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「女の敵は、女」「男の嫉妬は、女よりやっかい」は、本当?

「女の敵は、女だよね」
「男の嫉妬は、女のより、やっかい」
友達や知人とのおしゃべりで、こんな言葉を口にしたことがある。

この世の中にいる女性すべてについて、互いに「敵」同士であると思っているわけではない。敵ではなく、味方の女性もいると思っている。
同じように、すべての男性に対して、女性と比べて、嫉妬がやっかいだと思っているわけでもない。嫉妬はそもそもやっかいで、その程度を性別で比較するものではないとも思う。

それなのに、なぜ、こうした言葉を口にしたのだろう?
これらの言葉は、自分が経験したこと、見聞きしたことを基にして出てきたものだ。特定の個人を頭の中に置いて、その人が女性だったから、その人が男性だったからと、性別に結び付けて、一括りにしている。
その特定個人に対して面と向かって、これらの言葉を口にしたわけではなく、他の友人・知人との会話の中で口にしたもので、特定個人を批判することを考えていたわけではない。
だから、特に問題がある言葉だとは思っていなかった。

これらの言葉について「一体、何が問題なのか?」
改めて、考える機会があった。

サンリオのキャラクター「マイメロディ」のお母さんのグッズが、発売中止になったというニュースがあった。
インターネットのニュースによると、
マイメロディのお母さんには「女の敵は、女」などの格言を持っているキャラで、これをグッズにして発売しようとしたところ、ジェンダーバイアス(性別に基づく偏見)を助長するという批判があがった。これを受けて、サンリオは発売中止に至ったという。

私自身、「女の敵は、女」だと思ったことも、口にしたこともあるので、
このニュースに引っかかった。
ジェンダーバイアスと言われたら、たしかにそう受け取られるかもしれないと思う。
一方で、発売中止という企業の判断について、公にこうした言葉を口にすることは問題になるのだと考え、少し窮屈に感じる面もあった。

一体、何が問題なのか。
分かるようで、よく分からず、もやもやした。

「差別はたいてい悪意のない人がする」は、
私が感じたもやもやを解消してくれた1冊だ。

正社員と契約社員との間で、社員証のストラップの色を変えている。
大学の理工系学部には、女性が少ない。
それらが、なぜ、そうなっているのか。
なぜ、「差別」の助長になるのか。
社会的・文化的背景、人々の価値観などから説明している。

差別は、意識的に行うものばかりではなく、
むしろ無意識に行われてしまうものがたくさんあること。
無意識なので、差別した人は気がつかない。
差別されている人も気がつかず、そういうものだと受け入れて過ごしてしまう。
どこに問題があるのか説明するのは、かなり難しいものだということが分かってくる。

マイメロディのお母さんのグッズが発売中止になったニュースを読んで、
もやもやした人には特に、お勧めの1冊。

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