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挿絵の魅力は世代を超える"安曇野ちひろ美術館"

子どもの頃、教科書の表紙はいわさきちひろの絵だった。教科書の題材のトットちゃんにも挿絵として使われていた。数十年思い出すことはなかったが、娘がある日、いわさきちひろについて知りたいと言ってきた。東京にある美術館へ行ってしばらくして、安曇野の美術館に行く機会があった。

いわさきちひろは、戦争中母の実家に疎開し一時期安曇野で暮らしていた。彼女の技法は、水をたっぷり使った水彩画、鮮やかな花や草木と共に少女を描くことが多い。

1.水がきれいな安曇野に水彩画が溶け合う

わさび畑としても有名な安曇野は水がきれいである。そんな場所で見る彼女の水分をたっぷり含んだ水彩画が絶妙に溶け合う。絵の輪郭がぼかされることで、絵そのものが変に主張せず、絵本の挿絵として最適である。

2.憂いある子どもの絵に時代背景を読み取る

楽しく遊ぶ少女の印象が多いが、広島の原爆、ベトナム戦争を題材にした絵もある。彼女が一貫して絵に込めた思いは平和への願いである。描く少女の目の中にどんな光景が映っていたのか、見る側も考えさせられる。

3.子どもも体験しながら楽しめる

自然と共生するこの美術館は中庭が設えてあり、自然光を展示に取り込んでいる。プロジェクションマッピングや立体物など子どもが楽しめる工夫も各所に見られる。
隣接してトットちゃん広場があり、トットちゃんに出てくる車両の教室が再現されている。

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彼女は挿絵をアートに昇華し、その価値を世に広めた。世代に関わらず絵本に出てくるこの瑞々しい水彩画に触れると何かを感じる。いわさきちひろは親子でアートについて考え会話を交わすコミュニケーションのきっかけとなる。

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