中小企業のPR:開発前に仮想プレスリリースを書いてみよう
大手マンションメーカーで広報担当15年、PR会社経営15年のPRプランナーが、地方の中小企業に特化した広報PRのヒントを発信しています。
1.「在庫の山」を抱えないために
商品開発は「金のなる木」が生まれる可能性がある一方で、もしヒットしなかったら、開発にかけた莫大な時間や投資がムダになるかも知れない、そんなリスクもありますよね。
ただ単に、経営者の思い付きや開発者の思い入れだけで商品を開発しているとしたら、発売してもに在庫の山だけが残ることになります。それは絶対に避けたいところ。
そうしたリスクを減らすために、新しく開発する商品が実際に市場で受け入れられていく確率が高まる方法をひとつ、紹介しましょう。
製品開発する前のアイデアの段階で、仮定のプレスリリースを書いてみるんです。プレスリリースは商品が完成してから書くのが普通ですが、順番を逆にします。
この場合はきちんとした文章でなくて、箇条書きでもOKです。
2.プレスリリースの内容は主要なビジネスプラン
メディア向けに発信するプレスリリースの内容は、事業を始める前に、たとえば金融機関などに提出するビジネスプランに盛り込むべき情報の内容とほぼ通しています。
・ いつどんな商品・サービスを開発するのか(時期・商品概要)
・ それは、要するに、何か?単純明快に表現できるか(商品説明)
・ 他社商品と比べて何がどう新しく、どんな優位性、特異性があるのか?(競争優位性)
・ なぜその商品・サービスを作ったのか?(社会的背景、経緯、必要性)
・ その商品・サービスを生むにはどんな課題があり、どんな苦労の元にできたのか(技術的側面、ストーリー)
・ 想定するユーザーは?どこに、どれだけいるのか?(ターゲット市場)
・ 今後の展開はどう考えているか(定性的・定量的な目標)
これらのうち、ひとつでもスムーズに書けないポイントがあるなら、それは完成した暁に、社会に向けて発信すべき情報が何かしら足りないものになります。
社会に発信すべき情報が見つからないような商品を世に出して、果たして市場に受け入れられるでしょうかね?
3.仮想リリースを書くのは「足りない何か」を見つけるため
自信をもって仮想のプレスリリースが書けないようなら、その商品・サービスは、そのまま世に出してもお客様に説明しづらくて、販売するのが難しいことが予想できます。
逆に、簡潔明瞭に、客観的に、過不足なく、愛情をもってプレスリリースが書けるようなら、その商品・サービスを世に出したときに、様々なメディアで取り上げられ、ネットでも口コミが広がっていく可能性が高いといえるのです。
開発前の段階で、仮想プレスリリースを書いてみるのは、完成までに補うべき「足りない何か」を見つけることでもあります。
「その製品・商品を、社会にどう伝え、何をもって知ってもらうのか」という、完成後の情報拡散のイメージが描けてこそ、自信をもって開発に没頭できるのではないでしょうか。
もし、前もってニュースになる要件がすべて揃うなら、その時点でマーケティングで重要な「4P」の二つ、「PRODUCT(製品)戦略」と「PROMOTION(販促)戦略」は大方うまくいくだろうと考えられるでしょう。
あとは、「価格PRICE)戦略」と「流通(PLACE)戦略」を間違えなければ、売れる予測を立てられるので、その商品開発を続けていっても良いと判断できるわけですね。
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