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「違うこと」って、なんやろう。

本の装丁がすごく可愛い。
やわらかくてやさしい色の大福がいっぱい。
そういえば吉本ばななさんの本、読んだことなかったなあ。

そう思って手に取った。
週末の読書会に向け、選んだ1冊。

でも「違うこと」ってなんやろ

正しいことをする、じゃなく、
違うことをしない、っていうちょっと回り道な表現が気になった。

「違うこと」

「違うこと」とは、”その人の生き方の中で、今ここでするべきではない”こと。【帯より】

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わかるような、わからんような…。
ひとまず開いてみることにした。

全6章で構成される本書。
先に言ってしまうと、結構スピリチュアル。

宇宙のパワーや神様の導き、見えない大きな力がよく出てくる。

私は別に、霊感やそういった能力はない。スピリチュアルな考え方にも、好きとか嫌いとかはない。そうなんやあ、ぐらい。テレビの占いは見るしお化けは怖いし、しかるべき流れがあるなら身を任せられるようにはなりたいなあとは思うけど、割と中立な感じかなと思う。

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ただ、第2章はちょっと苦しかった。宇宙マッサージ、なるものをする方とばななさんとの対談なんやけど、スピリチュアル度合いが濃くて、たぶん私より高次元すぎて波長がかみ合わんくて。

読み始めたんやし1回触れてみようと、どうにか噛み砕いて言い換えてみたり、自分の感覚に近いところを探したりしたけど、だんだん冷める自分がおって。

30ページぐらい粘ってみたけど疲れて
「あれ、なんでこんなに無理しよんやろ。」って。
そっと読み飛ばしてみた。

そっから後はすーーっと読めた。
ばななさんの子ども時代、自信について、時間の概念、神様のこと。
自分に経験のないような話も、そうなんやあって受け取れた。

きっと、ばななさんがニュートラルな感じがしたから。

別にサイキックの人じゃなくても、不動屋さんが、いろんな物件見てるから「僕もよくない土地とかわかるんです」って言いだしたり、人には基本そういう力がある。新しい土地に何か建てる時はお祓いとか必ずやるし、特別スピリチュアルなことでもないんだろうなと。

幽霊も、いるってことにした方が話が早いんですよ。
前世も、私の中では実はグレーですね。あるって考えた方が簡単だなって。

人間の感覚の鋭さで、その延長線上に幽霊とか前世もあるんじゃないかという気がします。

どの宗教も言ってることは同じで、
その瞬間、その瞬間に宇宙から要求されている「最適」から、どれくらいズレないかっていうのが、人間のできることなんだと思う。

【めちゃくちゃに中略&抜粋 p157~159より】

なかなかに高次元っぽい話でも、
その考え方を押し付けてこない感じがここちよかった。

もしかしたら、考えを押し付けられる(と感じてる)状態や、違和感を覚えながらも読み進める状態が、ちっちゃいことながら、今この瞬間私にとって「違うこと」やったんかもなあ、とちょっと思う。

自信のこと

「自信を取り戻すということ」という見出しがある。
ばななさんのアルバイト時代を振り返って語られる一節。

もしあのまま就職でもすることになったら、きっとすごく不幸だったと思う。上司たちに好かれていたし、作家になったときはお祝いもしてもらったけれど、仕事の上ではまるで役に立たなかった。

あのままあの会社にいたら、私なんて人間のクズですよ、きっと。ずっと評価されない環境にいると、人って、どんどん自信をなくしていくから。

自信を取り戻すには、自分のことをちゃんと評価してくれる環境にいることが大事。「こういうところ、ほんとにダメだよね」「でもこういうところはいいよね」って自分のことを正確に把握してくれる人物と接していると、自己評価する目がおのずと強化される。
そういう誰かがいてくれて、自分もまた自分でいられる。

【めちゃくちゃな中略&抜粋 p107より】

ああ、そうやなあ、って思った。

同じことしても、評価されるとき、否定されるとき、無反応のとき、いろいろある。まあ「自分でOK」と思えてたら何やっても大丈夫なんやろうけど、多かれ少なかれ環境の影響は受ける。

何言うても冷めた感じにされる飲み会より、面白いやんって笑い合えるご飯会がええし、いくらスゴい人でも、あえて無視されたり常に否定されたりする感じの人とは一緒におれんし。

「こっちの方が社会的に良いはずだから」「得するから」

そんなノイズで見えんくなって、流れに逆らって、知らん間に自信なくしてることがよくある。自信てなんやっけ、って。

やからときどき、立ち返る瞬間を持とうと思う

今の環境は自分を ”正しく” 評価してくれる場所かな。良いとこも悪いとこもひっくるめて把握してくれとるやろか。それから自分は、周りの人や環境のことちゃんと知ってんのかな。あらゆる面から把握したいと思ってる?

"自"分を、"信"じるために。

わたしを生きること

このテーマはなんか大きすぎて書ききれんというか、言葉にできるほどまとまってない感じがする。

どんな時でも、今の自分の楽しいと思うことに目を向けていたい。【p109】
自分の中の深いところに押し殺してきた気持ちをわかるということが、何よりも大切なんだなあ、と思いながら、私はタルトの上の果物を口に入れた。すっぱい、まだ生きている物にしかない濃い味がした。
【―――別冊「本心」の引用 p110】

でもばななさんの綴る言葉に、「またばななさんの作品を読んでみたいな」と思った。この感性で切り取られた世界を覗いてみたい。

あと、なんでか泣いてしまったところがある。

14歳で記憶をなくしてから人のオーラが見えるというCHIEさんとの対談。

亡くなった方が言ってくることって、共通してるんですよ。
「言いたいことはないから、ただ笑ってて」って。
「ただ生きててくれたら、それでいいから」って。

【中略&抜粋 p136~137】

本当にこの記事書いてる今はなんでかわからんのやけど、一瞬わーって。
別に精神的に弱ってるとかではないけど、「ありがとう」って思った。備忘録。

おわりに

いつも100点満点な「正しいこと」を求めるより、
ちょっとした違和感やズレに気づいて
その都度修正していく。
自分だけのかけ算で見える世界は、
前よりきっと豊かになる。

『「違うこと」をしないこと』は、そんな風に聞こえた。

スピリチュアルな力はないけど、
大切にしたいものはある。
自分なりの世界をちょっとずつ作っていきたい。

最後にばななさんはこう締めくくる。

とりあえずたった今、素直に本当にやりたいこと、ほしいものは何ですか。まずは、そこから始めていきましょう。

とりあえず今は、大福が食べたい。笑
こんなに可愛い装丁をみたら、やさしい甘さが恋しくなる。まずはセブンで豆大福を買ってこよう。笑

ふふふ。
なーんてな。

本を定期的に読むきっかけ、ありがたいな。
次回の読書会も楽しみです。

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*追伸*
第6章 教えて、ばななさん。より

Q:「別にひとりぼっちではないけれど、自分に本当の友だちっているのかな」と思うことがあります。ばななさんにとって「友だち」と呼べるのはどんな人?
A:すごく遠くにいてなかなか会えなくても、苦しいときに「あの人もがんばってるんだから」と思える人です。本当に迷ったときに、意見を求めたいと思う人。

私にとっては、前回こっそり私が友人代表スピーチを考えてしまったあの人やなと思った。

そんな人が1人でも思い浮かぶって、ありがたいなあ…。と、ちょっと遠くを見つめてしまった。

あったかい関係を築いていける人でありたいと、心から思う。


最後までお付き合いいただき
ありがとうございます^^

おしまい。

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