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ブリのカルパッチョ サルディーニャ島のヴェルメンティーノ品種のワイルドな潮の香り

クリスマスは自宅でディナー。料理もワインもいつもより少し豪華に。
前菜にはブリとサーモンのカルパッチョ。買ってきた刺身にオリーブオイル、生姜、ニンニク、唐辛子、レモンを混ぜたソースでひたひたに。

続いてホタテの香草焼き、妻の手作りのサーモンのキッシュ、ミートソースドリア、ビーフシチューと小さなクリスマスツリーを横に、にぎやかなハレの日の食卓だ。

合わせたのは7種のバラエティー豊かなワイン。乾杯のスパークリングは①イタリア アブルッツォ州のスパークリングワイン、フードフレンドリーな②トスカーナ州のテーブル白ワインのヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ、シーフードにはやっぱり③リグーリア州のヴェルメンティーノ品種と④サルディーニャ州のヴェルメンティーノ品種、そして凛とした果実味の⑤アルプスのアルト・アディジェ州のミュラー・トゥルガウ品種、ハーブ感が満載の⑥南アフリカ ステレンボッシュのソーヴィニョン・ブラン品種、仕上げにビーフシチュー用に⑦ボルドーは程よく熟成したメドックのシャトー・シャス・スプリーン2013だ。
 
まずは前菜のブリとサーモンのカルパッチョに、①、②、③、④のワインを合わせていく。
①ファルネーゼ, ファンティーニ・スプマンテ キュヴェ, イタリア, アブルッツオ, 12%, 2,112円
Farnese, Fantini Cuvee,

輝かしい一粒のクリスタルがエチケットに。すぐに子供たちから剥がしてくれとせがまれる笑 ココッチオーラというなんともかわいらしい名前のブドウで造られる。プーリア州が原産とされる地場品種だ。白ワイン向けにブレンド補助品種として用いられることが多いが、スパークリングワインには単体で用いられることも。
香りには青リンゴ、メロンにパッションフルーツ、パイナップルのニュアンスも、果実香は力強い、白い花のフラワリーなフレーバー、開放的な果実香を軽く引き締めるハーバルなタッチ。
風味には柔らかい甘みを伴うジューシーな果実味、酸味は中庸、ほろ苦さやミネラルのニュアンスに富む。カジュアルでチャーミングなスタイルながらバランスに優れる一本。
ブリのカルパッチョに。ワインの厚みのある果実味と微かなビネガーやや厚みを感じるフェノリックなタッチに、カルパッチョのソースが継ぎ目なく繋がり、そしてブリのリッチな脂とも一体化。相性: ★★★★☆
サーモンのカルパッチョに。サーモンのコクと豊かな脂に、ワインの厚みのある果実味のボリュームがバランス。相性: ★★★★☆
 
②ファルキーニ, ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ, アブヴィネア ドーニ, イタリア, トスカーナ, 2019, 13.5%, 2,541円
FALCHINI, Vernaccia di San Gimignano DOCG, ABVINEA DONI

古くからイタリアを代表する白ワイン、ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ。ファルキーニ社はその優れた生産者として知られる。「アブヴィネア・ドーニ」とは、ラテン語で 「畑からの贈り物」 という意味。ヴェルナッチャ品種100%で造られる。
香りにはリンゴのコンポート、微かに蜜漬けの花梨、樽の甘やかな香り、微かにシナモンのニュアンス。
風味のファーストアタックにはやや力のある果実味があたるがすぐにすっと軽くなる、ほろ苦さやミネラルのニュアンスに富む、樽などの醸造由来の要素に果実味の要素がやや追いついていない印象あり、もう少し熟成させて統合させると面白くなりそう。
ブリのカルパッチョに。ブリの個性的な磯の香りや豊かな脂を邪魔せず、圧迫せず、程よく寄り添うフードフレンドリーなワイン。相性: ★★★☆☆
サーモンのカルパッチョに。ブリにみせたワインのフードフレンドリーな懐の広さをサーモンにもしっかりとプレゼンテーションしてくれた。相性: ★★★☆☆
 
③ルナエ, エチケッタ グリージャ, コッリ・ディ・ルーニ, ヴェルメンティーノ, イタリア, リグーリア, 2021, 2,492円
LVNAE, Colli Di Luni, DOC, Vermentino, Italy, 2021, 12.5%

トスカーナ州とリグーリア州の境にワイナリーと畑をもつ。まさにコッリ・ディ・ルーニは両州にまたがる産地の呼称だ。ワイナリー名のルナエの由来はラテン語の「Lunae(月)」。古代ローマ時代、ワイナリーの土地の近くに「Luna(イタリア語で月)」という名の町があり、高品質なワインを造っていた町でもあったことにあやかった。
香りには青リンゴ、メロン、スイカズラ、ほのかにグァバ、白桃の果実香に白い花のフラワリーなフレーバーが豊かに、穏やかに混じる潮の香りがワインのフレーバーを完成させる。
風味にはみずみずしいピュアな青リンゴジュースを思わせる清々しくハリのある果実味、酸味は中庸からやや穏やか、余韻にほのかに舌にフェノリックなタッチとほろ苦さが心地よい。
ブリのカルパッチョに。ワインの上品な潮の香りにブリの脂が引き立つ。ワインのハリのある果実味とソースの生姜との繋がりもグッド。相性: ★★★★☆
サーモンのカルパッチョに。こちらもワインの上品な磯の香りが生姜に繋がりつつ、そのままサーモンの上品で豊かな脂へと重なる。相性: ★★★★☆
 
④ピエロ マンチーニ, マンチーニ プリモ, ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ, 2021, 2,049円
Piero Mancini, Mancini Primo, Vermentino di Gallura, Italy

サルディーニャ島で唯一のDOCGがヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ。そのガッルーラ地域のブドウ畑の90%を所有するピエロ・マンチーニ。70%をステンレスタンクで発酵、30%をフレンチオーク樽で発酵させた後ブレンド。ステンレスタンクとフレンチオーク樽で5ヶ月熟成し、更に12ヶ月の瓶内熟成。
以前にも飲んでいて大好きなワイン。ビンテージが2020から2021に新たになったのでリピート。

香りにはパイナップル、マンゴー、パッションフルーツ、ピンクグレープフルーツの厚みのある果実香に樽由来のバニラ香が絡み甘美なフレーバー、ハーバルなニュアンスに春先の海のような穏やかな潮の香り。
風味には厚みのあるリンゴリキュールのような口当たりに、鼻腔を抜ける厚みのある樽香が心地よい、中庸からやや明瞭な酸味、余韻にはミネラルのニュアンス、ほろ苦さを残す。
70%をステンレスタンクで醗酵、30%をフレンチオーク樽で醗酵させた後ブレンド。ステンレスタンクとフレンチオーク樽で5ヶ月熟成し、更に12ヶ月の瓶内熟成。
ブリのカルパッチョに。ブリの磯の香りの効いたコクとソースの酸味に、ワインの厚みのある潮の香りとハーバルなニュアンスが絶妙に調和。樽香も邪魔せずしっかりと料理とワインのつながりを盛り上げる。相性: ★★★★☆
サーモンのカルパッチョに。ワインのやや明瞭な磯の香りにサーモンのリッチな脂が同調。相性: ★★★★☆
 
カルパッチョソースの生姜、オリーブオイル、レモンの組み合わせはワインとの親和性抜群。特にサルディーニャのヴェルメンティーノ品種のややワイルドな潮の香りに、ブリのコクのある脂が絶妙だった。料理は前菜から中盤へと進む。

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