人の「強み」と「弱み」は個性と場面の組み合わせで変わります
ひと昔前から人材育成の世界では「個人の強みを活かす」ということがトレンドになっており、多様性が叫ばれている今ではますますこの傾向は強くなっております。
人の「強み」についてはトム・ラス氏の本が有名ですが、こちらは2017年に出版された2.0の「新版」で元々の1.0は2001年には出版されていますので、「強み」に着目することはもはや新しいことではないと思います。
さてこの「強み」と「弱み」ですが、様々な人と接していると「絶対的な強み」は存在していないのではないかと考えるようになりました。
(現時点では「ない」と言い切れませんが、ほぼ「ない」と考えています)
例えばこの本に出てくる34の資質のうち「自己確信」というものがありますが、これが「強み」として発揮されるのは自分の判断を求められるような場面であり、素直に人の話を聞いたほうがよい場面ではむしろ仇になることがあります。
実は私も本に紹介されている「ストレングスファインダー」で診断すると上位5つの資質の中に「自己確信」が出てきたのですが、どんな時でも自分の頭で考えて決断を下すことができるものの、思い起こせば小さい頃から「人の話を聞かない」「他人への配慮がない」とさんざん言われてきました。
そのため、この「自己確信」というのは「強み」というよりも「個性」であり、「場面」によって長所にも短所にもなるのではないかと思います。
この「場面」と「個性」の関係を公式にすると以下のようになります。
「自己確信という個性」×「決断を要する場面」=強み(長所)
「自己確信という個性」×「人の話を聞く場面」=弱み(短所)
逆に我々が普段認識している他人の強みも「場面」×「個性」に分解することができます。
例えば、粘り強いという「強み」は次のように分解できます。
「執念深いという個性」×「根気が求められる場面」=粘り強いという強み
一方で、この個性は違う場面では仇になることもあります。
「執念深いという個性」×「柔軟性が求められる場面」=頑固という弱み
この考えで行くと、「強み」として発揮される場面が多い個性(例えば知能が高い)はあってもどこかでその個性が仇になる場面があるので、絶対的な強みではないと言えます。(知的能力が高いと余計なことを考えてしまう)
そうなると、「弱み」についても同じことが言えます。
例えば、「すぐに手を抜く」という弱みがある場合、この人は
「楽をしたいという個性」×「地道な作業が求められる場面」=手を抜くという弱み
になっているのかもしれませんが、もし場面が変わると次のように強みになることもあります。
「楽をしたいという個性」×「効率が求められる場面」=仕事が早いという強み
このように、絶対的な強みがなければ絶対的な弱みもありません。
「他人を気にしない」という個性を持っている場合は確かに日常生活において仇になることも多いのですが、独創的なアイディアを求められる場面では強みとして発揮されることがあります。
この考え方を知ってから色々な意味で楽になりました。他人から指摘される欠点も「個性」が仇になる場面が多かっただけで、自分という人間そのものが劣っているわけではないと思えるようになったからです。
同様に他人に対しても「何だコイツ!」と思ったときはたまたまその人の個性が仇になる場面というだけで、場面が変わればその人の個性が強みとして発揮できると考えると、相手を受け入れることができるようになります。
「個性」×「場面」の組み合わせは無限にありますので、どんな人でも活躍できる場面が必ずどこかにあると信じています。
今回もお読みいただきありがとうございました。
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