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立場の異なる3人が共創する、インクルーシブな地域コミュニティ

こんにちは。ルネサンスnote編集チームです。

ルネサンスが運営するスポーツクラブでは、様々な形で地域との連携や協力関係を創り、住民の皆さまへ健康づくりの輪を広げています。

過去のnoteでは、スポーツクラブ ルネサンス・イオンタウン吉川美南(以下、ルネサンス吉川美南)の取り組みをご紹介しました。

今回のnoteでは、ルネサンス吉川美南と共に多様性を尊重し合える地域社会の実現に取り組む、
・ロービジョンフットサル(弱視者主体のフットサル)チーム「CA SOLUA(シーエー ソルア)」代表であり、選手の岩田 朋之(いわた ともゆき)さん
・一般社団法人 チーム・アダプテーション代表の岩田 美晴(いわた みはる)さん
そして、ルネサンス吉川美南の菅原 仁太(すがわら じんた)支配人を交えて、これまでの取り組みの振り返りや今後の展望についてお伺いしました。

左から 岩田 美晴さん 岩田 朋之さん 菅原 仁太さん

出会ったことで拡がった取り組み

ーー2022年から一緒に取り組みをスタートされていますが、これまでを振り返ってみてどのような効果があったとお考えですか?

岩田(朋):私たちのロービジョンフットサルチーム「CA SOLUA」は、2018年に立ち上がり、2021年からはルネサンス吉川美南のすぐ横にある、フットサルコートで活動をしています。
その縁もあって、私自身もフィジカルの向上や、身体のケアを目的にルネサンス吉川美南に入会をしました。

そこで出会ったのが菅原さんです。スタジオレッスンやパーソナルトレーニングを担当してもらう中で関係性が深まっていき、自分自身の障がいのことや、ロービジョンフットサルについてたくさんお話をさせていただきました。

菅原さんは、ご自身のレッスンや店舗で開催されるイベントで、ロービジョンフットサルや私たちのチームのこと、視覚障がいのことを会員の皆さんに紹介してくださり、次第に会員の皆さんの中にも認知が拡がっていきました。

すると、私がスタジオ内で自分の予約場所を探していると他の会員の方が教えてくださったり、ルネサンス吉川美南でトレーニングする選手に向けて「頑張ってね」と声をかけてくださるようになりました。

私は、自分自身が選手でありながら「CA SOLUA」を運営する立場でもあります。
入会当初から、私たちのフットサルチームも地域にあるスポーツクラブと連携をすることで、Jリーグのクラブとクラブハウスのような関係性がつくれるのではないかと仮説を持っていました。

次第に「CA SOLUA」の選手も、会員の方から声をかけていただくことで自分達が「パラアスリート」であること、そして「地域の人から応援されている」という自覚が強くなり、競技力の向上に前向きに取り組んでくれるようになったと考えています。

そして、店舗や会員の方との関係が築けた恩恵を一番受けているのは、私自身だと思います。

会員の方から、日々たくさんパワーをもらっています。

アスリートとして、身体づくりに取り組む姿勢は負けられない!と思いますし、自分にとっても地域でのコミュニティや仲間がたくさん増えました。

ーー菅原さんにとって、岩田さんとの出会いをどのように振り返りますか?

菅原:以前勤務していた店舗で、障がい者雇用で入社したスタッフと一緒に仕事をしたことがありました。
その出会いを経て、障がいがある方は、自分よりもできること・すごいところが山ほどあると感じるようになりました。

岩田さんに出会った時も、一緒にフットサルをする中で「視覚障がいがあるのに、こんなプレーまでできるの???」という驚きのほうが強かったように思います。

先ほど岩田さんがお話してくださったように、会員の方やスタッフが自然とサポートする「当たり前」ができるまでに、2年くらい時間がかかりました。
岩田さんのことや、ロービジョンフットサルを理解してもらうために、時間がかかっても、一人一人に繰り返し伝え続けたことは大事だったなと思います。

ーー美晴さんのチーム・アダプテーションの活動は、ルネサンスと一緒に取り組むことでどのような影響がありましたか?

岩田(美):私はもともと特別支援学校の先生をやっていました。
障がいがある子どもでも楽しめる場を創りたいという想いから、一般社団法人 チーム・アダプテーションを立ち上げて2021年から活動をしてきました。

立ち上げ当初、私たちの活動を誰かと一緒に創り上げていくことは考えていませんでした。

他の方に手伝ってもらうことは相手方にとって大変な面もあるでしょうし、「理解してもらえないのではないか」という不安もありました。
そのため、こちらからお願いしたり、お誘いすることがなかなかできなかったんです。

ですが、菅原さんと夫の二人がとても親密になり、「菅原さんは理解がある人だから大丈夫。ルネサンスと一緒に取り組むことはすごく良いことだと思うよ」と夫に背中を押してもらったのがきっかけになったと思います。

ルネサンス吉川美南と一緒に取り組みを始めてみて、一番大きく意識が変わったのは私自身です。

障がいがある子どもが楽しめる場所となると、放課後等デイサービスや特別支援学校のように、「資格のある人がいるからできる」みたいな考えに凝り固まっていました。

ですが、ルネサンス吉川美南や会員の方と一緒に遊びの場を運営していく中で、自分が考えていたよりもそんなに難しいことではないし、自分が心配していたより、参加した誰もが楽しめる活動なんだとわかりました。

そこからは、より前向きに活動に取り組んでいけるようになりました。

もともと私たちの団体は「インクルーシブな社会の実現に貢献する」というテーマを掲げているので、特別な場所をたくさん増やすのではなく、地域が多様性を受け入れていけるようにサポートをしていくことがあるべき姿なんだと思います。

私たちの活動に参加してくださったルネサンス吉川美南の会員の皆さんも、最初は「私、発達障がいのお子さんと会ったこともないし、障がいに対する知識もないんだけど、それでも一緒にやっていいの?」とおっしゃっていました。

ですが、一緒に時間を過ごしてもらう中で「参加してみたら、楽しかった!今度はお友達も連れてくるね!」というように、自然と会員の皆さんの中で輪が広がっていきました。

リーダーが種蒔きをすることの大切さ

ーー一緒に活動をされていく中で、お互いから受けた影響などがあれば、教えてください。

岩田(美):障がいがある人とない人を繋げるという役割を、菅原さんのようなリーダーの方に率先して担ってもらうことは、大きな影響があるんだなと思いました。

ルネサンス吉川美南での菅原さんは、ご自身で積極的にスポーツクラブの現場に出て、会員さんから意見を聞いたり、コミュニケーションをされています。
そのように日頃の関係性があることで「菅原さんが楽しい活動って言っているなら、参加してみよう!」と私たちの活動に会員さんが関わるハードルが低くなっているように思います。

そのように、菅原さんが私たちの活動が広がる、種蒔きをしてくれるのはとても助かりました。

岩田(朋):菅原さんが蒔いた種は、菅原さん以外のスタッフの皆さんも受け取っていることを実感しています。

日々の生活の中で、自分が障がい者だなと実感してしまうことは、日本国内ではまだまだ多いです。
ですが、ルネサンス吉川美南ではスタッフの皆さんが私のことや障がいのことを理解してくれていることもあって、自分が障がい者としてストレスを感じることなく施設を利用できています。それは本当にありがたいことだと思っています。

菅原:きっと、働くスタッフの中にも「障がいの有無に関わらず、良いサービスをお客様に届けたい」という考えがあって、私はそれを後押ししたに過ぎないのではないかと思います。

私は常に、自分が働く業界内だけでなく、何かしら社外からの刺激を得ていきたいと考えています。

岩田さんご夫妻と出会い、私の人生では経験したことのない知見や体験、考え方を持っていらっしゃるので、一緒にいるのも楽しいし、話していてもとても刺激になります。
お二人とのつながりができたことで自分の人生観の広がりを感じますし、幸福感が増しているように思います。

自分自身の経験を、お二人と一緒に活動しながら共感してくれる仲間に拡げていくことで、「生きがい創造企業」というルネサンスの企業理念や、地域貢献というスポーツクラブの行動指針に繋がっていると考えています。

それぞれが思い描く未来像

ーー今後の一緒に協力して取り組んでいきたいことや、未来像を教えてください。

岩田(美):今年から初めて、スポーツ庁の委託事業をルネサンス吉川美南と一緒に実施しています。

「Playful Hub(プレハブ)」と言って、子どもから大人まで、障がいがあるなしに関わらず、地域の皆さんと一緒に身体を動かし、運動を楽しむ活動をしています。
名前には「スポーツ施設をハブに、プレイフル(物事に対してワクワク・ドキドキする状態)な場所、遊び心いっぱいな場所を増やしていこう」という想いを込めました。

トランポリンで子どもも大人もエクササイズ@スポーツクラブルネサンス・イオンタウン吉川美南 2023/9/18

この事業を単年で終わらせることなく、継続的に運営していくことが今後の課題と考えていて、そのためには私たちの取り組みをほかの拠点でも展開できるように整理し、システムとして組み立てていく必要があると考えています。

また、私たちチーム・アダプテーションがやりたいことだけでなく、ルネサンスさんが掲げる企業理念とも合致していけるようにしたいので、菅原さんだけでなく、ルネサンス社内の色々な方とコミュニケーションをとって、一緒に社会課題に取り組んでいけたらと考えています。

岩田(朋):私たちのフットサルチーム「CA SOLUA」が、障がいがある人や子どもたちにとって、憧れとなる存在になれたら良いなと思っています。

私たちの出場した世界選手権を、視覚障がいがある子ども達が夜遅くまでYouTubeで観ていたと聞きました。

Jリーガーや日本代表選手と比べると、私たちは比較的子どもたちにとって、身近なアスリートなのではないかと思います。

その分、子どもたちが「自分も日本代表になれるんじゃないか」って思ってくれるかもしれないですが、そのためには「自分で努力し続けること」が絶対に必要なんだよということを伝えていきたいです。

また、CA SOLUAというチームとルネサンス吉川美南が、強化指定選手のトレーニングや、ルネサンスのトレーナーからサポートをしてもらえるようなロービジョンフットサルにとっての「聖地」として、特別な場所として認識されたら良いなと考えています。

地域のスポーツクラブと連携して競技が活性化していくロールモデルに私たちがなることで、他のパラスポーツ、パラアスリートにも良い影響を拡げていきたいです。

菅原:岩田さんご夫妻と一緒の取り組みを持続していくためには、ビジネスモデルとして、仕組みを完成させたいと考えています。

日本各地の自治体で人口が減少していくと、色々な地域での活動が縮小せざるを得なくなっていきます。
一方で地域の中には、SDGsなどの観点から地域の活動を応援したいと考えている企業もたくさんあるのではないかと思います。

なので、そのような企業に私たちの取り組みのスポンサーとして投資をしてもらい、その資金を元にしながら地域貢献や社会貢献を続けていけるような、スポンサー運営の仕組化に今後取り組んでいけたら良いなと考えています。

それがルネサンスのスポーツクラブのミッションである「地域を健康に!」に繋がっていると思いますし、多くの方々の「生きがい創造」に貢献することになるのではないかと考えています。


最後までルネサンスのnoteをご覧いただきありがとうございました。

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ロービジョンフットサルチーム 「CA SOLUA(シーエー ソルア)」

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