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デンマークの美味しさの秘密 ライ麦パン

今回は、デンマークのオープンサンド(Smørrebrød スモーブロ)の味の基本、ライ麦パン(Rugbrød ルブロ)について書いていきたいと思います。

スモーブロの味は、ライ麦パン(Rugbrød ルブロ)とバターの味が基本とお伝えしました。

例えていうと、お出汁の味という感じです。お味噌汁って単純ですけど、美味しいですね。それは味噌だけじゃなくて、出汁が効いているから、おつゆが美味しいわけです。
それと同じで、デンマークのオープンサンドの味を支えている縁の下の力持ちは、ルブロなんです。

今回はルブロの味を解説していきたいと思います。

ルブロは何でできているか

私の焼いているルブロの基本の材料:
* ライ麦粉
* 小麦粉
* サワードウ
* ライ麦の粒
* 亜麻仁
* かぼちゃ、ひまわりの種
* 塩
* はちみつ
* その他(モルトや黒ビールなど)

メインの材料であるライ麦は北欧では石臼挽きが多く、粗めの全粒粉が一般的です。そのため、いわば玄米や雑穀米のように、穀物の香ばしい風味がとてもよいのが特徴です。
そして、デンマークのパンはいろいろな穀物やタネなどを混ぜているパンが多いです。最低でもライ麦の粒と亜麻仁は入るようですし、もっとたくさんの種類を混ぜるレシピもあります。種や穀物の粒を入れると、ナッツのような豊かな風味と歯触りの楽しさを生み出してくれます。

ルブロはライ麦とタネがとっても香ばしい。焼きたての食パンのような甘い香りではなく、穀物や種のさまざまな香りが豊かなパンです。

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「ジューシー」水分の多いパン

ライ麦は小麦と違って、グルテンがほとんどない麦です。こねてグルテンを伸ばして、ふんわりとしたパンになるグルテンが非常に少ないのです。パンにするときは小麦を少し混ぜますが、ふんわりとした膨らみ方にはなりません。

そして水分が多い「ジューシーな」パンがデンマークの特徴です。混ぜているときはおじやのようなべっとりとした固さ。パンになるとは見えないと思います 笑。その柔らかい生地を、型に入れて焼きます。
水分が多くグルテンも少ないので、べっとりとして扱いの難しいパン生地です。比較的低めの温度で長時間かけて焼きます。私のレシピでは、1時間35〜50分ほどかかります。

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でもこの水分の多さが、しっとりと柔らかなパンになります。ドイツのライ麦パンはしっかりとして詰まっている感じがしますが、ライ麦なのに柔らかく水分のある感じは、デンマークのルブロならではの食感です。


味の決め手はサワードウ

パンはイーストを入れて焼く、というのはご存知かと思いますが、ルブロはサワードウを使います。サンフランシスコ サワードウなどが有名ですね。

サワードウを使ってパンを焼くというのは、小麦またはライ麦を乳酸発酵させて、穀物や空気にいる天然のイースト菌を使ってパンを焼くということです。レーズン酵母などとは違って、穀物が発酵しているのが特徴。
ライ麦の特徴として、ライ麦のサワードウは、小麦のサワードウより酸味や香りが強めに出ます。サワードウを準備すると、とっても美味しそうな、ビールのようなヨーグルトのような香りが出ます。
ルブロはサワードウを使って長時間発酵させてから焼きます。私の焼いているパンは最低でも18時間ほどの発酵が必要。もっと長く発酵させることもあります。そうすると、長い時間をかけて粉の成分が分解されて、複雑な風味が出るのです。最近はイーストで長時間発酵させるパンも多くなってきましたね。

このサワードウと長時間発酵が、ルブロの味の決め手です。


ライ麦ならではの酸味、豊かな穀物やタネの香り、そしてジューシーさ。
ぜひ機会があれば、デンマークのルブロを食べてみてください。


東京 代々木八幡のイエンセン、長野のhalutaでも作られているそうですよ。

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