学びのある同世代のメンバーとの出会い(運営 畑蒼菜インタビュー)
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ソフトボールと野球の両方を経験
――野球をプレーしていたご経験はありますか?
ソフトボールを高校生の時に始めて、大学では男子野球部のマネージャーをしながら、女子野球部に所属しています。
――ソフトボールを始めたきっかけについて教えてください
中学時代に友達に誘われてソフトボールを始めました。その時は強いチームではなく遊び程度だったのですが、高校はソフトボールが強いところで、かつ勉強もできる高校を探して、その高校を選びました。
女子高生らしいことができなかった高校時代
――高校時代にソフトボールで掲げていた目標について教えてください
京都府の公立高校のソフトボール部がインターハイに出場したことが1度もなかったので、インターハイ出場を目標に頑張っていました。
――当時の練習に対する思いなどを教えてください
ほぼ初心者の状態で入部して、公立高校の中では強豪校だったので、最初は上手い人がいる中での練習で付いていけない部分もたくさんありました。それでも指導者の方がずっと教えてくださったことで、高校2年生の頃には試合に出られるようになりました。インターハイ出場まではいかなかったのですが、インターハイに繋がらない京都府大会で優勝することができました。
――当時の練習の日々の中で印象に残っていることはありますか?
高校時代はずっとソフトボール漬けの毎日で、女子高生らしいことがほとんどできなかったことが逆に思い出になっています。
当時は実感が湧かなかったインターハイ中止
――中学卒業を控えたタイミングでコロナが流行し始めましたが、当時はどのような状況でしたか?
中学校の卒業式の練習が始まった頃に流行し始めて、卒業の思い出作りのちょっとした行事などが行われる少し前に、コロナで休校が発表されました。受験で皆そわそわしていたけれど、その受験もやっと終わって皆で思い出を作れるという時に、行事ができなくなったことが悲しかったです。
――高校入学直後はどのような状況でしたか?
入学式が6月にあって、桜も何も咲いていない時期に入学という今までなかったことでした。初めてのことなので実感も湧かず、それまで外に出ることもできなかったので、高校生になったけど高校生活を送れていませんでした。良かったこともあったけど、友達作りが全然できていなかったり、皆と授業を受けることや、高校生とはどんな感じなのかということも分からなかったことが悲しかったです。
中でも困ったのが部活で、屋外で暑い中マスクをしながらソフトボールをすることが身体的にもしんどかったですし、初めて会う人とソフトボールをする中で顔や表情が見られないというのが最もしんどかったです。
――2020年4月26日にインターハイ中止と知った時はどのような心境でしたか?
ソフトボールを始めてすぐで、大会とかの想像もついていなかった時期でした。中止と聞いて自分は実感が湧かず、悲しいといった感情は何もありませんでした。しかしそれを聞いた3年生が泣いているのを見て、大変な練習をこなしてきたのに、自分の実力や最後の思いを発揮することができなくなったのがとても悲しいことなのだということを、自分が3年生になった時に気付きました。
――インターハイ中止の約1か月後、夏の甲子園中止の第一報を知った時はどういった感情でしたか?
甲子園や高校野球が好きでずっと観に行っていて、夏と言えば甲子園というところがあったので、それがなくなるというのは自分の楽しみもなくなりました。身近なところに甲子園を目指せる高校球児がいたので、甲子園がなくなって悲しんでいる選手を見るのが辛かったです。
――独自大会での先輩の姿はどのように映っていましたか?
3年生が2人しかいなくて、1人の先輩はとても上手くてチームの大黒柱のような選手でした。もう1人の先輩は下の学年の人にレギュラーを取られていましたが、最後まで練習を頑張っていました。その先輩が最後に代打でヒットを打った時に、言葉にできないくらい凄いなと思いました。
背中を押され女子野球の世界へ
―― 夏の大会で印象に残ったことはありますか?
最後の大会は試合経験のないチームと対戦し、一番期待されていた代でしたが、それでも負けてしまいました。練習量はどのチームにも負けないくらいで、生活面も徹底してきましたが、勝てなかったということに悔しいという思いもありましたが、やり切ったという達成感もありました。
――大学に進学してからは女子野球をやっているとのことですが、大学で新たに野球を始めたきっかけはありますか?
元々男子野球部のマネージャーをしていて、女子野球部を作られた方が男子野球部の総監督を務められていました。高校時代にソフトボールをしていたということで、ノックでも男子に混ざって手伝いをしていたところ、男子のボールを捕っているのを見た総監督が「女子野球部を作ったのだが、入ってくれないか?」と誘いを受けました。
自分の中では高校でやり切っていたので、最初は断っていました。しかし、元プロ野球選手の野球部監督と元オリンピック選手のコーチからやった方がいいと言っていただいて、背中を押されたことで「やってみよう」と一歩を踏み出しました。
――女子野球部で活動する中で印象的なエピソードなどはありますか?
自分が入った時点で部員が3人で、自分が友人を誘って4人になりました。その中に3回生の方がいて、来年が最後になるということで、来年部員が9人以上集まった時には勝ち負けにこだわれるくらいのチーム力を付けたいと考えています。
それまでにリーグ戦に出られるよう、連盟に入る方法を自分で調べて監督に報告したり、連盟に入るためにどのような活動をしていきたいかスピーチをしたりしました。そんな中、違う大学から合同チームを組まないかと誘われて、連盟に入ることもでき、今秋のリーグ戦に参加できるようになったことは数少ない思い出です。
取り戻そうとする姿に心を動かされ運営へ
――この「あの夏を取り戻せ」というプロジェクトを知った時はどう思いましたか?
Instagramでこのプロジェクトを知りました。ずっと高校野球に関わる仕事をしたいと思いつつも、具体的な将来の夢などはないまま過ごしてきました。
そんな時にこのプロジェクトを見て、野球を見るのもするのも好きで、インターハイなどに出られなかった人たちも見ていたので、何か自分にもできないことはないかと思いながら見ていました。
――その後プロジェクトの運営に加わりましたが、参加しようと思ったについて教えてください
Instagramで「甲子園がなくなった球児に、もう一度甲子園でプレーしてもらうために」というプロジェクトの紹介文を見て、そのように動ける人はなかなかいないと思いました。選手も仕方のないことと諦めようとしていた中で、大武さんが動いてくれたことで、「取り戻そうとすることはできるんだ」と感じました。
そんな大武さんが凄いと思い、参加を決めました。
やりがいを感じることも、大変だと感じることも
――運営ではどのような仕事をされていますか?
Instagramで知名度を上げるためのDMを送ったり、返信をしてコミュニケーションをとって、このプロジェクトを応援してもらえるような活動をしています。
またTikTokの動画をどのような人が見ているのかといった情報の報告を行っています。
――高校のソフトボール部、大学の女子野球部での経験が活かされているなと感じたことはありますか?
野球やソフトボールを観戦したり、実際にプレーすることで、Instagramでどのような企画をすればいいかというアイディアが沢山浮かんでくるので、それは経験が活きてきていると思います。
――やりがいを感じる瞬間はどのような時ですか?
同じ大学にプロジェクトの出場校の先輩がいて、そのような人に「ありがとう」と言っていただけるのが嬉しいですし、そういうプロジェクトをやっていると言って、監督やたくさんの人が応援してくれていることがとても嬉しいと感じています。
――運営として活動する中で大変だと感じる瞬間はありますか?
野球だけこのようなプロジェクトがあって、他の競技ではこのようなプロジェクトがないので、TikTokのコメント欄でも「他のプロジェクトをしてほしい」「他の部活も取り戻してほしい」といったコメントをいただくことがあります。他にも「過ぎたことだから振り返るな」「受け止めることも大事」といったコメントもあり、人は思っていることが違うので、理解をしてもらうことが大変だと実感しています。
知名度を上げていくことも、最初から大々的に取り上げていただくのは難しく少しずつやっていかないといけないので、時間がかかってしまうことが大変だと感じています。
学びにもなる同世代の運営メンバーとの出会い
――代表の大武優斗とはどのような人間ですか?
周りのことが見えていて、気を配ることができる人です。しかも大きな夢を持っていて、それを実現しようとする行動力が凄いと思っていて、尊敬しています。
――大武優斗との印象的なエピソードなどはありますか?
大武さんが各校の代表選手と会うために全国を回っていたときに、寝る暇もないくらい大変だったと思うのに、夜中までどのようなSNS企画がいいかということを一緒に話し合ってくれました。一番疲れているはずなのに、一番動いてくれていることが皆の信頼につながっていると思います。自分も信頼していますし、そう言うところが素敵だと思います。
他にも自分が忙しくて運営の活動がなかなかできないときに話を聞いてくれたり、皆の見えていないところで自分に対して思ってくれていて、そういうところがこのプロジェクトが進んでいる秘訣だと感じています。
――プロジェクトの運営の中には畑さんと同世代のメンバーも多くいますが、その人たちについて感じていることはありますか?
同い年でも住んでいる所が違い、追いかけている夢も全然違うメンバーですが、コミュニケーションを取っていると、「こういう考え方もあるのか」と感じることがあります。同い年で話しやすいし、親近感がわく中で、考え方など多くのことを学んでいます。
――畑さんにとって甲子園とはどのような場所ですか?
甲子園は観ている人にも感動や勇気、元気を与えられるし、プレーしている人は今までできなかったことができたり、甲子園だからできるプレーが生まれると思います。甲子園球場はそんな凄い場所だと思います。
あの夏をもう一度
――運営メンバーとしての今後の目標について教えてください
今は皆についていくことが多いですが、自分から意見を出すなどして、自分の存在感が大きくなるように力を発揮できればと思います。
――プロジェクトに参加する約1000名の選手へメッセージをお願いします
自分は甲子園やインターハイがなくなった世代ではなく、その実感も初めは湧いていませんでした。しかし、自分が高校3年生の時に悔いがなかったと思えたのは、最後の大会があって頑張り続けたことが大会に出せたからだと部活を引退してから感じました。
そんな最後の大会がなかったことは本当に悲しいことだと思うので、甲子園に出てあの夏をもう一度皆に取り戻してもらいたいと思います。
――最後に応援してくださっている方々へメッセージをお願いします
いつも応援してくださっている皆さん、ありがとうございます。
このプロジェクトを絶対に成功させるために頑張りますので、これからも応援よろしくお願いします。
プロジェクト公式サイト:https://www.re2020.website/
公式Twitter:https://twitter.com/remember__2020
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