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焙煎ホールスパイスのシーフードカレー スペインカヴァ、インドワイン、長野ケルナーとの好相性

Youtubeの料理チャンネルに出てきたシーフードカレーが無性に食べたくなった。
せっかく調理方法も勉強になったので手作りしてワインに合わせよう。エビとイカの冷凍品を使うことにする。シーフードミックスに入っているアサリの特有の風味が、合わせるワインを限定してしまうかと思いミックスは避けた。Youtubeで見た通り塩水で戻す。海水に近い塩水で戻すと、プリプリとした食感が残りやすいようだ。
カレーのルーはこちらを使用。

”焙煎ホールスパイスの新食感”というキャッチコピーに惹かれたが、まさにスパイス感がしっかりした大人のカレーだ。
出来上がったシーフードカレーは2日にわたって食べ、開栓してセラーに残っていた9種類のワインを合わせてみた。カレーの本格スパイスの香りと、シーフードの旨味にしっかり寄り添うかが相性の見極めポイントになる。

①スペイン カヴァ:エレタット・エル・パドルエル, ブリュット・ナチュレ, メトッド・トラディショナル D.Oカヴァ, 1,580円
②日本 ロゼスパークリング:ルミエール, スパークリンク ロゼ, 山梨県笛吹市一宮町南野呂, 2,640円
③イタリア ランブルスコ:メディチ・エルメーテ コンチェルト ランブルスコ レッジアーノ セッコ, 2,178円
④日本 ケルナー:林農園, 五一わいん, ケルナー, 2021, 10%, 1,650円
⑤南ア シュナン・ブラン:ブラハム シュナン・ブラン, 2,178円
⑥インド シュナン・ブラン:スラ ヴィンヤーズ シュナン ブラン 2021, 1,452円
⑦インド ヴィオニエ:スラ ヴィンヤーズ ディンドリ リザーヴ ヴィオニエ 2021, 2,010円
⑧イタリア ヴェルメンティーノ:ピエロ・マンチーニ, マンチーニ・プリモ, ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ, サルディーニャ, イタリア, 1,898円
⑨オーストラリア ピノ・ノワール:デントン・ヴュー・ヒル・ヴィンヤード, デントン・シェッド, ピノ・ノワール, オーストラリア 2021, 2,998円

さて、①から順にワインの風味とカレーとの相性についてコメント。
①エレタット・エル・パドルエル, ブリュット・ナチュレ, メトッド・トラディショナル D.Oカヴァ, 1,580円
Heretat El Padruell Brut Nature CAVA D.O CAVA Traditional Method (J.Garcia Carrion)

品種はマカベオを中心に、チャレッロ、パレリャーダをブレンド。12ヶ月以上の熟成。
香りにはグレープフルーツの酸を感じる快活な柑橘香、ライムの青みを感じる柑橘も、青いトマト、ホシワラ。白コショウ、フェンネルのスパイスとハーブ香が心地よく鼻腔をくすぐる。
みずみずしく果実味はやや穏やか、ビターなトーンがかなり強めに、酸味は中庸、余韻にもしっかりビターさと塩味が残る。
スパイシーでグリップのあるニュアンスが、カレーの香辛料をオールマイティに拾う。かつ、イカ、エビの旨味にも寄り添い、香辛料、魚介の旨味をしっかりと引き立てる。
相性: ★★★★☆

②ルミエール, スパークリンク ロゼ, 山梨県笛吹市一宮町南野呂, 2,640円
Lumière, Sparkling Rose, 2017, 12%

色合いはオレンジの強めのサーモンピンク、瓶内二次発酵による細やかで一定のリズムで立ち上がる泡が美しい。
香りにはグレープフルーツ、5年を経て微かに熟成感を伴い果実香は落ち着き酵母系の香り、ほのかに白胡椒のスパイスのアクセント。
風味は軽めの抽出でみずみずしいが果実味は5年を経てやや落ち着きしっとり。こぎみよい酸味、ほろ苦さがやんわりと広がる、鼻腔を酵母やパンなどのニュアンスが広がる複雑で好印象。
使用されるブドウ品種はカベルネ・フラン60%, タナ24%, カベルネ・ソーヴィニョン13%, メルロー3%。 
カベルネ・フラン主体でワインのスパイシーなニュアンスと適度に抑制の効いた果実味が、カレーのスパイスに寄り添う。
相性: ★★★☆☆

③メディチ・エルメーテ コンチェルト ランブルスコ レッジアーノ セッコ, 2,178円
Medici Ermete, Concerto, Reggiano, Lambrusco, D.O.C., Italy, 11.5%


非常に濃い色調、鮮やかな赤紫色の泡。
香りにはフレッシュな山葡萄、ブラックチェリー、アメリカンチェリー、プラム、微かにブドウの果皮や茎のほんのりとヴェジェタルなタッチ。
ジューシーなブドウの風味、力強い酸味と泡の刺激が楽しい、果実味をたっぷりと感じるがしっかりとドライな口当たり、しっとりと舌に残るタンニンも心地よい。
ワインの快活でジューシーな果実味が突き抜けていて、カレーの香辛料にも負けないが高め合いもないか。
相性: ★★★☆☆

④林農園, 五一わいん, ケルナー, 2021, 10%, 1,650円

色調はまるで水のごとく澄んでいる。
香りには青リンゴ、白桃、メロンを控えめなボリュームで感じる、微かに白胡椒や白い花のフラワリーなタッチ、加えてフェンネル、セルフィーユ系のハーブ香も。
風味には大ぶりの梨を頬張ったようなみずみずしい果実味、柔らかい甘みを伴いつつもメリハリのある酸味、フレッシュでジューシーなフィニッシュ。
カレーの香辛料、特にクミンの香りを際立たせ、ワインの柔らかい果実味はエビとイカの旨味にも寄り添う。
相性: ★★★★☆

⑤ブラハム シュナン・ブラン, 2,178円
Brahm’s, Chenin Blanc, Paarl, South Africa, 2019, 14%

香りには花梨、マルメロ、黄色いメロン、黄色い花、やや明瞭に樽、酵母香、魅力的で心掴まれる香り。
ジューシーな果実味、中庸ながら的確な酸味、じんわりと旨味やコクが広がる充実のフィニッシュ。
ワインのパワフルな果実味と樽香・複雑さはカレーのスパイスにも負けないが、重なり合う、高めあうこともなかった。
相性: ★★★☆☆

⑥スラ ヴィンヤーズ シュナン ブラン 2021, 1,452円
Sula Vineyards, Chenin Blanc, Nashik, India, 2021, 12%

明るいレモンイエロー。
花梨、青リンゴ、グラスを回すとグレープフルーツ。ホシワラ、青いトマトなどのヴェジェタルなタッチがやや支配的で香りがアンバランスに感じる、微かに蜂蜜のニュアンス、白い花のフラワリーな香りも。
中庸の酸味、やんわりとした甘みの存在感が強め、中盤から余韻にかけてビターなタッチと鼻腔をホシワラのニュアンスが抜ける、余韻はやや短めでシンプルなフィニッシュ。
ワインのやんわりとした甘みを含む果実味が、カレーに使われるガラムマサラ、クミン、ターメリック等々のスパイス香を増幅させ且つ魅力を高める。
相性: ★★★★☆

⑦スラ ヴィンヤーズ ディンドリ リザーヴ ヴィオニエ 2021, 2,010円
Sula Vinyeards, dindori Reserve, Viognier, Nashik, India, 2021, 13%

はっきりした濃いめの色調。
ライチ、黄桃、蜜漬けの花梨、グァバ、パッションフルーツの厚みのある果実香に、キンモクセイ、アカシアのフラワリーな香りが明瞭に、微かに白コショウ。
厚みのある果実味はよく熟していて柔らかい甘みを伴う、穏やかながら的確に存在する酸味、中盤から余韻にかけて海藻、ヨードのようなビターなタッチとホシワラが鼻腔を抜けるがこれが強すぎてワインの印象をネガティブな方向にしてしまう。
ワインのフラワリーな香りとアプリコットの香りがピンポイントにクミンの香りに寄り添う。
相性: ★★★☆☆

⑧ピエロ・マンチーニ, マンチーニ・プリモ, ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ, サルディーニャ, イタリア, 1,898円
Piero Mancini, Mancini Prim O, Vermentino di Gallura DOCG, 2020, 13.5%

アプリコット、パイナップル、ライチ、パッションフルーツ、グァバ、南国果実が豊かに広がり、しっかりと効いた樽のバニラ香に絡み魅惑の香り、ボリュームは大きいが微かにメントール系、ライムなどの青い色の柑橘香が爽やかに抜ける。
ジューシーな果実味ながらやや抽出量は多いか香りからくるほどの果実の強さは味わいにはない(それでも果実味はしっかり)、鼻腔を抜ける柑橘果皮のビターなニュアンスも相まってややビターなニュアンスを明確に、香りからは想像できないほどしっかりとした酸味もワインにメリハリを与えていて心地よい。
ワインの厚みのある果実味、厚みのある樽香、ハーバルなタッチがカレーのスパイスのボリュームにバランス、スパイスが引き立つ。喧嘩はしないがシーフードの引き立ては期待未満か。
相性: ★★★☆☆

⑨デントン・ヴュー・ヒル・ヴィンヤード, デントン・シェッド, ピノ・ノワール, オーストラリア 2021, 2,998円
Denton View Hill Vineyard, Denton Shed Pinot Noir, Australia1, 13.5%

明るいレッド、ほんのりと微かな濁りは優しいフィルタリングのためか。
ブドウジュースのような活力のあるフレッシュな果汁、フランボワーズのチャーミングな香り、ドライローズ、乾いた枝、ジューシーな香りは還元的なニュアンスさえ漂う。
ジューシー、奥底から湧き上がるような滋味、力のある酸味も相まって活力を感じるワイン、滑らかなタンニンを伴いゆったりと長く持続する余韻。
ワインのジューシーな果実味と華やかな香りはカレーの香辛料にも負けなかったが、高め合いもなかった。
相性: ★★★☆☆

ということで9種のワインのうち特筆すべき相性だったのは以下の3つだった。①のカヴァと⑥のインドワインは期待通り、予想通りでもあるが、④の日本長野のケルナーの相性は意外な驚きもあり、楽しいペアリングだった。

①スペイン カヴァ:エレタット・エル・パドルエル, ブリュット・ナチュレ, メトッド・トラディショナル D.Oカヴァ, 1,580円
④日本 ケルナー:林農園, 五一わいん, ケルナー, 2021, 10%, 1,650円
⑥スラ ヴィンヤーズ シュナン ブラン 2021, 1,452円

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