採用業務が未経験のメンバーでした。(新規採用者、異動者含む)
もっと言えば、人件費的にゆとりはなく、人事や採用の経験者がチームに来ること想定していませんでした。

そんな中集まってきたメンバーのバックグラウンドは例えばこんな感じでした。
エステティシャン、物流倉庫勤務、子ども服の販売員、損保の事務、幼稚園教諭、郵便局員、損保営業、食品メーカーでの品質管理担当、キャビンアテンダント、コンサル など…

ね、色々でしょ。みんな採用に関してはシロウトです。


シロウト集団が勝てる集団になるために大切だったマインド


それでもその「シロウト達」は、入社もしくは異動してから採用業務を1から学び、2〜3年も経つと、ある程度どこでも通用するレベルにまで成長していきました。
その中で彼らを育成し、マネジメントする際に、まず大切にしていたマインドがありますので、今回はそれをご紹介します。


①自分達の会社と事業に価値があると信じる

私が入社した頃、会社は雀荘がある雑居ビルの一室(男女トイレ兼用の頃!)で、お世辞にも20代の女子がすすんで働きたい環境ではありませんでした(笑)
でもその頃からずっと信じていたことがありました。

・業界No. 1の採用担当になる(自分に出会った人は必ずうちの会社に来たくなる)
・自分達が会社の顔であり、ストーリーテラーである(創業者の次にこの会社のストーリー、理念を語れるようになる)
・自分達の事業と会社にはどこよりも価値がある(あくまで自分がそう思っている)

そんなことを前提に、創業期に応募者に話していたのは、いわゆる「求人条件」の説明がメインではありませんでした。

・なぜこの会社ができたのか
・会社の理念は何か(事業の説明)
・私たちの作りたい世界は何か(未来を語りワクワクさせる)

それをストーリーテラーとして出会った人達に届ける。

予算がなくても、他社と比べて明らかにリソース不足でも、それと自分達の価値は関係ないと思っていました。
実際に、創業期に入社し、その創業期を支えてくれた仲間達に入社の決め手を聞くと「会社の理念」と「採用担当の想い」と言ってくれました。

これはその後、採用チームに人が増えた後もずっと大切にしていたことです。
採用担当が「自分達の会社に価値がある」と思うからこそ、相手にも価値があると思ってもらえるし、採用担当がそう思っていない時点で、試合終了!と思ってます。笑
それは会社の規模とかネームバリューとか、予算があるかとかは全然関係ないと思います条件が整ってなくても、自分達がやっていることにまず誇りを持つ。なぜなら会社の顔だから。

もちろん、時代の流れに乗れたという大きな前提がありますが、結果的に6000人の仲間を採用するチームになりました。


自分達に誇りを持つこと


②ヒアリングが何より大事だと心える

二つ目に徹底していたことはこれです。
とにかく相手の言葉に耳を傾け、興味を持ちながら「聴くこと」です。
これは逆にシロウト集団だから、メンバーが愚直に取り組めたのかもしれません。
逆に経験者の育成の方が難しいと感じる場合がありました。
経験者は無意識に決めつけが入るからです。

おそらく過去の体験から「この人はこうだ」「こうやったらこうなる」というのが無意識に入るのでしょう。
だから大体面接をしても、開始してすぐに自分のパターンに持っていこうとしてしまいます。
私自身も注意しないと、決めつけそうになることは何度もありました。

でも、そこをグッとこらえて「本当にそうなのか?自分は決めつけていないのか」と問う。
面接という場だと、明らかに面接官の方が立場が強い。だからどうしても相手はよく見せようとする。
こちらが気を付ける必要があります。
満足に話せた、自分の思いを聞いてもらえたと思って初めて、相手は本音を話してきます。もちろんこちらも、必要以上によく見せず、正直に伝えます。

逆に、双方の理解が不十分なまま採用すると、入社後のミスマッチ繋がることが多かったです。(たくさん失敗もしました)

そんなことを繰り返しながら磨いてきた私たちの面接では、どのメンバーが面接しても「本当によく話を聞いてくれて、自分の思考も整理されてスッキリした」と言ってもらうことが多く、それがそのまま採用数にもつながっていきました。

何より、超人気企業でもなく、競合が死ぬほどいる中では、候補者の特性に合わせて相手の納得感を醸成することは何より大事であり、すべては面接時のヒアリングが鍵を握っていたと思います。

丁寧なヒアリングスキルと、その上でのクロージングスキル。
身につけるのは楽ではないですが、丁寧に育てていくことが大事と感じました。


安心して話せる雰囲気づくり


③外の仲間から愛される集団になる

「どこよりも応援される採用担当の集団であろう」
これもずっと大切にしていたマインドです。
今、エージェントもやっているので、この大切さが逆の立場からも身にしみてわかります。

6000人採用するためには、多くの外部の取引先の方々に協力なしには実現しません。特に関わりが多くなるのは、エージェント、求人媒体や広告運用の会社など採用関連の会社などです。

もちろんエージェントも仕事なので、心理的には「フィーの高いところに紹介していきたい」というのがあると思います。

でも、それだけではありません。

仮に10%紹介フィーが高くても「全然人が採用できない」と言っている会社さんもありました。
そういう会社は大体、エージェントとしっかりした関係が結べていない、応援されていない(フィーの高さでしか見られていない)ことがほとんどです。


エージェントに対して大切にしていたことは
・エージェントを外の人事部だと思って接する(大手の場合フロントのRAだけでなくCAの顔も名前も一致させ、RA経由でフィードバックをする)
・求職者の満足度が高くなる質の高い仕事をして彼らから信頼される
・労いと感謝を定期的に伝える
・逆に適当に感じること、こちらとして納得いかないことはちゃんと議論するしフィードバックもする

なので、私のメンバー達も、面接官だけではなく、応募の受付対応をしているメンバーまで本当にエージェントの人たちから愛されていました。
採用を成功するための、チームになっていたのです。

私も、前職を退職するとき、オンラインではありましたがエージェントの担当の皆さんが会社の垣根を越えて集まってくれ、メッセージをくれた時は感動しました。
逆にいうと、エージェントに対して横柄な対応をしているメンバーがいたら、注意していました。そのマインドでは応援されないよと。

こういう関係を地道に築いていくと、彼らが私たちのことを全く知らない人たちに伝えてくれる。しかも、大好きな会社だからそれが相手にも伝わり、興味を持つ。応援の輪の好循環が生まれます。

もちろん、彼らの業績も上がるので、関わったエージェントのRA(リクルーティングアドバイザー)もCA(キャリアアドバイザー)ももれなくみな、自社で表彰されたり昇格していきました。
「みんなで勝つ!」というチームの意識はとても大事です。

逆にこういうエージェントとは付き合わないようにしていました。
・紹介料率のことばかり言ってくる(紹介料率が低いことを全ての言い訳にする)
・フロントのRAに学ぶ姿勢と誠実性がない


ワンチーム!


以上が、採用のシロウト集団が6000人採用する際に「まず」やっていたこと、です。

え、そんなこと?と思うかもしれません。

そうです、手法(ハウツー)も確かに大事ですが、まずメンバーに一番大切だと伝えていたのは、採用担当としての心のあり方でした。


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