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映える琥珀糖は江戸時代が起源"亀屋清永 水の精"

琥珀糖を数十年ぶりに食べた。琥珀糖は、東京のデパ地下でも目にするが自宅用に買うことはなかった。以前京都へ行った際に、あんこの嫌いな娘からレインボー綿あめ的なノリで所望された。味は元より涼しげな見た目、綺麗な色の集合体にお菓子を超える尊さを感じた。

亀屋清永の創業は1617年。400年以上の歴史を誇る。奈良時代に小麦粉を原料とした唐のお菓子が遣唐使により伝えられ、砂糖も同じ頃伝来した。当時は将軍など一部の高貴な立場の人しか口にできなかった。お菓子が甘くなっていったのは16世紀中盤、ポルトガルによってカステラやコンペイトが伝来してからだと言われる。江戸時代には砂糖を使った独自のお菓子へと発展を遂げた。その中で琥珀糖は寒天に砂糖を足した素朴なお菓子と位置づけられていた。

1.涼を感じる、和菓子がもたらす情緒

外国にもジュレやムースなどあるが、ここまで涼を感じさせるというのは、情緒豊かな京都の和菓子の特徴だろう。その透明感、微妙な色の具合、研いだ宝石のような形状、職人の技術や伝承が五感で人を潤す。

2.純粋な甘みと食感を味わえる

最近ではバター、キャラメルやチーズなどその独特のコクや苦味が甘さを合わせて味わえるスイーツが多いが、初心に戻る砂糖のみの甘み。それに加えて表面のパリっとした食感の内側の瑞々しさ。「吾唯足知(われただたるをしる)」を実感する。

3.琥珀糖の進化が止まらない

江戸時代にはあまり意識してなかったと思うがSNSで映えると人気だ。それに合わせて色や形もかなり進化している。スティック状になってグラデーションになっていたり、飲み物に入っていたり。これはこれで伝統を未来に繋げる手段である。

慌ただしく先が見えない世の中で、昔からあって素朴で美しいものに触れるのは心が満たされる。
琥珀糖はそんな存在である。


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