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営業DXのカギは「現場の巻き込み」にあり。営業現場を味方につけるには?

本記事はこんな方におすすめです:
・営業のDXや組織変革を推進する(したい)立場の人
・営業現場の巻き込みに課題を感じている人
(業種や企業規模は問いません)

こんにちは、グローバルインサイトの水嶋です。

私はこれまで書籍、ウェビナー、そしてnoteの記事など、様々なメディアで「営業DX」を進める重要性やポイントをお伝えしてきましたが、今回は実際に「営業DX」推進に取り組む中で直面しやすい課題にフォーカスしていきたいと思います。

今回取り上げる課題は「営業現場の説得」。現場のメンバーを味方に出来ず、なかなかDXが進まない状況は日本企業で特に見られる傾向ですが、この解決策を考えてみたいと思います。

今すでに「営業DX」に取り組んでいる方、これから始めようと思っている方に身近に感じていただけるよう、本記事は実体験に基づく対話形式でお送りします。もちろん、そもそも「営業DX」とは何かを知りたい方にも入りやすい内容となっているはずです。

登場人物の簡単なプロフィールは以下の通りです。

  • Aさん:中小企業の営業改革のプロジェクトにアサインされた営業課長

  • コンサルさん:営業DXに詳しいAさんの知り合いのコンサルタント

これまで自身も営業マンとして活躍してきたAさんは、新たに抜擢された営業改革のプロジェクトでは苦労している様子です。「営業DX」で直面しやすい課題にどう対処したらよいか、Aさんとともに考えていきましょう。

営業DXでよくあるお悩み:営業部内から消極的な声が……

Aさん:次回の会議資料、どうしたらいいだろう?営業部隊に課題があるのは分かっているんだが、どういう説明をしたら納得してもらえるのか……。

Aさんの旧知のコンサルタント(以下、コンサルさん):ご連絡いただいた通り、ずいぶんお悩みのようですね。お待たせしました、Aさん。

Aさん:ああ、コンサルさん!お忙しいところ、わざわざお越しいただきありがとうございます。本日もよろしくお願いします。

コンサルさん:いえいえ、Aさんにはいつもお世話になっていますから。御社の営業改革プロジェクトですが、進捗はいかがですか?

Aさん:以前にもご説明しましたが、発端は経営部門から、次年度からの経営計画達成のため、営業部門のDXに取り組みたいと営業部門トップに依頼があったことでした。

その後、部内で営業改革プロジェクトが立ち上がりまして、実働では私が中心となって課題の洗い出しや解決計画の立案、実行までやることになり、現在は課題の洗い出しを進めている段階です。

具体的には、まず経営部門の想定する課題を共有してもらったうえで、営業部門の職制たちに営業DXの概略を説明してから、現場も含めてさまざまな立場の人間から課題ヒアリングを進めています。経営部門は人的・金銭的投資も必要なら後押しすると言っていますが、肝心の営業部門内にプロジェクトにあまり協力的でない人間が多く、苦労しているんです。営業DXの必要性を理解してもらえないと言いますか……。

コンサルさん:なるほど、よく分かりました。協力的ではないとのことですが、課題自体は営業現場からも色々と上がっているのですよね?

Aさん:それはそうです。例えば、営業部門長からは「現状の売上の内訳は既存顧客との商談に偏ってしまっていて、新規顧客ももっと取っていく必要があるが、リソース不足がボトルネックになっている」とか、現場の営業マンからも「自分たちとしては精一杯努力しているつもりで、ご存じの通り残業時間ギリギリまで働いている。売上増に向けて商談を増やせと言われても、正直このままでは対応するのは厳しい」といった声が聞かれています。

コンサルさん:率直なご意見が寄せられていて、良いことですね。

営業DXの必要性を営業マンに伝えるポイント

コンサルさん:そういったお話を伺う限り、やはり営業DXを進めていくことで解決できる部分は多いように感じます。以前少し解説させていただきましたが、Aさんなりの営業DXの勘所はどこだとお考えですか?

Aさん:ほとんどコンサルさんの受け売りですが、2つあると考えています。
1つは営業モデルの変革です。すべての営業プロセスを1人の営業マンが一気通貫に担当して、勘と経験を頼りに売ってきた従来のやり方から、デジタルツールを活用して、営業プロセスごとに役割分担をして売っていくやり方に変革することですね。これは、今までのやり方からすると本当に大きな挑戦になると思いますが、一部の優秀な営業マンに頼り切りにならなくて良いなど、得られる成果も大きいと期待しています。

もう1つは、こうした変革の際に、これまでのやり方の延長線上で改善するのではなく、新しい営業モデルをあるべき姿として設定して、そこから逆算した改革を計画し、適宜修正しながら実行していくことですね。……と言っても、私もこのような計画の進め方は経験がないので、うまく説明できているか、少し自信がない部分もありますが。

コンサルさん:いえいえ、大事なポイントをしっかりご理解されていると思いますよ。ただ、もしかしたらですが、より上職の方や、そうでなくても営業経験の長い方からの反応がいまひとつだったりしませんか?

Aさん:そう、まさにその通りです!コンサルさんのご経験でも、そういったことがおありなんですか?

コンサルさん:ええ、そうですね。やはり、現場では営業マンが個人で売っていくのが当然だという見方が根強く、そもそも別のやり方を考えたこともないという方も多いです。新しい方法がどんなに素晴らしいとしても、従来のやり方を変えること自体に抵抗感を持つ人が少なくない印象がありますね。

私の場合は、単にやり方を変える必要があると言うだけでなく、新たな営業モデルのメリットとデメリットをどちらも提示した上で、今まで解決できなかった課題をクリアするには新しいやり方に変えていく必要がありますよね、と、より納得感を持っていただけるような説明を意識しています。

Aさんが営業部門の方からヒアリングした課題に紐づけるなら、新たな営業モデルでは、営業プロセスを分解して役割分担することで、既存顧客へのフォローや新規顧客の発掘のように量と質の両立が求められるプロセスを効率的に進められるようになったり、これまで業務過多だった営業マンが商談に集中できるようになったりすることをメリットとして押し出すと良さそうです。

一方、デメリットとしては、1つの案件に複数の人やチームが関わることになるので、引き継ぎの条件や方法を整えておかなければ、行き違いや対応漏れが生じるリスクがある、というのが代表的ですね。

その意味では、1人で最初から最後まで担当するほうが楽な部分も実際あるのですが、現場の営業マンの方のお話にもあったように、多くの案件に対応するのは物理的に無理がありますし、1つ1つの案件に対するクオリティも下がってしまうかもしれません。活動量と質のどちらも担保するためには、新たな営業モデルに変革していくことが欠かせない、という説明であれば、伝わりやすいのではないでしょうか?

Aさん:ははあ、なるほど。たしかに、計画達成のためには、質も維持しながら活動量を増やさなければならないのは確実なので、そこを強調すると良さそうですね。

理想像から逆算した変革

Aさん:それから、営業DXのポイントの2つめ(新しい営業モデルをあるべき姿として設定して、そこから逆算して計画・実行していく)に関連して、そんな大変革をする必要が本当にあるのか、改善は必要だろうが今のやり方の延長でいいんじゃないか、といった雰囲気を感じているのですが、これにはどう返すと良いですかね。

コンサルさん:本当に良いものであればもちろん続けるべきなのですが、何となく続いているけれど意味がない習慣はきっぱり止める必要があって、これが意外と難しいんです。

今のやり方を修正していくのではなく、新しい営業モデルの採用という方針の大転換をきっかけに、理想像やあるべき姿を描いて、そこに辿り着くルートを考えていくほうが、悪習を根本から断ちやすいですし、目に見える成果にもつながりやすいと思います。

それからもう1つ、計画というものへの考え方も変えていかなくてはならないですね。

Aさん:計画への考え方ですか?

コンサルさん:はい。計画というと、一旦立てたら必ず守らなくてはいけないと考えたり、計画の中に含まれているKPIの達成ばかりに注力してしまったりと、硬直的なものとして捉えられがちなんです。

たしかに死守しなければならない目標もありますが、そこに至るまでの中間的な目標については見直す前提でいたほうが、経験上、結果的には上手くいきやすいといえます。目標を再検討するタイミングを、最初から計画に織り込んでおくことも有効です。

今回のような大きな変革を伴う取組みだと、そんなもの上手くいくわけがない、という反応はよくあるのですが、その裏に計画は絶対守らなければならないものだという認識がある場合も多いですね。そうではないんだと伝えることも大切です。

いかがでしょうか?プロジェクトを進めるうえで、Aさんの参考になったでしょうか。

Aさん:ええ、とても参考になりました!営業DXの考え方も整理できましたし、説明の方針も見えてきたように思います。今後も困ったらご相談させてもらうかもしれません。引き続きお願いしますね。

まとめ

今回の記事では、営業部内が「営業DX」に消極的で、うまく協力を得られないという課題を取り上げて、「営業DX」のポイントを踏まえた解決策を考えてきました。

記事の中で述べた通り、営業マンの視点を理解して寄り添いながらも、各社が抱える課題と関連づけて、目標達成や、市場環境の変化へ対応するために営業DXでの変革が欠かせないと伝えていくことが重要になります。

今後も「営業DX」を進める時に直面する課題を取り上げた記事を投稿していく予定ですので、どうぞお楽しみに!

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