書いて、書いて、書きまくれ! 文章を書きたい欲が湧き出る映画&マンガ作品たち
そういえば昔、キッズラインの経沢さんと一緒にトークイベントに登壇したとき「モチベーションを上げるにはどうしていますか?」という参加者からの質問に、「モチベーションがないと頑張れないというのは贅沢病では?」とスパっと返されていたことをたまに思い出す。やるんだからやる。モチベーションがないと頑張れないなんてセレブじゃないんだから、と笑い話で終わっていたが、あの言葉を思い出してはどきっとする。私は仕事にしても趣味にしても、自分を突き動かすような強いモチベーションが必要な人間だ。セレブなのだ。
そんな冗談はさておき、ものを書く仕事が多い私の場合、全身全霊で「書く」というスイッチをオンにしないといつまでもだらだらと原稿が進まないことが多々ある。ぐっと集中している時には一瞬で仕事を仕上げられたり、そういうモードの時にしか出てこない研ぎ澄まされた文章みたいなものもあったりして、特に重い原稿の場合はいかにこの「書く」モードのスイッチをいかに早くオンにできるかが重要なのだ。
そんなわけで、超私的なおすすめリストだけれども「ああ、なんか身体の内側から書くパワーが欲しいな…」という時に力になる私的おすすめの映画やマンガ作品を残しておく。これを観れば(読めば)、書きたくて書きたくて仕方なくなるよっていう作品たち。どれも主人公が「書くこと」や他の様々なことにめちゃめちゃ没頭するのがポイントなので、私のように登場人物から影響を受けやすい人にはぜひ参考にしていただきたい。
「あの頃ペニー・レインと」
物書きにとって、これ以上ない映画。15歳で『ローリング・ストーンズ』誌の記者となったキャメロン・クロウ監督自身のエピソードからヒントを得たとも言われている作品で、音楽ジャーナリストの卵としてインディーズバンドのツアーに同行し、その中での人との出会いやバンドメンバーたちとの関わりの中で成長していく青春の物語。邦題ではペニーレインという名のグルーピーの女の子(ケイト・ハドソン)にフォーカスが当たっているのだけど、原題は「Almost Famous(=ブレイク直前)」と、あくまでバンドやジャーナリストとしてのキャリアが主題になっているのが胸熱。
冒頭に出てくるライブのチケットや関係者パス、レコードなどは、すべてキャメロン・クロウ監督の私物なんだとか。無条件に書きたくなります。なんならノートやポストイットにシャコシャコと鉛筆で書きたくなります。15歳という年齢を隠してツアー記事を書く主人公のウィリアムさながら、いつもよりちょっと背伸びした雰囲気の原稿が出来上がること間違いなし。
「ソーシャル・ネットワーク」
言わずとしれたモチベーションの塊のような映画。Facebook創業の裏にあるゴタゴタを描いている作品だけど、創業者のマーク・ザッカーバーグが寝る間も惜しんで無我夢中にコードを書いてFacebookを作り上げるシーンが圧巻で、見ている途中からもう「ああ… なんか猛烈に仕事したい!」とウズウズしてしまう。結果、いつも見始めて、途中でやっぱり仕事したくなり、音だけ聴きながら仕事をするという展開になる。
単調だけどぞくぞくする、あの不思議な音楽もとても良いので、BGVに最適。この映画を観たあとは、なんだか強気で、ちょっぴり独りよがりな文章が出来上がるので注意。
「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー」
アメリカ公民権運動が盛り上がる時代を背景に、根強い黒人差別が残るミシシッピ州で、ジャーナリストの卵であるスキーター(エマ・ストーン)が黒人女性の現状を世の中に発信しようと奮闘する映画。「Help」というのはお手伝いさん、白人の家庭に仕える黒人のメイドのことを指している。
テーマ的に重い作品に見えるが、クスッと笑える要素もあるのが良い。この時代のアメリカの白人の女の子たちがみんな同じようなファッションで皮肉に可愛いのも見どころの一つ。ラ・ラ・ランドで強い意志のある女性を演じたエマ・ストーンの芯の強さ、この作品の頃からばりばり発揮しまくっている。めっちゃ泣ける。社会的意義の強い文章を書いている人や、本の執筆をしている人におすすめ。
一体自分は、文章を通して社会にどんなメッセージを残したいのだろうか?と強く問題提起をするような文章が仕上がる。
「ザ・エージェント」
やり手のスポーツ・エージェントだったジェリー(トム・クルーズ)が、クライアントの子供から言われた一言をきっかけに「このままで良いのだろうか?」と仕事と人生を見つめ直し、ゼロからやり直すことを決意するところから始まるヒューマンドラマ。書きたい欲が湧き出るシーンといえば、なんといっても「このままではいけない」と思い立ったジェリーが深夜に会社への提案書を書き上げるシーン。それがきっかけでクビになってしまうのだけど、開き直って「I'm Free..!」と熱唱するシーンは最高。この映画のサウンドトラックは仕事が捗るので、BGMにもおすすめ。
独立したばかりの人や「本当にこのままで良いのか?」と悩みながら走っている人はぜひ。出来上がる文章は、不器用だけど愛が伝わる、そんな感じ。
漫画「かくかくしかじか」
最後だけジャンルが違うのだけど、大好きな漫画家 東村アキコ先生の自伝でもある漫画作品『かくかくしかじか(全5巻)』。自身が美大に行くきっかけになった絵画教室の先生との出会いや、そこから漫画家になるまでの紆余曲折、そして先生との別れまでを描いた作品。テーマは文章を書くことではなく、絵を描くことなんだけど、熱くてまっすぐな先生の口癖でもあった「描け!」という言葉に突き動かされ、読んだあとはいつも文章を書きたくなる(実はこのnoteもこの漫画を久しぶりに読み返したことがきっかけで書いている)。
叱られてばかりなのに、甘えて、頑張ることをやめてしまう弱さがリアルに描かれていて「ああ!もうなんで!」と読みながらやきもきしてしまうのだけど、作られていないホンモノの感情がさらけ出されているような感じ。
この漫画を読んだあとは、がむしゃらに、想いを全部ぶちまけたような文章になる。描け!描け!描け!
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以上、書きたい欲が湧き出る、愛すべき作品たちでした。
こういう気付薬を頼りに仕事すると、大体は誤字脱字が多くなるので、書き終えたあとのチェックは入念に。おしまい。
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