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空きビルを使って街の魅力を高める仕組み

_ for now @沼津

空きビル活用プロジェクト「_ for now」(フォーナウ)、昨年に引き続き第二弾が沼津市大手町の丸天ビル(大手町5-4-1)にてオープンしました。

_ for now : とりあえず
遊休化ビルの暫定利用で人や活動を集めるプロジェクト。
ここから生まれる新しい事業や自由な取り組みが、他の空きビルの活用に役立つかもしれない。_ for now は、未来の街のためのチャレンジを支援します。

by Reiver 一級建築士事務所勝亦丸山建築計画

街にたくさんある空き物件が次の誰かに使われるまでの少しの間「とりあえず」使ってみることで、まちなかのポテンシャルをリアルな場を通して体感できます。

魅力的なまちには小商いがある

小商い(スモールビジネス)は自らのアイデアやこだわりを表現することから始まるものであり、必ずしも利益を先行する必要はない。
市民の多様な個性の表現が表れてくることで、街はもっとわたしたちに身近で、親しみやすい場所になっていく。
市民に自己表現の場として選ばれている街は魅力的であり、市民にとって自己表現の場を提供するとともにそのハードルをできるだけ下げていくことが、街の魅力向上につながる。

自己表現の場として空き物件を活用する

人口減少と過剰な物件供給によって全国各地に空き物件が増加している。中でも老朽化ビルは市場競争力が低く、長期間借り手がつかないことも多い。そういったビルを活用して、地域住民の表現の場を提供する取り組みが「_ for now」である。

活用アイデア①:「タイムシェア」で空き物件を最大限活用する

不動産は、一人の借り手では365日24時間活用できない。1日の中で決まった営業時間があるし、定休日も必要だ。
使われていない時間帯や曜日を他の借り手とシェアすることで、不動産を最大限活用することができる。昼間カフェで夜はバーで活用されている物件を最近よく見かけるが、事業オーナーが違うので休まず営業できるという仕組みだ。
そのために不動産オーナーは、メインで物件を借りている事業者には部分的な転貸を許容する必要がある。
その自由度があることで空き物件の稼働率は向上する可能性がある。

活用アイデア②:「マスターリーサー」が集まる価値を最大化する

同じ物件でやる以上はできるだけ雰囲気が近い事業と組んでいきたい。シェアする業態同士の客層が近いと、それぞれ客を呼び込み合って相乗効果が生まれる。
空き時間を誰かに使ってもらおう!と思い立っても、そんなことを意識しつつ、自分のお店を回しつつ、協業者を探すのは非常に困難である。
それならばいっそ役割分担をしっかりして、

 A. 物件を管理し、たくさん人を集めて時間を割り振る
 B. 割り振られた時間の中で最高のパフォーマンスを発揮する


それぞれの役割に分けると、お互いが集中できてより良い結果につながりやすい。
A. の役割を「マスターリーサー」と呼び、相乗効果を生むプレイヤーを集めて一つの施設として強みを発揮することで、場の価値を高めることが可能になる。

活用アイデア③:「マーケット・ポップアップ」で誰もが参加できる表現の場を提供する

市民がアイデアやこだわりを披露する場として、いきなり物件を借りるのはかなりハードルが高い。そのため、インターネットを活用したオンライン販売から始めるのが一般的になっている。
そうやって少しづつ形になってきた小商い・スモールビジネスや、飲食などの対面でのサービス提供をする事業者にリアルな場を提供する最初のステップとして「マーケット・ポップアップ」が有効である。
沼津においては「ローカルマーケット」や「週末の沼津」など多様な場所、スケール、客層を持ったマーケット・ポップアップの場がある。
自らが手がけるビジネスや表現に応じて、良さそうな表現の場を選んでみるのが良い。

_ for now は自己表現の場を提供する

上記の3つのアイデアを重ね合わせて生まれたのが「_ for now」です。

①複数の事業者に共同で物件を提供し物件の稼働率を高め、
②建築家であるプランナーがマスターリーサーとしてサポートすることで一つの物件としての価値を創出し、
③家賃無料(共益費別途)にて貸し出すことで、収益を前提としない自己表現にも披露する場を提供する。
 

こうしてまちなかの魅力を向上させることで、遊休物件の活用、新たな事業者・居住者の呼び込みにつなげていくことを目指します。
なお、トライアル期間を経て、それ以降に本格的に物件を直接賃貸して事業継続を希望する事業者には、オーナーと事業者双方にサポートを実施します。

継続的な魅力向上を目指し、担い手を発掘し・育成する

_ for now」プロジェクトを実行するためには、

・まちの価値向上プロジェクトに賛同する空き物件所有者
・まちの価値向上を目指して物件活用を舵取りできるマスターリーサー
・それを促進する行政支援(規制緩和などのサポート)


上記3者の双方向的な協働が必要不可欠です。
幸いなことに、沼津市では各担当課の協力体制が整っているので、物件所有者とマスターリーサーが揃うことで空き物件を活用したまちの魅力向上の取り組みを継続することができます。
 
沼津のまちなかの魅力向上を目指して取り組みを継続していきたいと思いますので、ご興味ある方は是非お声かけください

お問合せ窓口

もし興味がある方がいれば、_ for now 運営事務局(Reiver)まで。


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