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背中にも刺さるんですね

書道のお稽古の時間。

墨を磨る音。磨墨された墨汁の香り。

とても素敵である。そうはお思いになりませんか?

さて小学生の男子。

「気」の字の4画目のタテ線がうまくキューっと曲がらない。

分かりやすい説明で有名な俺は「マエケン(前田健太)のスライダーくらい曲げなきゃ」と的確なアドバイスをした。

「お父さん、マエケンってなに?」

彼は間髪置かずに横にいたお父さんに尋ねた。

分かりやすい説明で有名な俺の説明は今どきの小学生には届かなかった。おいおい、マエケンにはもっと有名になってもらわないと困るじゃないか。

早速お父さんはスマホのYOUTUBEでマエケンのスライダーを説明し、小学生男子も納得し、再びお稽古を始める。

「あのくらいのスライダーが投げられると億稼げるぞ。フロリダの豪邸に住めるぞ」と俺は言った。

「じゃあ、あのスライダーくらい曲げて、超きれいな字が書けたら億稼げるの?」彼は言った。

「おい、そうくるか… それはお前、俺の姿を見たら分かるだろう。きれいな字が書けるくらいでは億は稼げない」俺がそういうと彼はちょっとだけ困った顔をした。

分かりやすい説明で有名な俺の説明は、今度は今どきの小学生にもしっかり届いたようだった。

すると後ろで別の小学生男子のお母さんがボソッと言った。

「マーケティングが上手じゃないとね…」


言葉って背中にも刺さるんですね。ええ。

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