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紫陽花を見る前に立ち寄る"スターバックス鎌倉御成町店"

紫陽花が見頃となる6月。
せっかくなら鎌倉の紫陽花を、と思いつつ、長谷寺の混雑ぶりを想像すると躊躇してしまう。
そのため鎌倉には数年に一度の間隔で、多少の行列覚悟で鎌倉を訪れている。
いつも朝早く都内を出て、鎌倉で江ノ電に乗り換える前に訪れる場所がある。それが「スターバックス鎌倉御成町店」だ。
駅を出てスーパーの紀ノ国屋の少し先にあり、鎌倉と言っても人通りが少ない住宅街に位置する。

この店舗は、漫画家横山隆一氏の邸宅跡地に建てられ、庭のプールなどはそのまま残されている。歴史的建造物を店舗としてリノベーションする事例はちらほら見られるが、個人邸を活用する事例は珍しい。

この場所に来ると私が勝手に思う、「鎌倉時間」へとスーッと移行する。普段の追われる時間ではなく、皆が思い思いに過ごせる時間、実際流れる時間もコーヒーの味も都内と変わらないのに何となく別の時空にシフトする感覚を覚える。

何がそう時間の流れ方が変わったように感じさせるのか、考えたい。

1.大屋根から差し込む陽光

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通りからもその傾斜した大屋根がよくわかる。内部空間にも連続し、木目の天井の緩やかな傾きが心地よい。天井にはスリット状にトップライトが施され、梅雨の時期のそこまで強くない日差しが店内に降り注ぐ。そして程よい一軒家サイズの空間は、都心の大型再開発物件や郊外商業施設のスタバでは味わえない、「誰の家でもない家らしき場所でコーヒーを飲む」という居心地の良さを提供してくれる。

2.家主の痕跡をたどる

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漫画家横山隆一氏は広告や絵本の挿絵の他アニメーションも手がけた。代表作品「フクちゃん」の原画が店内の一角に飾られている。ちょっと私でも描けるんじゃないか、と思わせるシンプルな画風が現在まで長く愛されているのだろう。この場所は漫画家が集まるコミュニティの場でもあった。きっとワイワイしながらプールに入ることもあったのだろう。そうやって家主の痕跡を垣間見ることができるのも楽しい。

3.ボーッと眺める、プールがある庭

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大きく突き出した軒が店内からも見える。その先には程よいサイズのプールを中央に据えた庭がある。このテラスでプールを眺めながらコーヒーを飲むのと、日頃の細々した事がどうでもよくなってくる。ここで暮らしていた様子をゆるゆると思い浮かべながら、今日の紫陽花は何分咲きなのだろう、と考え、出発する準備を始める。


その日の長谷寺の紫陽花は5,6分咲きだった。それくらい控え目な方がそれぞれの品種や色みを堪能するには良いかもしれない。よく見ると品種の違いの他に、同じ品種でも花びら1枚1枚の色が異なり、1枚の花びらの中でも色のグラーデーションがあり、紫陽花に、深みと奥行き感を与えている。

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