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柑橘からwithコロナを考える

みかんをほぼ毎日食べるようになってから半年近く経った。"手軽にビタミンを"と季節の柑橘を箱買いすることは以前から何度かあったが、去年のステイホーム期間あたりから、すっかりお取り寄せの癖がついてしまった。

はじめは産直サイトで、宮崎県のみかん農家から5キロを箱買い。傷ありの訳ありみかんだったが、こだわって育てられたもので、これまで食べていたものとは剥いている時点で香りが違った。皮を剥くと立ちこめる華やかな香り、その濃厚な味にすっかりはまってしまった。そして、生産者の方に直接「本当においしかったです。ありがとうございました。」、「次は10キロください!」と伝えられることが何だか嬉しかったし、一生懸命みかんを作ってくださる方を応援できたような気がした。

思えば、ステイホームの間もコロナ支援のサイトでいろんなものを取り寄せていた。自炊と外食自粛に飽き飽きしていたのもあるが、誰かと繋がりたかったのかもしれない。微力でも、誰かの役にたちたかったのかもしれない。

そんな中、友人にいつも通り年賀状を送ったらメッセージが届いた。年賀状のお礼と共に、唐突に「みかんいる?」と聞かれ、その後、友人の地元の大津みかん10キロが届いた。丁度みかんの時期も終わりに差し掛かっていた頃。酸味が強いため、収穫してから熟成される大津みかんは、我が家に最高のタイミングでやってきた。平べったくてかわいらしいそのみかんはとてもおいしかった。友人が何を思い、送ってくれたのかはわからないが、ろくに会えず、連絡もあまりとっていなかった中、思い出してくれて、みかんをたくさん送ってくれたことだけは確かだった。そう思うと、心があたたかくなり、何かお返しをしたいと思った。その後、ティータイムの好きな友人を思いながら、お気に入りのケーキ屋さんで焼き菓子を選ぶ時間も幸せなひとときだった。

そういえば、私はここ12年くらい年賀状を筆と色鉛筆で手書きし、印刷して送っているのだが、今年は別の友人から「年々年賀状も減ってるので、届くと嬉しい」と連絡をもらった。師走と呼ばれる時期に構図を考え、絵を書き、字を書く。時には和歌も選んで書く。正直なところ、なかなか出来に納得がいかず、面倒に思うことも多々あるが、友人のその一言でもう1周くらい書けそうな気がした。

その後、当然農園の連絡先を聞き、大津みかん10キロをおかわりした。箱を開けたら何だかレモン色の小さな柑橘がころころ混ざっていた。嬉しくなってメールでお礼を伝えると、「もっと入れたかったけど、重量オーバーで。少しですみません」と返事があった。とても爽やかな香りの黄色い柑橘は「湘南ゴールド」というらしい。また心があたたかくなった。

↑大津みかんと湘南ゴールド

そんなわけでみかんに溢れた生活をしていたので、自然と職場でもみかんの話をした。毎日食べていること、皮を乾燥させてほうじ茶に入れること。お風呂にも皮を入れて楽しんでること。「そのうち黄色くなりそう。何を目指してるんだろうね?」と笑い話のように話したら、なんと後日、「まだみかんブーム続いてますか?祖母の家で作ってるので無農薬です。」と、立派なはっさくと伊予柑をいただいてしまった。

先週末にはっさくをいただき、はっさく風呂に昼間からのんびりと浸かった。熟したはっさくの甘酸っぱい香り、ほろ苦さ。食べるときも、お風呂の中でもその香りを堪能する。二度おいしい。同時に手渡してくれたときの彼女のはにかむような笑顔を思い出す。今日は伊予柑をいただき、伊予柑風呂に入りながら、この記事を書いている。はっさくよりも甘く濃厚な香り。幸せな休日だ。

↑伊予柑の皮をかるく日にあてたもの

私はテレビも動画も見ないので、よく家で何をしているのか聞かれる。改まって聞かれると"何をしてるんだろう?"と自分でも疑問に思う。けれど、よく考えれば、おいしいものを食べ、人と関わりながら、ささやかな幸せを積み重ねて生きている。昔から周りの人には恵まれているのだなぁと事ある毎に思う。明日は彼女に伊予柑のお礼と感想を伝えよう。はっさくのお礼は既に伝えたけど、嬉しかったからもう一度伝えよう。くどいかもしれないけど、こんなご時世だからこそ。

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