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新人から「私は別に成長したいとは思いません」と言われたらどう答えるか

人材育成の仕事に携わっているとつい「人は成長するべき」という前提に立ってしまい、「成長ありき」で物事を考えてしまいます。

一方で無理をしてまで出世したいと思わない人も一定数おり、新人や若手から「なぜ成長しないといけないのか?」、「私は今のままでいいのに」といった疑問が出てくることもあります。

成長することに対して疑問を持つことは決して「意識が低い」とは思いません。むしろこのような疑問が出てくること自体、自分の生き方を自分なりに考えている証でもあると思います。

とはいえ、相手が成長を望まないとなると、上司や先輩社員といった育てるほうの立場としてはやりづらいのも確かです。

例えば、新人のOJTトレーナーに任命された先輩社員がいきなり新人から「私は別に成長したくありません」なんて言われてしまうと途方に暮れることになるでしょう。
(実際はそのようにストレートに言ってくることは少ないと思いますが)

そこで、育てるほうは自分が考える「成長」を押し付けるのではなく、まずは「成長」についての考え方そのものを相手と話し合うとよいと思います。

人は生きている限り成長し続ける

表題の問いに対しては様々な答えができると思いますが、私なら以下のように答えます。

成長は「目的」ではなく、あくまで「過程」に過ぎません。
「成長したい」「成長したくない」に関わらず、人は生きている限り成長していきます。
なぜなら、昨日までのあなたと今日のあなたは全く同じ人間ではなく、昨日から今日にかけて変化しているからです。
それがわずかな変化であっても、変化しているということは成長しているということです。
あとはその変化が自分が望んだ変化であるかどうかが大事だと思います。

世の中には傍から見て何の変化もない人もいますが、外には見えないだけで本人の内面には変化が起きているかもしれません。本人の中でほんの少しでも物事の捉え方や感じ方に変化があればそれは成長と言えます。

重要なことは本人が「どうありたいか」という目的であり、もし現状を維持したいのであれば、現状を維持できるようになることも立派な成長です。

成長の仕方は一つではない

「成長」=「出世(役職を上げる)」と捉えがちですが、それは数多ある成長のうちの一つに過ぎず、社会人として生きていくうえで成長の仕方は無数にあります。

例えば次のようなことも成長です。

・今まで知らなかったことを知るようになった
・今までできなかったことができるようになった
・今まで考えなかったことを考えるようになった
・今まで気にしていたことを気にしなくなった
・今まで許せなかったことを許せるようになった

もし相手が出世を望まないとしても、本人が自分のありたい姿を実現するうえで何が必要かを一緒に考え、様々な選択肢を提示してあげるとよいかもしれません。

その中で相手が「こうなりたい」というものがあれば、それは成長への原動力になります。

「成長」は奥が深いテーマなので、引き続き考えていきたいと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました。


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