自家製シーフードグラタン ティレニア海の潮風香るエレガントな白ワイン
気温がみるみる上がり、春を感じる日々。それに伴い今後の登場機会が減ってしまいそうなグラタン。今シーズンのグラタン卒業式はサーモン、イカ、エビの入った自家製シーフードグラタン。表面にしっかりと焦げ目がつくまで電気トースト兼オーブンで焼き上げる。
過去、自宅では牡蠣グラタンにワインを合わせていた。シャンパン、リグーリア州とサルディーニャ島のヴェルメンティーノ品種などと良い相性だった。牡蠣は風味の個性が強いのでグラタンのホワイトソースとの相性に加え、牡蠣との相性も大きなポイントになる。
今回のシーフードの具材、サーモン、イカ、エビはホワイトソースにしっかりと馴染んで(牡蠣ほどの個性的な強い風味がない分)、口内に広がる。
合わせたワインは白ワイン2種。イタリア リグーリア州のヴェルメンティーノ品種とオーストラリアのセミヨン品種。
リグーリア州のヴェルメンティーノ品種は、先日、牡蠣グラタンに合わせたワインの上級キュヴェ。その年の最良畑から厳選し造られるもの。そのためスタンダード・キュヴェのものより1,000円ほど高くなる。特にこのワインの海の香りとの繋がりが良かった。ただ、焦げ目の付いたホワイトソースとチーズは風味が予想以上に強く、そこへの繋がりからの発展は期待未満か。ヴェルメンティーノであればさらに塩気の強いサルディーニャ島のものかな。ピエロ・マンチーニの樽香の効いたものはサーモンのクリームパスタとも相性良かったのでシーフードグラタンにもよさそう。
セミヨンも相性の方向性としては悪くなかったがワインにもう少し凝縮感、樽香があると合いそう。
さて、シーフードグラタンとそれぞれのワインの相性について。
ルナエ, エチケッタ ネーラ, コッリ・ディ・ルーニ, ヴェルメンティーノ, イタリア, 3,729円
LVNAE, Etichetta Nera, Colli di Luni
Vermentinoトスカーナ州とリグーリア州の境にワイナリーと畑をもつ。コッリ・ディ・ルーニは両州にまたがる産地の呼称。ワイナリー名のルナエの由来はラテン語の「Lunae(月)」。古代ローマ時代、ワイナリーの土地の近くに「Luna(イタリア語で月)」という名の町があり、高品質なワインを造っていたことにあやかった。
その年の最良畑からブドウを厳選し造られる。9月半ばに手摘みで収穫。24-36時間コールドマセラシオンした後にプレス。
ステンレスタンクで定温下(15-17℃)で発酵。
香りにはフレッシュなグレープフルーツ、レモン、ライムの活力のある柑橘香が溢れる。軽快で繊細にハーブと潮の香りが絡みワインをエレガントの極みに。
味わいには瑞々しくのびやかな果実味。シャープでメリハリの効いた酸味、余韻にはグリップ感のあるほろ苦さが残り様々な表情がエレガントに。
シーフードグラタンにワインを合わせる。ワインのミネラルのニュアンスはサーモンの塩味にワインがよく繋がるが、ホワイトソースとはやや風味の方向性が異なるか。ワインの充実の果実味のボリュームはホワイトソースのそれに引けを取らずバランス。四つ星にするか少々迷う。相性: ★★★☆☆
トルブレック, ウッドカッターズ セミヨン, オーストラリア, 2022
Torbreck, Woodcutter's Semillon, 3,080円
1994年に設立のワイナリー。ワイナリー名は創業者がスコットランドで木こりをしていた時の思い出深い森の名前。なんともほっこりするエピソードだ。ローヌ品種から造る凝縮したワインで、創業直後から国際的な評価を得ている。こちらはバロッサ・ヴァレー産のセミヨンを使用。ウッド・カッターズ・セミヨン、つまり木こりのセミヨン。
香りには青リンゴ、白桃などが爽やかに、軽快に。フラワリーなニュアンス、酵母の香ばしさもほのかに。
味わいの果実味の凝縮感は軽快で瑞々しい。酸味は中庸ながら的確にワインを引き締め、余韻の最後の最後まで清々しい。セミヨン特有のグリップ感も少なく徹頭徹尾、清々しい。
シーフードグラタンに。シーフードの具材の中でも特にエビの甲殻類のグリップのあるフレーバーに、ワインの清々しい果実味と酸味が緩やかに繋がる。一方でホワイトソースやサーモンの脂などとの相性はやや平凡か。相性: ★★★☆☆
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