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"好き"は無資格だからこそ素晴らしい

はじめに

以前、私のTwitterアカウントのツイートに、こんなリプライが届いた事があった。

「最近プロレスにハマった私の友人がいるのですが、新日本プロレスしか観ません」

「私は、色んな団体を見てこそプロレスファンだと思うのですが、レンブラントさんはどう思われますか?」


私は、少々答えに窮した。

私の中では、"いつの間にか、なっていた"のが【ファン】という感覚があるから…。




私は、ファンという存在に必要な資格や試験はないと思っている。

コンテンツに因んだ検定やテスト企画もあるけれど、それが愛を決める絶対的要素だとは思わない。


私自身、プロレスを見始めたキッカケは新日本プロレスだったが、全日本プロレスを観た事で「色々な団体を見る」面白さを感じ、今現在の観戦スタイルに至っている。

これは、結果的にそうなっただけであり、そのまま新日本プロレスを観て、他団体を知らない世界線だって十分有り得た。
仮にそんな未来が訪れたとして、「新日しか見てないのはプロレスファンじゃない!」なんて他人に言われたらビックリして、多分私は泣いてしまうだろう(苦笑)


好きになるキッカケなんて、何処に転がっているか分からないものだ。

私の場合、2015年に現地でリングへのペットボトル投げ入れ事件を目の当たりにして、「もう見に行くの控えよう…」と思ったプロレスリング・ノアには、ここ4~5年間で一番足を運んでいる。


苦手だと思っていたスターダムも、他の方の上げているツイートや写真がキッカケで興味を持ち、2021年ぐらいから少しずつ足を運ぶようになった。


これらは、5年前の私には予見できなかった事である。
好きになるキッカケなんて、いつどこに転がっているか分からないものだ。

プロレスリング・ノアの杉浦貴。私が杉浦を好きになったキッカケは単純だ。
初めて見た時に「めっちゃカッコいい」と感じたから。この1点だけ。


音楽で感じる"生で観たことないけどカッコいい"の良さ

私の場合、音楽の話になると、冒頭の質問主が語るような"友人"の状況に近づく点がある。


中学生の時に好きになったキリンジは、まだ生でライブを見たことが無い。


10年以上好きなロックバンド・ストレイテナーも、生でライブを見たのは2022年の音楽フェスが初めてだった。


フジファブリックは2007年頃から聴いているけれど、志村正彦を生で観る事は叶わなかった。
(初ライブ参戦は2014年)


ミッシェルガンエレファントや赤い公園も、メンバーの訃報で初めて存在を知り、曲を聴きだしてから一気にハマったので、ライブなんてそもそも観れていない。


それでも、これらのバンドが好きだと私は言い切れる。
見ていないからと言っても、好きだという気持ちに嘘はつけないものだ。


こうしたキッカケが、新しい"好き"に導いてくれる事もある。

私が近年ハマり始めたthe band apart(以下:バンアパ)というロックバンドも、キッカケは坂本真綾に提供していた楽曲が気になってからだった。


更にその後、バンアパのPVに出ていたり、赤い公園のサポートメンバーに入ったりしていたメンバーのギタープレイが気になって、tricotも聴くようになった。


30歳前後になるまでガールズバンドとかに縁遠かった私の嗜好が、キッカケひとつで変わる。
好きになるキッカケは意外なところで見つかるから、決して馬鹿にはできない。


誰かの"好き"が与える影響

誰かの好きなことが、他の人に与える影響は大きい。

タイムラインでファンが挙げている選手の写真や感想は、見たことの無い・行ったことの無い対象への興味を増大させるキッカケになり得る。


実際、女子プロレス団体で今勢いのあるスターダムと東京女子プロレスは、団体公式アカウントや所属選手のSNS発信もさることながら、団体のファンによる発信も多く目立つ。
団体に関する何かしらの情報を、見かけない日が殆ど無いのである。

東京女子プロレス


ファンという存在は、誰かから報酬を与えられているわけではない。
(寧ろ、お金を払っている立場が殆どだろう)

それでも、ファンが無報酬で熱量を放出する様は、"好き"が持つ力に他ならないのではないだろうか?


ファンが呟いている選手が気になりすぎて、実際に会場まで観に行った例も少なくない。

乃蒼ヒカリ
河野真幸
大門寺崇


ファン経由で"好き"になるケースは、未知への刺激・好奇心に遭遇させてくれる絶好の機会だと、私は感じている。


まとめ

「その女友達の方はプロレスファンだ」と思います。

私も昔のプロレスに詳しくありませんし、ファンという存在は【他者が認める・認めない】の二択で決めるものでもない、というのが主な理由になります。

冒頭のリプライに対して、私が返した内容である。

実際、私は好きになり始めた2015年よりも前のプロレスには詳しくない。
それに、海外の団体や選手事情にも疎い。
(どうしても、私が生で観に行ける範囲の団体に熱を持ってしまう事が殆どだから)

2015.7.18 『鈴木みのるvs高山善廣』
この頃の私は、2人の名前は知っていても、因縁の関係にあることは知らなかった。


歴を重ねるに連れて、行かなくなってしまった団体は多いし、年々興味の幅が狭まりつつあることも実感している。

嗜好の変化に連れて、好きだったことへの興味や関心が失われる機会も訪れた。
その時に、無理に好きで居続ける必要は無いと私は感じている。

コンテンツとの距離を置くことが、関わりの終わりとは限らない。
そこから、熱量が戻ってくるケースもある。
(※個人的感想)

一時期色々あって見に行かなかったDDTも、今は普通に観戦できている。
時間を置くことが必要なタイミングも、人にはある。


好きな事は無資格だからこそ素晴らしい。
そこに何かしらの資格や知識が必要だと思わせてしまう状況は、新しく知った人にとっては入りづらいものだから…。


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