衆院選の結果を受けてどう考える?

10月31日に衆院選が行われた。
結果を見てみると選挙前と比べて変化はさほどなさそうだというのが個人的な感想だが、皆さんはどうだろうか?
もちろん皆さんは各人各様の感想をお持ちだろうとは思うが、結果は結果として受け止めておきたい。
これから大事になってくるのは当選した人達がちゃんと国民のことを考えた政治をやってくれるかどうかであって、僕等はそれに対して「見てますよ。ちゃんとやっていますか?」を突きつけていかなければならない。
……といったことは、多くの著名人が既に言っているだろうから皆さんも耳にタコができてしまっているだろう。
「見てますよ。ちゃんとやっていますか?」の記事は僕よりも政治に詳しい方に書いて頂いて僕はそれを読ませて頂きながら政治の動向を見定めていこうと思う。

そこで、今回は僕が衆院選の結果を受けてどう考えているかを述べていこうと思い、記事を書かせて頂くことにした。
僕がどう考えているかだから記事は僕の主観頼みになってしまうし、十中八九独断と偏見が入るだろうとは思うのだが、どうかご了承して頂きたい。

考えたことその1.カズレーザーさんの指摘に甘えるな

まず、今回の衆院選の投票率を検索してみると……何ともはや、悲しい数字が出た。
投票率が55.93%ということは有権者の半数近くが投票に行かなかったことになる。

フジテレビ系の『めざまし8』という番組では特に若年層の投票率が低いということが報道されたそうなのだが、これに対してお笑い芸人「メイプル超合金」のカズレーザーさんはこう指摘したそうだ。
「10代で投票権を持っている人は住民票を移していないケースも多いので、そもそも投票することができない」
「(若年層の投票率を上げるためには)期日前投票の方法をここで伝えるべきだ」
「テレビとかも、言ったらそんなにここの(選挙に関する)コーナーが数字につながんないから、前半に持ってこられないわけじゃないすか」
「本当にみんな注目しているなら、全部の政党の話をここでどういうマニフェスト(政権公約)があるんだって、毎週毎週同じタイミングで伝えるべきだ」
「選挙の内容をもっと伝えるべきです。そこがまず必要だと思います」

選挙についてきちんと報道せずに一般人の結婚ネタを追いかけ回したり、報道したかと思えば「候補者がナ○ス式敬礼をした」などという馬鹿げたクレームをつけたりしていた報道機関はカズレーザーさんの指摘を頭に叩き込んでおけと言われて然りだろう。
目先の利益を優先して本当に報道すべき事が報道されないようなことが続けば、報道の将来など見出せない。

だが、その一方でこうも言える。
カズレーザーさんの指摘はどういった立場での指摘だろうか?
彼はニュース番組の出演者という立場で投票に行かなかった(あるいは行けなかった)人をスケープゴートにせずに、投票に行ってもらえるように選挙のことをきちんと報道をするべきだと言っているのだ。
そして僕等は報道を見る視聴者の立場だ。
視聴者が視聴しなければ報道関係者は食えなくなる。……ということは、報道関係者は逆に視聴されるコンテンツを提供して自分達の利益にしなければならないわけだ。
そう。僕等がきちんと目を向けようとしなければまともなコンテンツを提供しようとするだけ報道機関はバカを見ることになってしまうのだ。

以前日本国憲法の解説をされているYouTuberさんの動画のコメント欄を見た時、こんなコメントが目に止まった。
「よくわからないことしてる人が儲かって、こういう人が儲からないのがYouTube」

今の僕等の姿勢だと、“YouTube”の所はテレビや新聞の“報道”に変えても同じことが言える状況になってしまっていると言わざるを得ないだろう。
従って僕等はカズレーサーさんの指摘に甘えているようではお話にならない。
報道を見る時にはまともなコンテンツ、政治に目を向けさせるコンテンツをきちんと受け止めるように心がけて、報道機関がそういったコンテンツを提供しやすくなるようにしていかなければならないのだ。

考えたことその2.日本維新の会は2014年の共産党、2017年の立憲民主党と同じ理由で票を伸ばした?

第2次安倍政権以降、これまでに3回解散総選挙が行われてきた。
2014年に行われた解散総選挙では日本共産党が13議席増という結果を残している。
2017年の総選挙では立憲民主党が40議席増という結果を残した。
そして今回行われた総選挙では日本維新の会が40議席増という結果を残した。
この結果を見て皆さんはどう感じただろうか?

僕がどう思ったかというと、「支持したい政党がないという有権者がどの政党なら単独で政権与党となる可能性が低いかを判断して投票した結果が出たのかもしれない」だ。

怒られるかも知れないが、現政権与党である自由民主党は国民の声をきちんと受け止めることが出来ておらずあまり支持されていないようだ。
計算が得意な方ならすぐに算出出来るだろうと思うのだが、先程述べた3度の総選挙で自民党が獲得した票の割合は有権者全体が持っている票の20%程度に止まっているのではないだろうか?
しかしその一方で野党を見ても政権を任せて大丈夫だろうかと思われる政党が多く、特に旧民主党系は2009~2012年の野党時代の自民党と同様で自分達が政権を担っていた時の反省が感じられないような議員も多数いたためか、自民党以上に支持されていないようだ。

そうなってくると有権者の中にはどの党も支持出来ないから他党と合流して数を増やす可能性が低い党、政権与党となる可能性が低い党に入れようと思う人が出て来てもおかしくはないかも知れない。
共産党は1度も他党と合流したことがない、立憲民主党は当時希望の党との合流をしなかった、維新の会は中心に立って大阪都構想を進めていた人物が現在いないということを考えると、より一層その考えは強まった。

僕の仮説が当たっていれば、これから投票率が上がっていけばどの政党も好き勝手やることは出来なくなるはずだ。

「憲法改正って本当にその方針でいいんですか?」
「他人に厳しく自分に甘くなっていませんか?」
「ご都合線引きしていませんか?」

僕等は投票率を上げることによって政治家がちゃんと国民の声を聞く姿勢を持ってくれるように見張ることが出来るようになるのではないかと思う。

考えたことその3.選択的夫婦別姓は大事、そして他の重要事項も忘れないようにしたい

今回の衆院選で行われた最高裁判所裁判官国民審査では、全員が信任されたという結果が出た。
しかし「全員信任」と伝える一方でNHKは「裁判官ごとに見ると、投票行動に特徴がみられる。対象となった11人のうち罷免を求める割合が7%を超えた4人は、いずれも夫婦別姓をめぐる判断で『民法の規定は憲法に違反しない』という結論に賛同していた。一方で6%台やそれ未満の人は『憲法違反』と判断、または当時、就任していなかった。夫婦の名字をめぐる議論は身近なテーマで、選挙の争点の1つにもなっていて、1%の差が生じたのは決して偶然ではなく、それぞれの裁判官の判断が投票行動に影響した可能性が高いと考えられる」という明治大学政治経済学部の西川伸一教授の意見を取り入れている。
確かに裁判官の罷免を求める×の数を見てみると選択的夫婦別姓を認めていない現法を合憲と判断した裁判官についた×の数はいずれも400万件を超えているのだ。

この結果が出た後でこんなことを言ったら顰蹙を買うかも知れないが、僕自身は現法は合憲だと判断した裁判官は間違ってはいないと思っている。
むしろ間違っているのは「“裁判官が現法を合憲と判断した”≒“法律を変えられない、あるいは変えてはならない”」という認識の方だ。
まず僕等は「“現法が合憲”でも“現法に不備があるのであれば法改正が必要”」と認識を改めた上でそれから選択的夫婦別姓に賛成なのであれば今後どうやって法改正にこぎ着けていくか、反対なのであれば同姓では困るという人のためにどんな対案を出すかを考えていくことが大事だろう。
ちなみに僕は選択的夫婦別姓には条件付きで賛成なのだが、それについては後述したいと思う。

まず、現法が合憲と判断された背景には恐らく2015年の裁判での原告の失言があるのではないだろうか?
2015年の裁判では、原告は「男女差別だ」と失言してしまったのだ。
これによって原告は裁判官の目を憲法14条に向けさせてしまったことになる。
憲法14条ではこう記されている。
○ すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
○ 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
○ 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

現法では夫婦の姓に関して「夫の姓に合わせる」とはなっておらず、少なくとも憲法14条には違反しないことがお分かり頂けるだろう。
従って原告は裁判官の目を憲法14条ではなく、11条、12条、13条の基本的人権に含まれる自由権、さらには19条に向けさせる必要があったのではないだろうか?
憲法19条ではこう記されている。
○ 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

結婚に際して夫婦同姓とするか夫婦別姓とするかを自由に選択できることについては思想及び良心の自由に当たるため、夫婦別姓は選択できない現法は違憲ということになるのだ。
……と言うと、「え?それじゃあどうして現法は合憲だと判断した裁判官は間違ってはいないと思っているなんて言ったんだ?」と思われるだろう。
その理由は現法を違憲と言った場合は同じ理由で選択的夫婦別姓もまた違憲となる可能性が出てくるからだ。

まず現法下では「夫の姓に合わせる」とは書かれていないにも関わらず、96%もの夫婦が夫の姓に合わせているという現状がある。
これは「女の子は名字が変わる」等という偏見や同調圧力が働いてしまっているからに他ならないのだ。
選択的夫婦別姓を取り入れたとき、もしも偏見や同調圧力が働いて夫婦同姓を選べないという事態になったとしたら……と仮定した時、選択的夫婦別姓は現法と同じ理由で違憲ということになってしまうのだ。

しかも困ったことに選択的夫婦別姓は“夫婦同姓と夫婦別姓のどちらも選ぶことが出来る”という法案であるにも関わらず、「選択的」を省いて「夫婦別姓」と誤解を生むような表現をしている記事は現在も後を絶たない。

さらには現法を違憲と判断した裁判官の1人、宇賀克也裁判官は「夫婦の名字を同じにしないと結婚を法的に認めないという制約を課すのは合理性がない。婚姻の自由と夫婦の平等を保障した憲法の趣旨に反し、不当な国家介入にあたる。6年前の判決後、旧姓の通称使用が拡大し、国の機関の公的文書でさえ認められるようになったことは重大な事情の変化だ。通称使用を認めることは、夫婦同姓が不合理だと認めることにほかならない」と発言したのだそうだ。
夫婦同姓が不合理……。
選択的夫婦別姓は“夫婦同姓と夫婦別姓のどちらも選ぶことが出来る”ようにする法案なのだが、裁判官がこんなことを言ったら選択できるシステムは危うくなる恐れが出てくるだろう。
宇賀裁判官は現法を違憲と判断した裁判官の中で最も多くの罷免を求める×の数を集めてしまっているのだが、恐らくそれは選択的夫婦別姓に賛同する人からのものも含まれているのではないかと僕は思っている。

次に、現在認められている夫婦同姓は細分化すると「夫の姓」、「妻の姓」に分けられる。
……ということは、選択的夫婦別姓が認められれば結婚に伴っての姓の選択は「夫の姓」、「妻の姓」、「夫婦別姓」の3択ということになる。
ここであることに気付かないだろうか?
ここにはある選択肢が足りないのだ。
僕は88世代なのだが、僕と同年代の方はお分かり頂けるだろう。
僕等の世代だと中学校で「将来」や「結婚」について学習したときに名字について4つの選択肢を提示されていたのだ。
1つが「夫の姓」、2つめが「妻の姓」、3つ目が「夫婦別姓」、4つめが「新しく作る」だ。
4つめは現法にも選択的夫婦別姓にも含まれて折らず、名字の選択に関してはどちらも選択肢が足りないということになってしまう。
さらには4つの選択肢に海外で一般的に取り入れられている「2つ以上の名字を持つ」という選択肢もプラスすれば、現法や選択的夫婦別姓に含まれる選択肢はますます足りないということになるのだ。

従って僕は現法を違憲と判断した場合は同じ理由で選択的夫婦別姓も違憲ということになってしまうので、現法は合憲だと判断した裁判官は間違ってはいないと考えたのだ。
ただしこれはあくまでも選択的夫婦別姓に条件付きで賛成という立場で言っているということをご理解頂きたい。
“条件付きで賛成”の条件とは、先程も述べた「新しく作る」や「2つ以上の名字を持つ」といった選択肢もまた加えるべきだということだ。
この他にも取り入れて欲しい選択肢があるという方は選択的夫婦別姓の議論の場で是非それを発信して頂けると幸いだ。

では、僕は選挙の時に選択的夫婦別姓を認めていない裁判官に×をつけたかと言われると×はつけていない。
選択的夫婦別姓が選択肢を増やすための法案で、「新しく作る」や「2つ以上の名字を持つ」という選択肢も柔軟に取り入れていける法案になれば現法は確実に憲法に違反するからだ。

また、選択的夫婦別姓は法案であり、これを可決すべきは立法機関である国会だ。
僕等は先程書いたようにまず「“裁判官が現法を合憲と判断した”≒“法律を変えられない、あるいは変えてはならない”」という間違った認識を改め、「“現法が合憲”でも“現法に不備があるのであれば法改正が必要”」であることを理解しなければならないのだ。

あくまでも僕の忖度だが、今回の国民審査で現法を合憲と判断した裁判官の罷免を求める割合が7%を超えていたのは裁判官を罷免したいというのではなく選択的夫婦別姓を認めて欲しいということなのではないだろうか?
だから僕は裁判所ではなく国会が選択的夫婦別姓を認める方向に動かなければ、その時は国会に一石を投じることを考えた方がいいと思っている。

しかしその一方、今回の国民審査で裁判官全員が信任されたのは果たして本当によかったのだろうかとも思うのだ。
選択的夫婦別姓を認めていない現法についてどう判断するかばかりが注目され、他の重要事項は忘れられていないだろうか?

例えば深山卓也裁判官は辺野古新基地を巡る「国の関与」取り消し訴訟で裁判長を務め、沖縄県側の上告を棄却していたために沖縄県内では最も罷免要求が高く、次いで珊瑚移植訴訟で沖縄県側の上告を蹴った林道晴裁判官が2番目、長嶺安政裁判官が3番目に罷免要求が高かったのだそうだ。

全国では裁判官に対する罷免要求の率が平均6.8%だったのに対して沖縄では約2倍の平均14.8%だったということだから、やはり基地負担を強いられている当事者として現状を何とかしてほしいという思いが強かったのと同時に、国民審査に対する関心も高かったのではないだろうか?

僕は国民審査の時にどれくらい関心を持っていたかと言われれば……
「千葉勝美元裁判官や大島隆明元裁判官は既に退官しているから名前はない。小池健治裁判官や横田典子裁判官は最高裁判所の裁判官じゃないから名前が書かれていない。結局間違いを犯した裁判官の名前はここに出ないのか」
……と思ってしまっていて、こちらのNHKのサイトをしっかりと確認できていなかった。

確認していれば、冤罪の可能性がある事件の裁判で裁判官がどんな判断を下したのか、賃金格差についてどんな判断が下されたのか、原爆症やB型肝炎の訴訟ではどうなったのか、そして佐賀県民としてきちんと知っておきたい諫早湾の水門のことなど、ちゃんと分かったかも知れないというのに……。
今更ではあるが、反省しなければならない。

NHKは西川教授のこの指摘を掲載している。
「今回は就任したばかりで最高裁での仕事ぶりが十分に分からない裁判官が4人も審査の対象となるなど、制度の課題は多い。国民審査をより質の高い制度にするための議論が必要だ」

西川教授のように制度自体の課題を指摘したり報道の問題点を指摘したりする方は数多いだろう。

だが、最終的に国民審査のための鉛筆を持つのは僕等1人1人だ。
今回僕は十分に関心を持つことが出来なかったから自戒の念を込めて言うのだが、僕等1人1人が知って関心を持つことが出来なければ国民審査をやって裁判官の動向をきちんと見定めること等虚構となってしまうだろう。

……というわけで、今回は衆院選の結果を受けて僕が考えたことを3つ挙げたが、皆さんは衆院選を終えて何を思い、何を感じただろうか?

各人各様の考えがあるだろうとは思うが、これだけは確かだろう。
僕等は今より一層政治や社会に対する関心を持って出来る限りのアプローチをしていかなければならない。

ここで挙げるべき名前は本当ならたくさんあるのかも知れないけど、挙げ出すときりがないので国を背負う代表者の名前を出しておこう。

岸田さん、この後も見てますよ。国民の声をちゃんと拾えていますか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?