【人間の土地へ】日本で暮らす私は、何を大切に生きるのか?

「とにかく、読んでみてほしい」というしかない1冊。

テレビや新聞などでは、なかなか分からない。知ることができない、シリアという国。
そこで暮らしている人々の暮らしや習慣について、著者が出会った人々や出来事を通して 描かれている。
読み進めるうちに、遠い国のことだという先入観は消えていき、 生きていくうえで、必要なものは何なのか? という問いが浮かんできた。

シリアと日本との間には、様々な違いがある。
日本は、経済的に豊かであるとされ、空爆で生命が脅かされることはない、安全だ。
シリアの情勢は悪化し、一般の市民が安全で暮らせる状況ではなくなった。
しかし、情勢が悪くなる前のシリアの人々の生活の営み、家族の関係に「豊かさ」を感じるところもあった。

シリアの人々は、家族を大切にする
助け合う
男性と女性の役割の違いがある
土地に根差した暮らし、経済がある 日本とは異なる部分も多いけれど、日本で暮らす人々、家族と共通する部分もある気がしてくる。

著者は、日本人女性で初めて世界2位の高峰K2に登頂した小松由佳さん。
小松さんはK2登頂後、山の麓で生活を営む人々に興味を持つ。
シリアで出会った人たちと交わり、日本とシリアを行き来する。
シリアの知人、友人を通して、情勢が急速に悪化していく過程を見てきた。

私たちが「内戦」と呼ぶものを、別の人は「革命」と呼ぶ。
立場が変われば、捉え方が変わる。
立場も、本人が主体的に選んだものとは限らない。
大切な家族を守るため、生活を維持するため、目の前にあった方法を選択した結果かもしれない。
正義とは、善悪とは、何か。
日本で暮らす私自身は、何を大切にして、生きるのか? 自分に問い直す1冊。





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