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缶詰かつおの生姜煮 オーストリアの正統派ピノ・ノワール

千切り生姜 かつおの生姜煮、なんともおいしそうなネーミングの缶詰を見つけた。

生産者のホテイフーズは静岡県静岡市発祥の、缶詰・レトルトパウチ食品の製造販売を手掛ける会社だ。1933年創業。
先日試した缶詰、サバカリー 本格麻辣仕立ても静岡県の水産缶詰の会社、清水食品が手掛けていた(1929年創業)。新宿中村屋とのコラボだ。

静岡県は漁獲量が多いので水産メーカーも多いのだろうなと思ってネットを見ると、きはだ、かつお、まあじ(養殖)、生のリ(養殖)、にじます(養殖)、さくらえび、タカアシガニといった品目で漁獲高・収穫量日本一を誇っている。

缶詰を開けると生姜の爽やかな香りが周囲に広がる。

厚みのあるカツオの赤身の旨味、生姜と出汁、醤油にあわせようと、ピノ・ノワールが思い浮かぶ。
フランス ロワールとオーストリア ブルゲンラントの2種類を開栓した。

ドメーヌ ・メリオー, ピノ・ノワール, レ・ヘキサゴナル, 2019, 1,782円
Merieau Pinot Noir Les Hexagonales, Loire, France
フレッシュなダークチェリー、軽やかにアメリカンチェリー、ほのかに茎のヴェジェタルなタッチ、敢えて抑えめにされた樽のニュアンスに醸造家の意図を強く感じる。
みずみずしく透明感のあるピュアでクリーンな果実味、明瞭な酸味、中盤から後半にかけてしっとりと舌に残るタンニン。
やや軽めのボディだがバランスの良い一本で、これで1,000円台とはコストパフォーマンスに優れる。

ハネス・レー ピノ・ノワール フォム・ハイデボーデン, 2,870円
Hannes Reeh, Burgenland, Austria, 2018
フランボワーズ、チェリーリキュールの明るい果実香、シナモンや白胡椒のスパイス、穏やかながらしっかりと存在を感じる樽香、こなれた熟成の入り口のなめし革を微かに。
みずみずしくジューシーで伸びやかなトップに、中盤から鼻腔を抜ける熟成由来の複雑な香味、タンニンは非常に滑らかでシルキー。
万人に好まれそうな楽しい果実味を持つワインだ。

カツオの生姜煮に合わせる。まずはロワールのピノから。

缶詰の味付けは意外にも優しめの味付け、一方でアクセントを効かせた生姜の明瞭な存在感。ワインのややはっきりしたタンニンとみずみずしい果実味が、カツオの脂には少々微妙な組み合わせ。
ロワールではロワール川で獲れる魚にワインが合わされるが、ダシや醤油などの味付けはワインセレクションにあたっても当然考慮が必要だ。この価格帯のロワールということは果実味軽めというか浮遊感すら感じそうな軽快さ、そこに醤油、ダシ、生姜のコンビネーション、赤身のカツオの脂が合うか、ちょっときついかな、と想像を働かせよう。次回に向けて自戒。
相性: ★★☆☆☆

続いてオーストリアのピノに。

カツオ生姜煮の優しい出汁の効いた味付け、カツオの旨味、生姜の香味のアクセントに、ワインの明るい果実香、樽香を含むスパイス香が絶妙にマッチ。出汁、醤油系ベースの和食にも合わせたいワイン。
相性: ★★★★☆

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