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「鉄道アクセスが悪い場所はあまり栄えていない」というのは思い込みだった件

先日所用で日本のとある地方都市に出かけたのですが、目的地の「最寄り駅」までは東京からまず新幹線に乗り、在来線に乗り継いで行くようなところでした。

一応新幹線との接続駅から特急が出ているものの、調べたら「単線、非電化のローカル線」なので本数が少なく、特急を含めて1時間に1~2本という少なさです。

たまたま行きは特急の時間と合わず普通列車で行くことになったのですが、これも東京のような10両編成の「電車」ではなく2両編成の「ディーゼル車」ということがわかりました。

そんなわけで行く前は「ずいぶん辺鄙なところに行くな」と思い込んでいたのですが、実際に行ってみると「最寄り駅」の周りは確かにあまり栄えていないものの、目的地まで車に乗ると事前にイメージしていたのと全然違うことがわかりました。

とにかく駅から離れると巨大な駐車場を備えたスーパーや飲食店、商業施設があちこちにあり、どれもピカピカで立派な建物でした。

一言でいうと「めちゃめちゃ栄えている!」という感じです。
「鉄道アクセスが悪い場所はあまり栄えていない」というのは私の先入観に過ぎなかったということに改めて気づきました。

さて、「この光景どこかで見たことあるな・・・」と思ったらアメリカの都市にそっくりだということに気づきました。

要はそこは完全な「車社会」だったのです。

東京に住んでいると「鉄道」+「バス」でほぼ事足りるので、何でも「駅」を起点に考えてしまいますが、「車社会」のその都市は何事も車があれば事足りてしまいますので、「駅」はむしろ重要度の低い施設になります。

実際新幹線から在来線に乗り換えると利用している乗客のほとんどが「学生」か「高齢者」であり、鉄道はごく一部の「車を運転できない人」のために細々と存在していると言えます。

とはいえ、私のようが「よそ者」がその都市に行こうとするとやはり鉄道を利用するしかありません。(鉄道が走っていなければバスしかありません)

なのでどうしても不便に感じてしまいますが、地元民にとっては車があればちょっとした買い物でも自宅から歩く必要がないので、東京に暮らしているよりもはるかに便利かもしれません。食品スーパーも東京のスーパーよりも巨大なので買い物も楽しそうです。

おそらく通勤も自宅から職場まで車で直行なので、東京のように満員電車で窮屈な思いをする必要もなさそうです。

では「鉄道社会」の東京と「車社会」の地方のどちらに住みたいかと問われると、私はやはり「鉄道社会」の不便さを考慮しても「東京」を選んでしまいます。

その最大の理由は「自分が住んでいるところの”外の世界”へのアクセスがしやすい」ということです。

実は私も以前は車を所有していたことがあるのですが、移動が車になるとどうしても行動範囲が「車で行ける距離」に限定されてしまいます。

「どこかに遠出しよう」と思ってもせいぜい車で2~3時間の距離であり、余程のことが無い限り「新幹線や飛行機に乗って出かけよう」とは思いませんでした。(一度大阪まで車で行ったことがあるのですが、あまりにも疲れるので次はやめました)

それが東京であれば2~3時間あればかなり遠くまで行けますので、私も車を手放してからは気軽に海外に行けるようになりました。

結局のところ、「車社会」というのは「地元民(※ただし車を所有している人限る)には便利」なのですが「よそ者には不便」な社会かもしれません。

そのため、「車社会」になればなるほど「中の人」は外に行かなくなり、「外の人」は来なくなるので、やがては「内向き」で「閉ざされた世界」になってしまうように思えます。

どちらが良いかは人それぞれなので、「内向き」で「閉ざされた世界」のほうが落ち着くという人もいれば、刺激がなくてつまらないという人もいます。

そして「閉ざされた世界がつまらない」と感じている人が「鉄道社会」の東京にやってくるのかもしれません。

「車社会」の地方も「鉄道社会」の東京も同じ日本なのですが、いざ比べてみると「こうも違うものか」と改めて感じました。

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