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変態プロレス放談

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しがない変態プロレスファンが、プロレスを中心に気付いたこと・感じたことを徒然なるままに書いてみました。 ひとつよしなに…!🙇🙇🙇
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#ddtpro

2年越しの理想形~2024.5.29『小峠篤司vs秋山準』~

はじめに 2022.6.12、『サイバーファイトフェスティバル2022』で組まれた『樋口和貞&遠藤哲哉&秋山準vs稲村愛輝&小峠篤司&中嶋勝彦』によるDDTvsNOAHの対抗戦。 戦前に注目を集めたカードにもかかわらず、開始から間もなくして遠藤が中嶋の張り手一発でレフェリーストップ負けという、あまりにも衝撃的な結末で試合は幕を閉じた。 今振り返ってみても相当の賛否を生んだ一戦だったと思う。 私はこの試合そのものの評価を付ける事は出来ないし、それは難しいと感じていたけ

心臓が止まるまでは~2024.2.7『坂口征夫vsHARASHIMA』~

はじめに他人の引退試合というものは、ファンが当事者に接している面積が広ければ広いほど、未練と後悔の割合も自然と多くなっていくものかもしれない。 私は一介のファンでしかないけれど、いつしかそのような感覚で(些か勝手ながら)他人の引退試合を捉えるようになっていた。 怪我が原因で現役を続けられなくなった。 新たな道に進む。 大体そのような理由で引退していく選手を客席から見送る度に、「もっと試合を見ておけば良かった」、「将来楽しみだった」という感情ばかり溢れ出てくる。 私自

プヲタが本を読んだなら~第5回・『強く、気高く、美しく』~

2023.11.21に発売される赤井沙希の自伝・『強く、気高く、美しく』を読了しました。 本書が刊行されるより前の2023.11.12に、DDTプロレスリング両国国技館大会で約10年のキャリアに幕を閉じたプロレスラー・赤井沙希。 著書自体は正式な発売前ではありますが、上記の両国国技館大会で先行販売されていたので、当日会場に来た観客で一足先に入手・読了していたという方もいらっしゃるのではないかと。 私も正式発売される前のタイミングで本書を入手したのですが、内容はサクサク読

永遠と刹那のカフェ・オ・レ~2022.10.23『樋口和貞vs坂口征夫』~

はじめに2015.6.28、私は後楽園ホール大会にいた。 2015年春にプロレスにハマった当時の私は、色々な団体を見たいという好奇心に溢れていた。 新日本プロレス、全日本プロレス、プロレスリング・ノアを生観戦した後、私は【飯伏幸太が所属している】という理由だけで、DDTプロレスリングを見に行ったのである。 この日は『KO-Dトーナメント』の準決勝&決勝戦。 この準決勝で実現したカードの一つが、『樋口和貞vs坂口征夫』である。 煽りVで流れたBRAHMANの『THE V

"真ん中"と"横道"のジャンクション~2022.10.12『樋口和貞vs青木真也』~

はじめに 上述のやり取りは、2022年8月にDDTプロレスリングで行われた『樋口和貞vs遠藤哲哉』を前に、青木真也のインタビューで生まれたものである。 2022年6月、サイバーファイトフェスティバル2022で起きた、KO-D無差別級王者・遠藤哲哉の失神KO。 遠藤の返上により空位となった無差別級王座を、自らの手で掴み取った樋口和貞。 そんな一連の流れに対して、フリー参戦中の立場から青木がコメントしたのが、冒頭のインタビューである。 質問にある「俺たちのDDTを見せよう

「ちゃんとプロレスしてるぜ」〜アクシデントを線に繋げた強みについて〜

はじめに これは、ビートたけしのエッセイに登場するセリフである。 凶悪事件における「心のケア」に話が及んだ際、自身の経験(オートバイ事故etc)を交えながらコメントした内容だ。 学生時代、人間関係等の嫌な事から逃げがちだった私にとって、トラウマと向き合う旨を述べた著者のコメントは、まさに衝撃そのものだった。 怖くて踏み出せない一歩に、そっと勇気を与えてくれるように感じたから。 あれから十数年が経ち、ふと、このセリフを思い出す機会に巡り合った。 「ちゃんとプロレスやろう

プロレスとは、"大河ドラマ"である~『KING OF DDT 2022』観戦記〜

2022.7.3、DDTプロレスリングのシングルトーナメント・『KING OF DDT 2022』が閉幕しました。 例年であれば、トーナメントの覇者が夏のビッグマッチでKO-D無差別級王座の挑戦権を得る構図なのですが、今年は少し、趣が異なっていました。 トーナメント開幕直前、KO-D無差別級王者・遠藤哲哉の欠場発表。 その後、遠藤の要望で返上された、KO-D無差別級王座。 かくして今大会は、"トーナメント覇者が王座戴冠"というシチュエーションで開幕を迎えることに…。

「ちゃんとプロレスしようぜ」に対して私が思ったこと

2022.6.12、さいたまスーパーアリーナにて行われた『サイバーファイトフェス2022』を観戦してきました。 サイバーファイトグループの4団体が集う、2度目の合同興行。 今回のフェスで注目カードとして押されていた一つが、DDTプロレスリングとプロレスリング・ノアの対抗戦。 計3試合組まれた対抗戦の中でも、戦前から最も火花を散らしていたカードは、『樋口和貞&遠藤哲哉&秋山準vs稲村愛輝&小峠篤司&中嶋勝彦』の6人タッグマッチでした。 しかし、試合は思いもよらぬ結末に。

3週連続で推しのタイトルマッチを観戦してきた

はじめに自分の好きな選手が、ベルトが賭けられた舞台に立つ…。 私自身、2015年にプロレスを好きになって以降、そうしたシチュエーションに巡り合う機会は決して多くはなかった。 どんなにタイトルに恵まれている実力者であっても、年1回、その舞台が生で見られれば御の字。 比較的毎日のように興行が開催されている関東圏内に住んでいても、そのような実感がある。 先日、私の好きな選手がタイトルマッチに絡む機会があった。 それも、3週間連続で。 その選手の名は、高梨将弘(DDTプロレ

私が知らないあなた~対抗戦で表出する、新たなる魅力と可能性について~

はじめに~今の対抗戦に通ずる『スマブラ』・『対バン』的要素~私は、『対抗戦』というものが(どちらかというと)苦手なタチだ。 古くは『新日本プロレスvsUインター』など、今でも伝説に残る対抗戦はあるけれど、今は求められるものが変わったように思う。 殺伐さやギスギスした情念とかではなく、今は『大乱闘スマッシュブラザーズ』的なクロスオーバー的な要素が高まっている、とでも言いましょうか。 2022年1月に行われた『新日本プロレスvsプロレスリング・ノア』なんかは、その最たる例かも

声出し応援再開の機運について感じた事

2022.5.25、DDTプロレスリングより、とあるリリースがなされた。 2022年に入り、毎月行われているDDTの無料興行において、久方ぶりに声出し解禁を打ち出した興行の発表…。 新型コロナウイルスが蔓延し始めた2020年春以降、多くのイベント・エンターテインメントで禁止されたのが"声援"である。 コロナ禍に突入した2020年春以降、規模が大きくない団体によっては声援が許可されるケースはあったものの、【マスクを鼻まで覆う】、【大声での声援はNG】という条件付きでの実施