見出し画像

ワインにタブーのウニの軍艦 磯の香り溢れるサルディーニャの島ワイン

年始に寿司の出前を取り、白ワインに合わせる。
特にこだわりはないものの、銀のさらで注文することが多かったが今回はつきじ海賓に注文。最近はスーパーのお寿司とも合わせていた。

寿司セットの内容はえんがわ、鯛、ホタテ、生エビ、サーモン、マグロ、トロ、アナゴ、ウニ、いくらの10種に加えて玉子。

合わせたのはイタリアワイン4種。トレンティーノ・アルト・アディジェ州(イタリア北西部でオーストリア、スイスと国境を接する)のスパークリングワイン(シャルドネとピノ・ノワール品種のブレンド)、ヴェネト州のソアーヴェ(ガルガーネガ品種)、リグーリア州とサルディーニャ州のヴェルメンティーノ品種。

ソアーヴェは安定感抜群のピエロパンのもの。以前、スタンダードキュヴェのものにイワシの香草焼きが素晴らしい相性だった。今回は同じ造り手のラ・ロッカという名の銘醸畑で造られたもので、スタンダードキュヴェの約2倍の価格だ。

サルディーニャ島のピエロ・マンチーニが手掛けるヴェルメンティーノ品種のワインは大のお気に入りで、最近、ビンテージが2021に切り替わったので早速購入して今回合わせてみる。ブリのカルパッチョともよい相性のワインだ。


それぞれのワインにお寿司を合わせていく。
ロータリ ブリュット プラチナ, トレントDOC, 2016, , 12.5%, 1,746円
Rotari Brut Platinum

アルプス山脈がそびえるイタリア北部トレンティーノ地方に位置。
自社ブドウ100%にこだわる。ステンレスタンク発酵。シャルドネ 80%、ピノ・ノワール 20%。
はっきりとした色調は7年熟成を思わせる、非常に細やかな泡が緩やかに持続的に立ち上がる。
リンゴのコンポートの厚みのある果実香、海藻のヨード香、微かに干しわら、やや複雑なヘーゼルナッツ。
みずみずしくピュアな果実味に、心地よいシャープな酸味、中盤からヨードのニュアンスに富みややビターな余韻に、鼻腔にはブリオッシュが抜ける充実の質感。
えんがわに合わせる。柚子との繋がりを起点に、噛むほどに広がる脂をワインの酸味とスパークリングワインの泡の刺激が心地よく合わさり、口内を爽やかにリセット。相性: ★★★☆☆
鯛に。筋肉質な身を噛むと広がる複雑なフレーバーに、ワインのやや落ち着きながらもフレッシュさが残る果実味と程よい熟成感が調和。相性: ★★★☆☆
ホタテに。ホタテ特有の貝の旨味に、ワインのヨード香やミネラルのニュアンスが調和。相性: ★★★☆☆
生エビに。エビの甲殻類特有のフレーバー、甘みにワインのヨード香やミネラルのニュアンスが調和。相性: ★★★☆☆
サーモンに。間違いなさそうな組み合わせだと思っていたがなぜか生臭みが立ちあがる。またワインの熟成感やヨード香やミネラルのニュアンスが複雑すぎてもてあまされてしまう。相性: ★★☆☆☆
マグロに。赤身の鉄分にワインが合うか心配したが、熟成やミネラルのニュアンスが手伝ってよい重なりを見せた。相性: ★★★☆☆
トロに。マグロより脂身が多い風味バランスはこのスパークリングワインには残念ながら合わず、若干の生臭みが立ちあがってしまった。相性: ★★☆☆☆
穴子に。甘辛のタレに絡むアナゴの脂をワインの泡の刺激とイタリア北部の山あいで育ったシャルドネの酸味が心地よく引き締める。相性: ★★★☆☆
ウニに。ワインには手ごわいネタで、予想通り生臭みが立ってしまった。ただ、そこからウニのコクにワインのヨード香とミネラルのニュアンスがじわじわと重なり心地よい余韻に変化。相性: ★★★☆☆
イクラに。魚卵にワインは相性が悪いのでタブーともされるが、泡の刺激とワインの程よい熟成感とミネラルの複雑さがイクラの生臭みのスイッチを押すことなく調和。相性: ★★★☆☆

ピエロパン, ソアーヴェ クラッシコ ラ・ロッカ, ヴェネト, イタリア, 2020, 12%, 3,773円
Pieropan, Soave Classico DOC La Rocca

ラ・ロッカは海抜200~300mに位置する南西向きの畑。石灰質と粘土が豊富な土壌。短期間マセラシオンの後、ガラスで内張りしたセメントタンク(2500L)を用いて発酵。2,000Lと500Lの樽に移し替えて澱とともに約12ヶ月間熟成。さらに数ヶ月の瓶内熟成。
ゴールドがかったはっきりとした強い色調。
りんご飴、リンゴのリキュールなどの濃密なリンゴの香りに、バニラ香は炙ったバニラビーンズを鼻の前に置いたよう、複雑なヘーゼルナッツ、明瞭にアカシア、フラワリーな蜂蜜、微かにヨード香や海藻や炙りわかめのニュアンス。
厚みのある凝縮感の強いリッチでまったりとした果実味は陽のニュアンス、塩味やヨードのニュアンスはワインを心地よく引き締めワインを支える陰のニュアンス。陰と陽の両面をバランスよく備える。余韻にも豊かにバニラ香が広がる。
えんがわに。脂にワインの風味が反発し生臭みが立ちあがってしまった。相性: ★☆☆☆☆
鯛に。筋肉質の身を噛んでいくと広がる複雑なフレーバーと甘みに、ワインのミネラルのニュアンスと奥行きが絶妙に調和。相性: ★★★★☆
ホタテに。ホタテの磯の香りに、ワインのヨード香が心地よく調和。相性: ★★★☆☆
生エビに。濃厚でねっとりとした甘みにワインの良く熟した果実味とミネラルの複雑さが絶妙に調和。相性: ★★★★☆
サーモンに。サーモンの含むどこか乾いた木のようなフレーバーに、ワインの樽香が心地よく重なる。相性: ★★★☆☆
マグロに。ワインにはハードルが高い血合いの鉄分にもワインの複雑さが包容力を示す。相性: ★★★☆☆
トロに。リッチな脂とコクに、ワインの塩味と樽由来のバニラのニュアンスがみごとに調和。相性: ★★★★☆
アナゴに。喧嘩せず調和するが、甘辛のタレに絡むアナゴの脂とのシナジーは見られない。相性: ★★★☆☆
ウニに。ワインの樽由来のバニラ香がはでにぶつかり生臭みが溢れる。相性: ★☆☆☆☆
イクラに。ワインの塩味とミネラル感が繋ぎ役となって生臭みは立たず、イクラのコクを引き立てる。相性: ★★★☆☆

ルナエ, エチケッタ グリージャ, コッリ・ディ・ルーニ, ヴェルメンティーノ, イタリア, 2021, 2,492円
LVNAE, Colli Di Luni, DOC, Vermentino, Italy, 2021, 12.5%

トスカーナ州とリグーリア州の境にワイナリーと畑をもつ。まさにコッリ・ディ・ルーニは両州にまたがる産地の呼称だ。ワイナリー名のルナエの由来はラテン語の「Lunae(月)」。古代ローマ時代、ワイナリーの土地の近くに「Luna(イタリア語で月)」という名の町があり、高品質なワインを造っていた町でもあったことにあやかった。
香りには青リンゴ、メロン、スイカズラ、ほのかにグァバ、白桃の果実香に白い花のフラワリーなフレーバーが豊かに、穏やかに混じる潮の香りがワインのフレーバーを完成させる。
風味にはみずみずしいピュアな青リンゴジュースを思わせる清々しくハリのある果実味、酸味は中庸からやや穏やか、余韻にほのかに舌にフェノリックなタッチとほろ苦さが心地よい。
えんがわに。お寿司に添えられた柚子にワインのハリのある果実味が同調しつつ、噛み進めると広がる脂も心地よく引き締める。相性: ★★★☆☆
鯛に。筋肉質の身を噛むと広がる脂と甘みにワインの上品でハリのある果実味が絶妙に調和。相性: ★★★★☆

ピエロ・マンチーニ, マンチーニ, プリモ, ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ 2021, 2,049円
Piero Mancini, Primo, Vermentino di Gallura, DOCG, Italy, 2021, 14%

サルディーニャ島で唯一のDOCG格付けのヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ。
濃くはっきりとした色調。
リンゴのリキュール、林檎酒、ピンクグレープフルーツ、グァバにグレープフルーツの果皮、レモングラスなどのハーバルな香り、ほんのりと樽香、白胡椒のスパイスのタッチ、海岸を歩いているような潮の香り。
豊満でジューシーな完熟した果実味、塩味がワインにメリハリを与える、清々しい酸味も、余韻にはまったりとヨーグルトや乳酸飲料のようなタッチ、鼻腔を樽香が力強く抜ける、ほろ苦さを伴う充実したリッチな余韻。
えんがわに。噛み進めると広がるやや土っぽさを伴う脂に、ワインの潮のニュアンスと樽由来のバニラ香が絶妙に調和。相性: ★★★★☆
鯛に。喧嘩はしないがワインの個性が勝ってしまうか。相性: ★★★☆☆
ウニに。合わさると磯の香りとウニの強烈なコクが立ち上がる。癖の強さが増し賛否分かれそうだが個人的には楽しい組み合わせ。相性: ★★★★☆

ピエロパンのソアーヴェと鯛、エビ、トロ、そしてピエロ・マンチーニ(サルディーニャ州のヴェルメンティーノ品種)と少々個性的な風味のえんがわ、ウニとの相性が素晴らしかった。
今回のウニのような癖のある魚介にピエロ・マンチーニが包容力を示してくれることが多くいつも助けられる。手ごわいシーフードが登場したときに備え、セラーに常備しておきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?