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#建築 まとめマガジン

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#まちづくり

街並みと行き来して楽しむ「建築家 浦辺鎮太郎の仕事」展

先週末よりスタートしました、展覧会「建築家 浦辺鎮太郎の仕事―倉敷から世界へ、工芸からまちづくりへ 」。 元紡績工場の大スパンが生きた展示空間(ちなみにこの倉敷アイビースクエアも浦辺の改修物件です)、初公開となる原図やスケッチ等展示物の数々、そして圧巻の木模型。 制作を担当したのは各地の建築学科の学生さんたち。(実はその苦闘の日々が浦辺展公式インスタグラムで記録されてます。舞台裏も面白い)。 浦辺展会場はこんな感じでめちゃくちゃかっこいいです。そして広い・密度濃い。すべ

40代を迎えるためのステートメント①-1

1.私が建築家を志したきっかけ 私が建築家を志すきっかけになったのは、父で建築家・都市計画家の水谷頴介の影響であることは言うまでもありません。父は93年に他界し、当時の私は11歳です。直接、父から建築を教えてもらうことはありませんでした。幼少期の頃に父に仕事場に連れて行かれることが多く、絵を描くことや工作をすることが好きだった私は、模型や図面を広げ、デスクで作業をする姿に憧れたのがきっかけでした。当時は都市計画家という職業は当然知らず、建物を設計する仕事に魅力を感じていまし

モクチンメソッド|危機を好機に転換する現代版「計画的小集団開発」

木賃アパート。ハウジングの戦後史を辿るとき必ず出てくるこの言葉。たしかに老朽化して空室も目立った状態であちこちに見かけるよなぁ~。これは社会問題にもなっていくよな~。などなど他人事に思っていたのですが、ある本を読んで「あ、そうか!いま自分が住んでるアパートも木賃アパートだ!」って、にわかに自分事になってオドロキました。 そんなキッカケとなった「ある本」とは、『モクチンメソッド:都市を変える木賃アパート改修戦略』(連勇太朗・川瀨英嗣、学芸出版社、2017)。 オレンジ色の表

延藤安弘『まち再生の術語集』を読む|今和次郎から西山夘三、そして延藤安弘へ

縁側という方法建築学者であり生活学の提唱者でもあった今和次郎(1888-1973)は太平洋戦争で焦土と化した日本を復興すべく、敗戦直後の1945年に著書『住生活』を出版しました。 表紙には民家の縁側で談笑する家人とご近所さんが描かれています。 今は、同書において復興日本のあるべき住生活モデルを「縁側社交」として提案しています。これまでの都市生活では別々になっていた「事務的な社交」と「親密な社交」が自然と混ざり合い、格式にとらわれない健康な住まいを実現するのが「縁側」だと説

建築学者・延藤安弘【2】|1964年、絹谷助教授の死が京大西山研にもたらしたもの

東京オリンピックを翌月に迎えた1964年9月、京都大学西山夘三研究室に一大事件が起きます。西山の後継者として将来を嘱望された助教授・絹谷祐規(1927-1964)が遥かオランダの地で不慮の事故により客死したのです。 そのショックと悲しみがどんなに大きなものだったのかは、絹谷の死の翌年に刊行された遺稿集『生活・住宅・地域計画』(勁草書房、1965)に収録された西山夘三(1911-1994)による「あとがき」を読むとヒシヒシと伝わってきます。西山は50頁弱にもおよぶ、愛情と無念

時代を超えたモノとヒトの重奏が 建物の変わらない魅力となる─大野義男 (船岡温泉4代目当主)

京都大学平田晃久研究室と京都の建築学生,新建築社で,建築学生のための拠点づくり「北大路プロジェクト」をスタートさせました. その思考を広げるため,学生によるさまざまな専門家へのインタビューを行い,連載として紹介します. 第4回は京都市北区紫野の船岡山のふもとにある船岡温泉の4代目当主の大野義男さんにお話を伺いました.先代から受け継ぎ経営されている船岡温泉を見せていただきながら,「北大路プロジェクト」におけるコミュニケーションの生まれ方を考えていきます. インタビューの聞き手は

ツーバイフォー住宅|戦後民主主義の〈住まい〉的実践

ツーバイフォーはブラックバスか?雑誌『暮しの手帖』の1977年早春号には「2×4工法で家中が手伝って建てた家」と題した記事が掲載されています。 計画・施工に渋谷さん一家が参加し、あちこちを自分たちの手でつくった思い出の一軒家。できればセルフビルドで建てたいけれども、やはりそれは大変。「むずかしいところや危ないところはクロウトにやってもらう」という建主参加型の家づくりを提案するのがこの記事の主旨です。 この記事に登場する2×4=ツーバイフォーは、正式名称を枠組壁工法(アメリ

知ってます?「サードプレイス」の本当の意味。8つの条件をクリアして、社会的・経済的価値を、より高める。次の時代のカギはココ!

「サードプレイス」って言葉、聞いたことあります? 巷では「家と職場・学校との間の第三の居場所」のような意味合いで、カジュアルに使われるようになっているようです。けど、改めて調べてみたら、実はほとんどの人が、その意味を把握せずに使っていることがわかったんです。というわけで、今回は、一緒に「サードプレイス」とは何かを学び、考えましょう。 なぜ今、サードプレイスを考えたくなったのか?そもそも、どうして今さら「サードプレイス」という言葉が気になったのか。「喫茶ランドリー」をオープン

再構祭第一審(創造系不動産、建築再構企画の取扱い説明書)喫茶ランドリーにて

ワイはペリカンやけど、再構祭第一審、スカイプでみたで。 ツイッター実況やってみたけど、ワイはペリカンやから大変やったで。 トゥギャッター、まとめこちらみてな。https://togetter.com/li/1235927 当日は雨やったけど、喫茶ランドリー、乾かせれるから濡れても安心や。 なんやかんや、軽食取れはるし、ワイは水やけど、オレジューも飲めるで。  喫茶ランドリーWEBより ✴︎✴︎✴︎✴︎ 当日の予定表は以下の通りやったで。 佐久間はん、五周年やったから、

“安全なまち”はいつも個別解。地方が抱えるジレンマ|【イベントレポート】

密集市街地の防災と住環境整備:関西編 セミナーレポート(その3) 密集市街地の防災性と住環境の向上に取り組んできたUR都市機構(以下、UR)の15の事業手法を総覧した書籍『密集市街地の防災と住環境整備』の出版を記念して2017年11月21日に行われた東京・密集市街地再生フォーラムに続き、「密集市街地の防災と住環境整備:関西編」と題した出版記念セミナーを2018年2月9日、大阪にて開催しました。 このイベントレポートを3回に分けてお送りしています。 最終回の今回は、大野さんか

再整備に欠かせない「世代を超えた生活設計」という視点|【イベントレポート】

密集市街地の防災性と住環境の向上に取り組んできたUR都市機構(以下、UR)の15の事業手法を総覧した書籍『密集市街地の防災と住環境整備』。 その出版を記念して2017年11月21日に行われた東京・密集市街地再生フォーラムに続き、「密集市街地の防災と住環境整備:関西編」と題した出版記念セミナーを2018年2月9日、大阪にて開催しました。 今回はこのイベントレポートを3回に分けてお送りします。 大野さんからの概要紹介(→レポート第1回)のあとは、中迫悟志さん(門真市副市長)、林

「大義」だけでまちは動かない。都市整備35年の試行錯誤|【イベントレポート】

密集市街地の防災性と住環境の向上に取り組んできたUR都市機構(以下、UR)の15の事業手法を総覧した書籍『密集市街地の防災と住環境整備』。 その出版を記念して2017年11月21日に行われた東京・密集市街地再生フォーラムに続き、「密集市街地の防災と住環境整備:関西編」と題した出版記念セミナーを2018年2月9日、大阪にて開催しました。 今回のセミナーは5名の方に登壇いただきました。 本書を執筆したUR密集市街地整備検討会を代表し、関東からUR都市機構の大野新五さん、URリン

なぜオーストリアの地方都市で行われるアートフェスティバルに、 世界中から人々が集まるのか|【試し読み】

人口20万人のオーストリアの町リンツは、市民を巻き込みながら最先端のメディアアート・フェスティバルや国際コンペを開催したり、教育拠点のミュージアムや産業創出拠点のラボを設立したりして、衰退した工業都市を創造都市へ変貌させてきました。 『アルスエレクトロニカの挑戦』は、2014年にリンツに拠点を置く世界最高峰のクリエイティブ・文化機関「アルスエレクトロニカ」と博報堂との共同プロジェクトを立ち上げ、プロジェクトリーダーを務めてきたクリエイティブ・プロデューサー、鷲尾和彦さん

リノベーションの次に起きたのは、建築の◯◯化だった|ナカムラケンタ|【ブックレビュー】

もはや建築家は必要ないんじゃないか。世の中には建築が溢れているし、人口も減っていく。 そんな予感がした建築学生時代に、一つの答えを提示したのが、この本の著者の1人である馬場さんだった。それが「リノベーション」という手法。新築せずに既存の建築を活かすという意味で画期的。まさに薄暗い建築の世界に射す、一筋の光だった。 ただ、そのリノベーションによって、建築家の役割が変わるきっかけにもなったように思う。それは新築に比べて、予算などの規模感が小さいことなどもあり、建築家に設計以外