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デンマークを知る2ヶ月の冒険 その4 〜デンマークの伝統的な料理とは

さて、デンマークの料理と食事にまつわる文化を体験する、という目的で始まった、伝統的なホテル、Kro(クロ)での2週間。

Kroはレストランをメインとした小さなホテルで、デンマークの伝統的な美味しいお料理が魅力であるとご紹介しました。

デンマークの伝統的な料理って・・・?とハテナが浮かんでいるかと思います。今回はデンマークの伝統的な料理をご紹介します!

”おばあちゃんの料理” vs 新・北欧料理

伝統的なデンマーク料理は、フランス料理の影響が大きいです。伝統的、と聞くと、何やら格式高く感じるかもしれませんが、どちらかというとフランス料理のレストランというよりは、おばあちゃんの料理(Mormor-mad)と呼ばれる、家庭的な味です。

料理の基本:
メインの肉(or 魚)+じゃがいも(主食)+付け合わせの野菜+ソース。

  • 肉や魚:豚肉が中心。塩コショウのシンプルな味付け、ローストやフライパンでの揚げ焼きなど調理法もシンプル

  • じゃがいも:茹でじゃがいもが基本。素揚げ、マッシュポテトなどもあり

  • 付け合わせ:茹でる、または蒸した野菜

  • ソース:バターやクリームがたっぷりのソース

フランス料理と違うと感じるところは、付け合わせに茹で野菜が多いこと。じゃがいもも茹でたものが多く、茹で野菜がたっぷり入るので、全体としては軽やかな味わいです。バターたっぷりのソースが多くても、たっぷりの野菜と絡めていただくので、日本人に食べやすいバランスだと思います。

最近、デンマーク料理で有名なのは、ニュー・ノルディック・キュイジーヌ(New Nordic Cuisine、新・北欧料理)と言われる新しいジャンルです。地産地消、季節を重視した食材、有機農法へのこだわり、などをマニフェストとして掲げ、デンマークの料理人や食の業界が起こしたムーブメントです。
フランス料理の影響が大きく、イタリアなどさまざまな国の料理に影響され、食材も輸入が多かった北欧。自分たちの土地にあるものが一番新鮮で美味しいはず、という信念から北欧の食材を再発見しようという動きです。北欧諸国がこの運動をサポートし、食材や給食の考え方が変わりました。
発起人である、レネ・レゼピとクラウス・マイヤーのレストラン、Noma(ノーマ)が2014年 ”世界のベストレストラン50”で1位となり、ニュー・ノルディックは世界のグルメ業界で1つのジャンルとして確立されたのです。

ニュー・ノルディックは、今となってはデンマークで当たり前の考え方。その中で、懐かしいおばあちゃんの味、というのが伝統的なデンマーク料理なのです。

Rold Gammel Kroのお料理

ここからは、私がいただいたデンマークの伝統料理を写真でご紹介します。
シンプルだけど手がかかった料理たち。Rold Gammel Kroではソースも一から手作りなんですよ!

まずは私が到着した日、オーナー夫妻と友人一家と、夕食をいただきました。その時のメニューです。
1皿目: チキンスープ
2皿目: フレスケスタイ(ローストポーク)
3皿目: デザート

チキンスープ(Hønsekødssuppe)

骨つき鶏を長く煮込むチキンスープに、角切りの野菜と小麦粉の小さいボールが入るスープです。

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チキンスープ(Hønsekødssuppe)

優しい味で、特に小麦粉のボールが柔らかめのパスタという感じになるので、ほっとする味。家庭でも作られるものですが、きらきらと透明なチキンスープ、深くしっかりした美味しさは、さすが!レストランです。

フレスケスタイ(Flæskesteg)

デンマーク料理といえば、フレスケスタイ!    というくらい代表的な料理。ローストポークのことです。

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フレスケスタイ(Flæskesteg)

豚肉の三枚肉の塊に、皮から肉に通る程度に5mm幅くらいの切れ込みを入れ、ローリエなどスパイスを挟んでオーブンでローストします。皮がカリカリに焼けているところが特徴。そしてお肉がしっとりジューシーなところがたまらない!
ブラウンソース、じゃがいも、赤キャベツの甘酢煮を添えます。レストランでは、茹でじゃがいもとソースは大きな器に入れてテーブルでサーブし、お客様が自分で好みの量を取ります。

フレスケスタイはクリスマス料理の定番でもあります。今回は茹でじゃがいもですが、クリスマスの定番は茹でじゃがいもに加え、キャラメルポテト。ケールのクリームソースなどとも組み合わせます。デンマークのおもてなし料理の代表格です。


ここからは、Kroで体験したデンマークの伝統的なお料理をご紹介します。
注:ここからは賄いで盛り付けているものばかりなので、見た目はちょっと雑だったりします!

タルトレッター(Tarteletter)

日本でタルトといえばキッシュなどの焼いたもの、と思っていたのですが、デンマークでタルトレットといえば、料理の名前です!

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タルトレッター(Tarteletter)

トマトときゅうりの飾り切りが定番です。(こちらは賄いで自分で載せたので、きゅうりが倒れています。。。)

オーブンで焼いたさくさくパイ生地のタルトレットに、とろっとした骨付き鶏とホワイトアスパラのホワイトソースをたっぷりかけていただきます。長い時間かけて煮こんだ鶏肉の味と、ホワイトアスパラの出汁が絶妙に美味しい組み合わせ。ホワイトアスパラの水煮は、デンマークでよく使われる食材です。

カーボネーダー(Karbonader)

牛肉のひき肉パティに衣をつけてバターで揚げ焼きにし、ソースをかけていただく料理。見た目はメンチカツに似た感じです。

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カーボネーダー(Karbonader)

中身は純粋にお肉100%。アメリカのハンバーガーも牛肉だけのパティですが、そのパティに衣をつけて揚げ焼き(パン粉は細かいタイプ)するところが特徴。この写真は(ソースをかけたので)ハンバーグに見えてしまいそうですが、揚げ焼きなので外側はカツのようにさっくりしています。グリーンピースとにんじんのホワイトソースと合わせるのが定番です。

ガムルデイズ カーブスタイ(Gammeldags Kalvesteg)

仔牛のロースト、ガムルデイズは昔ながらの、という意味です。長い時間ローストが必要な豪華な料理で、パーティに何回も登場していました。

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ガムルデイズ カーブスタイ(Gammeldags Kalvesteg)

お肉はたっぷり厚切り!煮込まれた野菜の味がたっぷり入ったソースです。
付け合わせは、茹でたじゃがいも(キャラメルポテトなどと区分けするために白いじゃがいもと呼ぶ)、茹でた野菜、バターと砂糖で甘くしたシャロット、ウリの甘酢漬け、赤スグリのジェリーが添えてあります。
これはもう本当にリッチな味わい!レストランで美味しい料理を食べよう、というときに注文する気持ちがよくわかります。


味見ということもあってさまざまな料理をいただきました。勉強でもあるのですが、本当に美味しくて、幸せでした。

もちろんコースにはデザートが付きます。デザートや焼き菓子はまた別の記事でご紹介しますね。


デンマークの幸せの秘訣、ヒュッゲな時間をもっと広めるためにサポートいただけたら嬉しいです! いただいたサポートはオープンサンドの試作など、デンマークの食文化研究に使わせていただきます。