ところで世には「背が高い」のをよしとする傾向があり、 そうでない男子はできうるならば高身長になりたいと願う。

ないと困るものは沢山ある。
とは言え、世の中は決して平等ではないからして、
持つものと持たざる者が出てくるのは仕方がない。

無ければ困るのに特に俺にないもの…

金。
甲斐性。
だらし。

俺にはその3つとも備わっていないことを
昔も今も、とっても哀しく思ってる。
さらに背も低い。身長もないのだ。

世間には「背が高い」のをよしとする傾向があり、
そうでない男子はできうるならば高身長になりたいと願う。

雑誌の後ろのほうのページに「あなたもすぐに背が伸びる!」なんていう魔法のような広告があるのに引っかかって何万も支払った純情少年も少なからずいよう。(俺じゃないか。)

送りつけられてきたブツを再生させてみると、ピンクのレオタードのお姉さんがいきなり「なんちゃらのポーズ」とかいって足が背中からぐいんとクビに引っかかるような状態になって、さあ、あなたもどうぞとか言われたって、普通の人間に出来るわけない。
できたのは唖然として開いた口をさらに広げることくらいだ。
最初からできないんだから背は1センチも伸びない。

そんなふうに「背が高い」を是とすると、そのために被害を受ける者が出てくることになる。それはいかがなものだろう。

ドラゴンボールを集めきった末の願い事が「背が高くなりたい。」
あのフリーザさえそう願ったことがあった。
自分もドラゴンボールを集めてそう願いたい、そう思った初な少年たちもきっといたはずだ。

そして彼らはきっとこう願う。

身長180センチになりたい。ああ神様お願いします。
俺の身長を180センチにしてください!!

いやいやいやおいおいおい。
本気か。ちょっと待て。待て待て待て。
俺が勝手に想像した他人の神様へのお願いに自分で横から割り込むのはなんだかおかしいということは理解しているが、その俺の想像の中で彼がしているお祈りがなんかちょっと違うのでそのお祈りしている彼に対してお伺いだけ立てさせてもらう。ちょっとややこしいがご容赦願いたい。

本当にそれでいいのか?身長が180センチならいいのか?

お前は馬鹿か。
俺に言う権利があればそう言いたい。

伸びればいいのか。物体として180センチになりさえすればいいのか?
いいのか? いいんだな。あとで神様に文句を言うなよ。

ドラゴンボールを集めました。はい、神龍(シェンロン)出ました。身長180センチの願いを伝えます。あっという間に願いを叶えてくれます。神龍消えました。はい、見事に身長が180センチになっています。

これで満足か?満足なのか?? 嗚呼…ため息がでる。

鏡でお前の姿をよーく見てみろ。確かに180センチはあろう。神龍は必ず願いをかなえてくれる。以前より15センチぴったり身長は伸びているに違いない。しかし、しかしだ。伸びているのは耳から上だけだぞ。この世のものというには無理がある。

耳から上じゃなくでも、鼻と口の間だけが15センチ伸びたことを想像してみろ。そんなので人前に出なきゃならないと考えるだけでおそろしい。

伸びたのが足の裏の厚みだけだったらどうする。素足のままで15センチの厚底ブーツを履いたような状態だ。どうやって靴下を履けというのだ。

背がいくら180センチでもそんなことでは意味がないではないか。背がただ高ければいいというものではないのだ。

そうだ、俺は何を言っているんだ。
馬鹿か、といいたい。

開店するすると言われていた店がオフィスの近所にやっとオープンした。
この店の開店を首を長くして待った。
待って待って待ちすぎて、首だけが長くなって
危なく身長180センチになるところだった。

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