見出し画像

じっくりと揚がったエビフライ オーストラリア産コスパ抜群スパークリングワイン

小学校に上がった娘が、幼稚園の頃から仲良くしている友達の家で夕飯を食べてくるという。
同行していた妻と次女も便乗することになり、私は自宅でひとり晩酌。
しばらくすると、揚げ物の良い匂いを漂わせつつ、家族が帰宅してきた。
友人宅でごちそうになったエビフライの手土産の包みが否応なく食欲を誘発する。

ちょっとひとつお味見と出来立てに箸を付けてみる。
パン粉がカリカリで香ばしく、エビの旨みが凝縮していて絶妙な火入れ。
家庭料理の域を超えた素晴らしいエビフライだ。
聞くと、普段からよく料理をするおばあさまの調理らしい。
お世辞抜きでお店で出せそうなクオリティ。
ひと通り晩酌を終えた後だったが、敵に不足なし、ワインへお手合わせしよう。

合わせたのはオーストラリアのスパークリングワイン(シャルドネ主体)、イタリア シチリア島のカリカンテ、ヴェネト州のソアーヴェ(ガルガーネガ品種)。
全てのワインがエビフライに素敵な相性を見せたが、特に印象的だったのがオーストラリア産のスパークリングワインだ。
2,000円台とは思えない素晴らしいコスパのワインで、シャルドネ主体の清々しい果実味と泡の刺激はエビフライと堅く握手した。

デ・ボルトリ, ラ ボエム キュヴェ ブラン, ヤラ・ヴァレー, オーストラリア, 2,586円
De Bortoli, La Boheme Cuvee Blanc, Yarra Valley, Australia

1924年にヴィットリオ・デ・ボルトリは北イタリアからオーストラリアに移住。それから100年。
コストパフォーマンスの高い魅力的なワインを世に送り出している。
オーストラリア出身のソプラノ歌手「ネリー・メルバ」をリスペクし、代表作である4幕からなるオペラ「ラ・ボエム」をイメージして造られたワイン。
シャルドネ93%、ピノ ノワール7%。
中庸からややはっきりした色調、細やかな泡がやや穏やかに立ち上がる。
香りにはリンゴジャム、リンゴのコンポートの厚みのある果実香にカスタードクリーム、レモンカードのまったりとした香り、バニラ香も、微かに黄色い花、アカシアハチミツも。
風味にはフレッシュさがややしっかりとしつつ心地よい複雑さと奥行き、シャープな酸味、ゆったりと中庸からやや長めの余韻、鼻腔を微かに柑橘果皮や植物的なタッチが抜けて爽やか。
エビフライに合わせる。
特にエビの頭に近いコクの強いところに、シャルドネ主体の涼やかな果実味が寄り添う。
また、カラッと揚がって香ばしいパン粉に、ワインの微かな酵母の香りが同調。相性: ★★★★☆
 
クズマーノ, アルタモーラ, エトナ ビアンコ, カリカンテ イタリア, 2020, 2,464円
Cusumano, Alta Mora, Etna Bianco DOC, Sicilia, Italy

創業以前はバルクワインを生産していたが2000年に元詰めに参入。
いきなり創業年のヴィンテージのフラグシップワイン(ノア)でトレビッキエーリ(著名ワイン評論誌ガンベロ・ロッソで満点の三つ星グラス)を獲得し注目される。
その品質とコストパフォーマンスの高さでも人気。
今回のワインはヨーロッパ最大の活火山であるエトナ山の北斜面の畑で栽培されたブドウから造られる。
香りには潮のニュアンスをたっぷり。グレープフルーツ、ライム、スウィーティーの果実香。青い果皮の柑橘香がピンポイント海藻、ヨードが支配的、微かにスモーキー。セルフィーユの軽快なハーブ、アカシアの黄色いフラワリーな香りも。
風味にはみずみずしくフレッシュでハリのある活力のある果実味、シャープな酸味、中盤から余韻にかけてほろ苦さがゆるゆると残る。ミネラルのニュアンスに富む魅力的なワイン。
エビフライに合わせる。
じっくりと揚がって風味を増したエビの、ほんのりと香る磯のニュアンスにワインのミネラル感が共鳴し、エビの旨味がグッと立ち上がる。相性: ★★★★☆
 
ピエロパン, ソアーヴェ クラッシコ ラ・ロッカ, ヴェネト, イタリア, 2020, 12%, 3,773円
Pieropan, Soave Classico DOC La Rocca

ラ・ロッカは海抜200~300m、石灰質と粘土が豊富な南西向きの畑の名。ガラスで内張りしたセメントタンク(2500L)で発酵。澱とともに約12ヶ月間熟成。
ゴールドがかったはっきりとした強い色調。
香りにはりんご飴、リンゴのリキュールの濃密なフレーバー。炙ったバニラビーンズを鼻の前に置いたよう。ヘーゼルナッツ、アカシア、フラワリーな蜂蜜、微かにヨード香や炙りわかめが重層的に。
風味は凝縮感の強いリッチでまったりとした果実味は陽のニュアンス、塩味やヨードのニュアンスは心地よく引き締める陰のニュアンス。両面がバランス良い。余韻にも豊かにバニラ香。
エビフライに合わせる。
特に頭に近いコクの強い部分と、揚がって凝縮したエビの強い風味に、ワインの熟度の高い果実味のボリュームがバランス。相性: ★★★★☆
 
エビの頭に近い部分のコクが味わい深く、頭もいってみる。
コクが強いので赤ワインのパワーにも負けないのではと、セラーを開けてみる。
ギリシャの生産者キリヤーニのクシノマヴロ品種なんか合うのではないか。

エビフライの頭に。ミソのコクはややクセが強く磯の香りが広がる。
ワインの力強い果実味とほんのりとした塩気に、複雑な肝の風味にもケンカはせず寄り添った。
余韻はワインの強いタンニンがやや支配的に。相性: ★★★☆☆

この記事が参加している募集

おうち居酒屋やってみた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?