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大発見!新しいアルツハイマー病の薬がアメリカで発表

このブログで何度も挙げられているアルツハイマー病について簡単に説明すると、

”記憶障害は、(省略)…アルツハイマー病の最初の徴候のひとつです。時には、他の思考に関する問題、例えば適切な言葉が出てこなかったり、判断力が低下したりといったことが、早期に最も目立って現れる場合もあります”*1

アルツハイマーはすでに30歳の時点から始まると言われており、60代に突入するとアルツハイマーの症状が出る可能性が上がります。アルツハイマーに効く薬は今まで出てきませんでしたが、今日アメリカで発表されたアルツハイマーによる認知機能の低下を一年半で35%遅らせることができた薬を発明しました。

今までアルツハイマーに効くと言われてきた薬は”アミロイド”と呼ばれる脳内で生成されるタンパク質を減らす目的のものです*2。アルツハイマー病に患った人たちが亡くなった後、彼らの脳を解剖した際に脳内にこのタンパク質が異常に生成されていたことから、そのアミロイドを目標とした治療が主でした。ですが、その薬の効能は全く”わからない”ものばかりでした。

よって原因も不明のアルツハイマー病は永遠に直せない病気といわれてきましたが、今回の薬は過去の薬から全く新しい方法でアルツハイマーの認知機能低下を防ぎます。その新しい方法というのは「人の免疫細胞を使ってアミロイドプラークを取り除く」という方法です。実はこの方法は人間の自然免疫の働きのイメージから発明されました。

自然免疫とは、”受容体を介して、侵入してきた病原体や異常になった自己の細胞をいち早く感知し、それを排除する仕組みのこと”*3

人は常にこの自然免疫の働きのおかげで、どんな環境でも適応できるようにできています。そして、その自然免疫で大きな役目を担う、”抗体”というものが存在します。いわば、免疫細胞を呼ぶための信号を送る案内人で、有害な物質の判断を行います。その”抗体”を人工的に作成し、アミラーゼにのみ反応するようにすれば体の中に元々存在している免疫細胞に信号送り、自然免疫の本来の働きと同じように”排除”してくれます。

この薬にはいくつかの種類があり、そのうちのドナネマブと呼ばれる薬では平均して4ヶ月以上もの長期間でその薬が持続していたことがわかりました。それから、日本の製薬会社で開発されたレカネマブの場合、この薬を投与された人は、重篤な認知機能の低下の症状が発現するまで平均して約5カ月長く過ごすことができました。しかし、それぞれ個人差があるため、5ヶ月以上の効果がある人はいますし、全く効かない人もいます。

ですが、この薬が発明された事で、またさらに新たなアルツハイマー病に効く薬を作れる日が来るかもしれない未来に一歩近づく事ができたということはアルツハイマー病が治る日が来るかもしれないと思うと今から楽しみですね。

最後まで読んでくださりありがとうございました。
この記事が新たな発見につながれば嬉しいです。


参考文献:

*1 https://adinfo.tri-kobe.org/worldwide-alzheimers-information/symptoms.html 
*2 https://www.taiyo-seimei.co.jp/net_lineup/colum/ninchi/009.html
*3 https://ruo.mbl.co.jp/bio/product/allergy-Immunology/article/Natural-immunity-Acquid-immunity.html

元論文:
Sims JR, Zimmer JA, Evans CD, et al. Donanemab in Early Symptomatic Alzheimer Disease: The TRAILBLAZER-ALZ 2 Randomized Clinical Trial. JAMA. Published online July 17, 2023. doi:10.1001/jama.2023.13239


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