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公園に滲み出す"板橋区立中央図書館"

子どもが借りたいと言った本が近所の図書館で貸出中だったため、昨年12月の新建築に掲載されていて、密かに行きたいと思っていた板橋区立中央図書館へ子どもを誘って向かった。
板橋区立中央図書館は、板橋区平和公園内への移転が決まり、コンペの後に松田平田設計が設計者に選定され、202年3月に竣工した。

外観
児童コーナー前面
2Fテラス

1.有機的に図書空間が公園に滲み出る

「公園一体型図書館」をコンセプトとして設計されたが、その名の通り足元部分は有機的なガラス面が公園にうまく侵食している。内側の児童コーナーやカフェからは、公園の賑わいや自然が感じられる。公園側からは、球体のペンダントライトが灯る中、絵本を読む親子の姿が見える。
2階の開架スペースの先にもガラス手摺で構成された曲面のテラスがある。こんな寒さなので人はいなかったが、気候が良い日であれば気持ちよそさうだ。コロッとしたスツールも可愛い。

公園側外観
2F閲覧席

2.ルーバースクリーンによるゆるい公園との繋がり

図書館設計の課題は、本への紫外線対策だろう。開放的過ぎる図書館で本が劣化してしまう事例もある。しかしながら、閉鎖的過ぎても魅力的な空間が作れない。この場所では、いかに公園内にあるロケーションを生かしながら、建物内への日射遮蔽を講じるために、ガラス面の外側にルーバーを用いた環境スクリーンを設定している。ルーバーの奥行き、間隔、角度を微妙に変化させながら、光や公園の気配を取り込み、本へケアや落ち着いて本が読める閲覧スペースが実現している。また課題解決のためのルーバーは清々しいファザードを作り出すデザイン要素になっている。

1階エントランスホール
階段室の開口
入り口アプローチ

3.各所の抜け感が長居を促す

私が子どもの頃通った、窓の小さな四角い箱の図書館。この図書館を見て、月日の流れを感じでしまった。エントランスを進むとエレベーターシャフトを囲む吹き抜けが迎える。ちょっとした階段に設けられた開口は公園の木々を切り取っている。木の温もりと打ち放しのシンプルな空間で人々は宝物探しのようにブラブラ建物内を巡ったり、勉強したり、ゆっくりと時間を過ごすことができる。
お腹が空いたけどまだ帰りたくない娘とカフェでご飯を食べて、午後まで長居をしてしまった。

公園と図書館など組み合わせによる可能性は無限だと感じた。それぞれが独立しながらお互いが滲み出して気持ちよい空間を作り出している。今度は開館から閉館まで過ごしたい!

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