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スパイス効いたカジキマグロのフィッシュティッカ 樽香豊かなボルドー白ワイン

先日、インド料理レストランでカレーをテイクアウトした際に、フィッシュティッカも一緒に購入。

魚をヨーグルトとスパイスに漬け込んでから焼くインド料理。

スタッフに聞いたところ魚はカジキマグロを使用。ちなみにカジキマグロという呼称は一般的に使われているものの、厳密には正式なものではなく、それらはほぼメカジキである。大型魚、肉質の良さなど、マグロと類似点が数多いための呼称とされる。
一緒に漬け込むヨーグルトの効果もあってか、スパイスが魚の表面のみならず奥まで染みている。噛むと軽い弾力や抵抗を歯に覚え、オーブンで焼き上げられ魚肉は程よく水分が抜けて少しパサっとした食感。メカジキの身は白濁してやや赤みがかった白身で薄ピンク、肌色。それでも分類上は赤身魚。全体に脂が混ざる。脂の風味に個性がありスパイスにも負けず、ややワイルドな磯の風味を伴いながらふわりと広がる。ワインには、スパイスに負けず、メカジキの独特の脂の風味に寄り添うことが求められる。

合わせたのはインド料理ということでインドの白ワイン(ソーヴィニョン・ブラン品種)。さらにボルドーの白ワイン(ソーヴィニョン・ブラン品種主体)、スペインの赤ワイン(メンシア品種)、イタリア アブルッツォ州のオレンジワイン(ピノ・グリージョ品種主体)。特に印象的だったのはオレンジワインの果実味の充実感、滋味のスパイス、魚の脂にへの寄り添い。加えて興味深かったのはボルドー白。樽由来の豊かなバニラ香、ソーヴィニョン・ブラン品種特有のハーバルなフレーバーは、料理のスパイスに絶妙に寄り添い、メカジキの脂にも調和。

さて、カジキマグロのフィッシュティッカとそれぞれのワインの相性について。


シャトー・ラリヴェ・オー・ブリオン, ブラン, フランス, ボルドー, 2018, 14%, 5,170円
Château Larrivet Haut-Brion, Pessac-Leognan, 2018, 14%

ボルドー地方のグラーヴ地域のなか、ぺサック・レオニャン地区の中心部に位置するシャトー。シャトーの歴史は14世紀まで遡る。1996年からは著名な醸造家ミシェル・ロラン氏をコンサルタントに起用。ソーヴィニヨン・ブラン75%、セミヨン25%。
香りにはピンクグレープフルーツ、オレンジの快活且つ熟度高い果実香。グリーンペッパー、レモングラスのハーブ香。よく溶け込んだ樽香、若さも残り熟成ポテンシャル高そう。
風味には力強い果実味、引き締まる酸味。鼻腔を抜けるリッチな樽香とヴェジェタルな芳香がバランス良い。噛めるような緻密で重量感ある質感。余韻はクリーミーでまったり。

カジキマグロのフィッシュティッカにワインを合わせる。ワインの充実の果実味、樽由来のバニラ香がスパイスに寄り添いつつ、ワインのコクや深みがメカジキの磯の香りをも優しく包み込む。フィッシュティッカが残ったので翌日にも合わせてみたが、魚が古くなると臭みが立ちやすくなる。魚の鮮度に気を付けたい。それでもスパイスとの相性は良かったので、ボルドーの白ワインとスパイスの効いた料理との可能性を強く感じた。相性: ★★★☆☆


スーラ・ヴィンヤーズ ソーヴィニヨン・ブラン, インド, ナシック, 2022, 12.5% 1,828円
Sula Vineyards, Sauvignon Blanc, Nashik, India, 2022

香りにはライムの柑橘香、明瞭にグリーンペッパー、青いトマト、ハーブ。渋く酸のある柑橘果皮。刈りたての芝(ゴルフ場)が鮮烈に、干しわらも。微かに白胡椒のスパイス。
味わいには期待していた南国果実味はなく、少し緊張感を残す心地よい酸味とやや明瞭なビターネス。意図的にかなり収穫を早めて柑橘香、酸味を強く押し出したよう。

カジキマグロのフィッシュティッカに。ワインのハーブやヴェジェタル香が鮮烈で、魚の磯臭さまで悪目立ちさせてしまう。料理のスパイスとの相性はまずまず。相性: ★★★☆☆


ファビュラス フォエミネ ピノ・グリージョ, イタリア, アブルッツォ州, 2021, 13%, 2,475円
Fabulas Foeminae Pinot Grigio, Italy

アブルッツォ州マジェラ国立公園内のPretoro自治区内(標高602メートル)に畑を所有。
カモミールと地元の植物から搾取した野生酵母を使用。ピノ・グリージョを主体に大樽で発酵後、さらにアンフォラと木樽で熟成させたオレンジワイン。ピノ・グリージョ85%、その他15%。
黒ブドウのロゼワインのような鮮やかなチェリーレッドの色調。
香りにはフレッシュな巨峰のジュース、チェリーリキュール、切って少し時間が経過したグリップのあるリンゴの香り、ほのかにシソエキス。ゼラニウムやバラのフラワー香。
味わいにはブドウの滋味と旨味の密度が凄まじくとろっとした口当たり。陶器(アンフォラ)の引き出すブドウの力か。涼やかな酸味、余韻にほのかなタンニン。もはやピノ・グリージョを超越。

カジキマグロのフィッシュティッカに。オレンジワインならではの充実の果実味、ブドウ本来の甘みや滋味がスパイスと魚の脂に入り込み、全てを一体化。魚もスパイスも包み上げるオレンジワインのオールマイティに敬服。相性: ★★★★☆


ボデガス・イ・ビニュドス・ゴデリア, スペイン, カスティーリャ・イ・レオン州, ビエルソ, 2020, 14%, 1,782円
Bodegas y Vinedos Godelia, Viernes, Bierzo, Spain

山あいのビエルソで地葡萄のゴデーリョ品種、メンシア品種からワインを造る。ビエルソのメンシアはブルゴーニュのピノ・ノワールに例えられることもあるエレガントな味わい。
香りにはカシスリキュール、ブルーベリージャムの濃密な果実香。シソエキスも。アルコールと塩気で鼻が乾くよう。植物、ハーブの心地よい引き締め。よく馴染んだ樽香。
風味には力強くも明るい酸味を伴う甲高く陽気な果実味。しっとり舌に残るタンニンは持続的。ファーストアタックが強いが、奥行きや複雑さにはやや欠けるか。それでも驚異的なコストパフォーマンス。

カジキマグロのフィッシュティッカに。ワインの力強い果実味そしてハーバルなタッチは料理のスパイスに繋がりよい。魚の臭みは立たないが、ワインがパワフルで圧倒してしまう。相性: ★★★☆☆

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