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まっすぐな言葉たちの、あたたかな力が宿る本

「本日は、お日柄もよく」

私はまだ、この言葉を使ったことがない。

挨拶ごとの枕詞、ぐらいの印象しかなかった。
この本を読むまでは。

初めての読書会

私はこれまで、あまり読書をするタイプではなくて。
本読みたいなあと言いながらも優先順位が上げられずにいて、きっかけを探していた。

そんなとき、所属するNPOの仲間内で「オンライン読書会」なるものをやると聞き、興味をひかれた。みんなと一緒にやることで、読書のきっかけにもなりそう。声をかけ、私も参加させてもらうことに。

初回の課題は、「名刺代わりの一冊」を紹介すること。

なんだかドキドキした。
自分を表す一冊って…と本棚を見返す。

自粛期間中に図書館にも行けず、でも本を読みたいと奮起して購入した中古本たちがズラり。「本を浴びるほど読もうキャンペーン」と題し、この期間に買ったものだけで40冊以上ある。でもまだまだ読み切れているものは少なく、積読化されている状態。

その中の一冊が目に留まった。

『本日は、お日柄もよく』
原田マハさんの作品。

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この本に出会ったきっかけ

「本を浴びるほど読もうキャンペーン」で、開く本を探すのは楽しい。古本屋さんをぶらぶらすると、思わぬ出会いがある。本屋さんが営業自粛しはじめてからは、ネットが頼り。Amazonのレビューを見たり、インスタの「#本」を流し見したり。

無数にある本の紹介の中で、
この背表紙の言葉に心惹かれてしまった。

「言葉で世界を変える」

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私はすごく、言葉に興味がある

その割に本を読まんかったんかと言われるかもしれないが、

日本語の、繊細な違いを言葉にする表現や、コミュニケーションのときの言葉選び、リズムや個性が出る言葉の紡ぎ方にわくわくする。大学のゼミでも、「言葉選び」について卒論で触れられないか模索していた。

言葉に神経を使いすぎて、疲れることもあった。言い方が回りくどくなって、言いたいことが伝わらんくて。自分でも過敏やと思うけど、それぐらい「言葉の力」を信じていた気がする。

そんな私に、あの背表紙の言葉は
あまりにまっすぐだった。

言葉を操る「スピーチライター」

スピーチライターというお仕事をめぐる物語。
言葉を紡ぎ、届け、人の心を動かしていく。

主人公の二ノ宮こと葉はOLで、幼馴染みに失恋したばかり。でも伝説のスピーチライターの言葉に魅せられ、弟子入りしてしまう。経験も知識もからっきし。それでも言葉の力で世界を変えたい、と目の前の仕事に奔走する。

短い時間のスピーチ次第で、
結婚式が華やぐことも、政権の情勢が変わることもあるのだと知った。

そのカッコ良さもさることながら、
私が一番ぐっときたのは、
登場人物たちの「まっすぐさ」だった。

こと葉も、幼馴染みの厚志くんも、伝説のスピーチライター久遠久美も、みんな言葉に、そして目の前の大事な人に、まっすぐ向き合う人たちだった。

本日は、お日柄もよく

この本の帯で、販売担当者さんの語る言葉が秀逸。

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このまっすぐで、熱く、眩しい物語が
どうか、どうか、たくさんの人の心に届きますように。

私が将来、大切な人のためにスピーチをすることになったら、「ここぞ」という時にこの言葉を使いたい。

「本日は、お日柄もよく」

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*追伸*
スピーチの力に感化され、
私の大切な友人の結婚式を想定した
「友人代表スピーチ」の第一稿なんて書いてしまいました。笑

(※ちなみにその友人に、直近での結婚の予定はないし、何なら今フリーのようです。)

もちろん、あの言葉を添えて。^^


おしまい。

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