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『 』

息ができないなら、息を止めてしまえばいい。
生きれないなら、死んでしまえばいい。
息を吸っても、吐いても、死んでいるようで。
酷く不愉快で、顔が歪む。
きっと苦しそうな顔をしているだろう。今の僕は。
喉元に手を置いて、嗤う。
『』
零れた息は原型を留めず、言葉を発しても、言の葉にしかならない。
空白。
そう、空白。虚無。
言葉にならない。声は、息とともに消える。
それが悔しくて、走る。走る。
進む道も、行き先も、分からないまま。
なぜ走ってるのかも、何のために走ってるのかも、分からない。それでも、走る。
息が詰まる。息が乱れる。
叫ぶ。
おもむろに立ち止まる。
そこは、綺麗で、世界の終わりのように、美しかった。
境界線など存在しない、世界の終焉。世界の始まり。
そんな場所。
息を止める。息を飲む。
意味があったのか、訳もなく走り続けたこの人生に。これから消えると、知っていても、何故か、清々しかった。
息を吸って、吐いて、生きて、死んで、そうやって、続いてく。
『               』
僕は、いつまでも、探している。
あの時の、呟いた言葉を。
それを知るまでは、もう少し、ここに居よう。

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