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Necromancer Report:ウク戦争と今後?

ロシアによるウクライナ侵攻以来、
首都キーウに留まり続けたゼレンスキー・ウクライナ大統領。
5月29日初めてキーウを離れ、
今月中旬にロシアから奪還したウクライナ第二の都市ハルキウを訪問した。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO61241330Q2A530C2PE8000
ウクライナは、名目GDPで54位、$198bioとされている。
https://ecodb.net/country/UA/imf_gdp.html
ウクライナの経済規模は、それ自体が大きいわけではないので、
世界経済に及ぼす影響は軽微であるようにも見える。
一方、「フラット化された世界」では、
この国が、サプライチェーンの一部を担っている事実がある。
その影響は、“欧州のパンかご”や“世界の食糧庫”と評され世界の小麦の12%
といった一次産業だけではない、
半導体・エレクトロニクス業界においても、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンなど半導体製造に必要なガス(希ガス)の産出国である。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/06756/
https://www.iza.ne.jp/article/20220308-BNZ4RNUFYRIJPDEBGCWFK46Y3Q/
とりわけネオンガスについては世界需要の約7割を供給している。
ネオンは半導体の露光工程に必要なガスで、
現在不足している半導体のほとんどが製造工程でネオンガスを使っている。
幸いなことに、製造各社は、2014年ロシアによるクリミア半島占領以降、
リスク管理の観点から在庫を多めに積みましてきた。
従って、小麦とは異なり、期近での在庫不足は起こらないと思われる。
しかし、長引いた場合には、それなりに影響が生まれる。(おそらく長引く)
ウクライナ侵攻の影響は、ウクライナ一国の経済規模で軽視されるべきではない。

数字の面からも、新型コロナによる流通問題・米中摩擦により、
そもそも不安定化していた半導体市場に、大きな不確実性が現れたと言えよう。
希ガスの多くは冷却を必要とする、冷却には大量の電力が消費される。
https://www.semi.org/jp/node/jp-19191
希ガスは収益性が低く、欧州最大の原子力発電所を有し、
旧ソ連時代からの施設を有しているロシア・ウクライナ両国以外で
代替生産するモチベーションは無いであろう(相当単価が高くならない限り)。
今後どうなるかを占うよりも、この状況から何を想定し、
備えるべきかが価値になると思う。
まず、半導体価格自体は価格上昇圧力に晒される。
半導体の製造の成長率は、世界人口の増加よりも高い。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000003858.000067400.html
https://www.seaj.or.jp/file/January2022SEAJForecast%28Press%29J.pdf
スマホ・パソコン・ゲーム機器は価格が高騰し、おそらく需要の減退を招く。
米国はじめ欧州は、物価上昇に対応して「利上げ」を遂行している。
中国はともかく、日本では、来るべき景気減速に対応してか
(決して日銀をはじめとする本邦金融機関がいまだに大量保有する日本国債の評価損を避ける目的の市場操作ではないと信じたい)
金利をイジらず、イールドカーブ・コントロール
(日本語では長短金利操作。〜市場価格を操作〜)
で、低金利を維持している。
私見ではあるが、日本の対応は正しいと思う。
先進国は特に、新型コロナ対策で、市中にお金をばら撒きすぎた。
日本では、支援金・給付金関連で詐欺犯が大量に産出されている程だ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5f1ead4df85bd7e39c4142e998d3db32d9163bb3
これを吸収するために、短期金利市場で金利を高め誘導し吸収しているように思われる。
現在、高金利ゆえに株式が下落しているように評価されている。
それ自体は間違いではない。
しかし、今後は低金利になっても、
多くの株式やベンチャー企業の価値が回復することは難しそうに思われる。
唯一、ウク戦争が終結し、
戦争復興需要に乗れる企業・産業は業績を期待できるかも知れない。
思えば、2011年以降、不謹慎な表現かも知れないが、
政府による災害復興名目での財政出動が目立った。
そして今は、日本にとどまらず、世界中で
その復興支援策に「戦争からの回復支援」という
手立てが加わったのかも知れない。

武器輸出できない日本はともかく、
欧米としてウクライナを支援するのであれば、
比較的反撃能力のある兵器を提供すべきと個人的には思うのだが、
榴弾砲やロケット砲の射程が制限されている結果、
ウクライナ軍が、ロシア軍に肉薄せざるをえない状況に陥っているのには
悲哀を感じる。


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