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見えてる範囲に捉われず、毎年予測不能な仕込みを。それが新規事業だったな、って。┃Septeni Group Startup

【連載note】セプテーニグループにある10社以上の社内ベンチャーをめぐり、事業家ひとりひとりが持つ“プレイスタイル”を聞き集める企画です。

今回は、2016年設立のTowaStelaの代表、丸谷さんとお話しさせていただきました。

●プロフィール

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TowaStela 代表取締役 丸谷陽介
2011年にセプテーニに新卒入社し、コンサルタントとしてインターネット広告のディレクションや運用に従事。2014年にセプテーニグループの新規事業プランコンテスト「gen-ten」に出場、準優勝したことをきっかけに、新規事業開発を行うセプテーニ・ベンチャーズに転籍。2016年にTowaStelaを設立し、育児業域で新規事業を手掛けている。

目次
・社名の由来にしっくり来てもらえない
・ま、誰かに決めてもらう方が楽だと思うんですよね
・もっと楽しませることは出来るんじゃない?って
・毎年仕込み続ける、予測できないことを
・僕もみんなが好きだし、お互い好きなんじゃないかな
・after talk
・制作後記

記事の途中に置かれたフィルム写真は、アーティストのkoniさんによる撮影&セレクトです。今回は、久しぶりに本社へお邪魔し、オフィスの様子も撮影できましたので、ぜひ、ゆっくりとお楽しみください。

社名の由来にしっくり来てもらえない

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ーもう最近はオフィスにあんまり人いないんですね…

そうですね〜、この11階も僕たちが時々出社しているのと、あとはグループの他の会社の人がたまに。発送作業があるみたいで。

ーへ〜え、近くに違う業種があるのって気配がいいですね。そう、社名TowaStelaの由来ってなんですか?

あ〜いつも話したところでしっくり来てもらえないので、だんだん話さなくなっちゃったんですよ…

ー(わくわく)

中国小説の水滸伝が由来なんです。会社を作るときに、「自分と違う強みの人たちが集まるから仕事は面白いんだよなあ」と思って。それで、自分が好きな水滸伝の話になぞらえて。個性や能力の違う108人が集まって腐敗した政府と戦う話なんですが、108人のそれぞれに能力の星が与えられてるんです。そこから108の星、108を十八(Towa)、星をラテン語でStelaです。ラテン語なのは、「セプテーニ」がラテン語なので…そこに乗りました。

ー水滸伝の108は煩悩の数と合わせてるんですかね?

ああそうだと思いますね〜

ー煩悩の数と、個性能力の数が同じって面白いですね

確かに煩悩ってあんまりよくないイメージありますね。水滸伝は史実に基づいた話ではなく、完全に作り話。メインのメッセージは何なんだろう。僕は、その……能力の違う個性的な人たちが政府を打倒するという共通の目的で集まるところに面白さを感じたんですよね

ーへ〜え。

「俺たち仲間!」というよりは、1人でいた方が楽なやつらが108人、目的が一緒だから一緒にやっていこうぜ、みたいな感じなんです。会社も「入ったからには仲間に忠誠を尽くせ」という時代でもないと思うので、それぞれが自分の意思で集まったほうがいいんじゃないかなーと思いますね。

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ー互いの能力個性をつぶさずに集まるっていうのは……

うーん。事業ありきで必要な人を当てていくのと、人がいて事業が生まれていく場合と、この起点の違いはあると思います。うちのグループの新規事業は割と…、まず人がいて、そこから事業の順番。このやり方だと、会社のために“部分的に個性を取り入れる”という感じでは、ないんですよ。  

ーああ。だからセプテーニグループでいつ誰に会っても、みなさん感じがいいんですかね…

あんまり強要されないですよね。新規事業の始まり方としては「うちの注力事業はこれで、新規展開するから興味ある人手を挙げて」が一般的かなーと思うんですけど…。人ありき、これが僕にとって居心地がいいところです。

ま、誰かに決めてもらう方が楽だと思うんですよね

ーこないだの新規事業コンテストgen-ten、予選会の総括で「ボトムアップで新規事業を成功させるのは、実は結構難しくて、他社事例をみてもトップダウンで展開して上手くいく方が多いようだ」と。ボトムアップで生まれた事業の多くが結果をだしているのも珍しい、と話がありましたよね

ああ、そうでしたね。親会社の取締役の人たちと話してても、会社全体としてこうしたいから何を合わせてやって、というシーンは本当にないんですよ。

ーすると、割り当てられたミッションを「やりたいと思い込む」のようなことじゃ進めないんですね

うん、ま、誰かに決めてもらう方が楽だと思うんですよね。

自分のやりたいことは何だろうと自問自答しながら表現していくのは、やっぱ辛いですけど、それがやりがいにも繋がりますし、うまくいかなかった時も「自分がやりたいと言ったのに、ここでやめちゃったらダサいな」と思ったりして。

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結果的にそこが、“セプテーニっぽいところ”だと思うし、僕の会社のメンバーにもそうあってほしいな…。新卒が多い会社なんですが、やりたいことを積極的に自分から発信することを楽しんでもらえる人が集まってると思います。

もっと楽しませることは出来るんじゃない?って

ービジョンにある「いちばん子育ての楽しい時代をつくる」、丸谷さんが『時代作れたな』と思えるのはどういう時になりそうですか?

うーん、昔や未来と比べることなく「今の時代に子育て出来てよかったな」という声が聞こえるようになったら、ですかね。根拠はなくとも、今幸せだよねって。子育てから悩みや心配事がなくなることはないと思いますけど、「大変だけど楽しいな」も増えたらいいよなあと。

ーその状況が早く来たら別の事業をやりますか?

「役目を果たしたな」というのは一生来ないと思うんです。ディズニーも完成しないって言うじゃないですか。それと同じで、多分、どこまで行っても「もっと楽しませることって出来るんじゃない?」と考えると思います。

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ーああ、今ので少しだけ近づけた気がしました。

あ、そうですか?

ーつい、課題解決なのかなと思っていたのですが、楽しみ方を増やす、そういう方向なのかなと。

うん、そうかもしれない。なんかずっと………「誰かを楽しませたいな」っていうのがあるんですよね。

最近、インターン生が言ってくれてすごくハッとさせられた言葉があって。

TowaStelaのサービスや働いている人たちの考え方って「ないものねだり」じゃなく「あるもの探し」なんですね、と言ってくれたんですよね。

子育ては、時間だったり周囲のサポートだったり、いつも何かが足りていないんです。その中で足りてないものに注目して落ち込むのではなく、こどもの笑顔や成長だったり、実は陰で見守ってくれている人たちの存在だったり、身の回りにある幸せに目を向けていこうって考えが、僕にも、会社にも、流れているんだとおもいます。

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ー今、ベビフルのInstagramのフォロワーさんは40万人で、皆さんがお互いに子育ての楽しい瞬間を共有している。最初からこの規模感を見据えていたんですか?

うーん、Instagramにはママさんたちが多いなという印象はあったんですけど、アカウントを始めた4、5年前にこの数字が見えていたわけではないです。

あ、思い出してきたな。最初は「この写真を僕らのアカウントで紹介させてください」とコメントしても、むこうの方がフォロワー多いんですよ。笑

半年で5000人くらい楽しんでくれるアカウントにしたいですと伝えると「ぜひ使ってください」と暖かくて。おかげで結局1ヶ月で5000人に到達したのかな…?

ーへえ〜

最近は、初期にご紹介させていただいた方から「覚えていますか?」とご連絡いただいたり。

ーあ!お子さんが大きくなってるんだ、0歳なら5歳か

そうなんです、勝手に親戚の子が増えたような気持ちになります

ーあ〜すごい、素敵な関係ですね

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予測できないことを毎年仕込み続ける

ーこないだのgen-ten(セプテーニグループの新規事業コンテスト)、見ていてどうでしたか?

うん…。「そうだ事業ってもっと自由に発想していいんだった」と思い直しましたね。

新規事業はゼロベースなので想像の話をするじゃないですか。でも僕はもう4期やってるので、実態がある。だから、なんだか見えている範囲で考えすぎていたなあと気づいて…。

ー逆なのかなと思っていました。事業をやっていくと、「もっと綿密にプラン磨けるよね」と思うようになるのかなと。

うん、そっちに傾きすぎちゃうんですよ。いつも根拠があるというか、真っ当な未来が見えちゃう。「多分3年後にはこういった価値が生み出せるな」と思えるのは嬉しい反面、それだと見える未来しか起こらなくて面白くないじゃないですか。

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今の持ち物でどうにか頑張らなくても、もう1回作ってみてもいいんじゃない?って感じるんですよね。だからこそ、来期新しい事業にチャレンジしようと考えてます。

ものすごく立ち上がるかもしれないし、失敗するかもしれないんですけど、その予測できないようなことを毎年仕込み続けていきたいなあって。あの新規事業コンテストをみて、今年事業を増やそうと決めたというか。

ー毎年仕込み続ける、ですか。

そうですね、5年後、10年後、自分が想像できないような人生になっていると面白いなあ。なんかずっと…いつも「今より少し先の話」ばかり考えていますね。"今ここから”を楽しくしていくことに、全振りしていたいんですよね。

ーああ、それがビジョンにも現れてるんですね

うん、そうかもしれない。僕はその……ノリが軽いところがあるんですよ。

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子育て業界でも、悩みにアプローチする事業者さんは多いですけど、僕がやるならハッピーな瞬間を引き出すような方が、出来るんじゃないかと。僕自身がそのスタンスの生き方をしているので、事業も同じ性質を持っているんだと思います。

お互い好きなんじゃないかと。僕もみんなのこと好きですし

あ、そういえば。僕から質問いいですか?『ベンチャーズの事業責任者にはどんな人がなるんですか』と質問いただくこともあるんですけど………僕たちあんまり似てないですよね?共通点ってなんなんでしょう?

ーいや本当に、なんなんでしょう。

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………。「飲みに行くとたのしい」ですかね?

ーああ〜、それはとっても……。

人それぞれ、変わったエピソードだったり、自分ルールみたいなのがありますよね。僕、自分ができないことはすぐ誰かにメッセして、相談してるんです。なんというか、みんなお互いのこと好きなんじゃないかなって思います。僕もみんなのこと好きですし。自分とは違う性格で違う事業をやっていて、いい関係な気がします。

ーパッと「ここは似ている部分があるな」という人はいますか?

うーん、パッと浮かばないですね。

ーじゃあやっぱり似てないんでしょうね〜。お互いのことを好きでいながら、似ていかないっていうのは気持ちがいいですね。

やっぱり外から見ても似てないと思いますか?

ーなんとなくですけど…、はい。組織って一人カリスマがいると、イズムが伝播して、ファッションや喋り方など、雰囲気が似ていきませんか?皆さんはそういうのがないから……表面的なところからは知りきれないというか。違うまま共存してる、だからもっと知りたくなるのはありますね

は〜、なんか面白そうな会社ですね。笑

ーはははは!そうなんです、とっても!

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after talk

ーさっき加来さんが『丸谷くんは、フットワークが軽い、お酒の席では人の話をよく聞いている』と言ってました。普段、人のどんなところを見ているんですか?

ああー。なんかその人の変わっている、尖っているところを見ている瞬間が楽しいんですよ。それを垣間見れる場だと、帰り道とてもたのしいですね。ただ突っ込んで聞けないシーンもあるじゃないですか?ああ〜もっと聞きたいな、多分めっちゃ面白いエピソードあるのにな〜ってモヤモヤしますよね。ははは

ー趣味のウクレレは何きっかけで?

自粛期間中に家族で共通の趣味として始めようかなあと。子どもも奥さんもいいねと言っていたので。でも「まずは一人で始めてみて」と言われ、まだ家族共通には至ってません。始めて2ヶ月くらいですね〜。あ、こないだ、宇多田ヒカルのFirst Loveを弾いたら、奥さんがスッと眠りに落ちました。今までに感じたことのない種類の感情でしたね。達成感というか、笑えるというか。音楽センスのない自分のウクレレの音色で誰かが寝るなんて想像したこともない状況だったので笑。あのシーンは思い出すだけで笑っちゃいます。

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制作後記

いつも、月に1度のこのインタビューの日をとても楽しみにしています。「は〜、今日も楽しかった、本当に面白かった!」と上機嫌で帰り、記事を書くときはインタビュー音声と全く同じ場面で笑ってしまいます。同じ話で二度笑うほど、楽しい時間なのです。

これは文中に書いてはいないのですが、丸谷さんの「学生時代のファミレスのバイトがすごく嫌いだった話」がとても好きでした。グリンピースを並べるオペレーションがひどくつまらなかったと、楽しそうに話してくださいました。(それでも1年くらいは続けて、バイト同期の中で一番長続きしたそうです。)

丸谷さんはいつ会っても軽やかで、淡々としているように思うのですが、こちらのことをよくよく観察していて、次々と気配を汲んでくださる印象があります。周りに無理をさせず、場を楽しい方向へ流していく。それをまさに「息をするように」しているんだなと感じました。そんな丸谷さんが弾くウクレレが、ご家族のララバイになるのには納得です。

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運営:Septeni Incubate / SIGNCOSIGN

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