【本日発売】『キウイ基地ーポルノ女優と過ごした夏』
「こんなに何回も出されたら、私……祐介の、女にされちゃったみたいじゃない」
顔を隠したまま、利香子さんが拗ねたように言った。
思わぬ告白に、祐介は理解が追いつかず、言葉を失った。代わりに、夏は午後六時に鳴る『夕焼け小焼け』の防災行政無線チャイムが響いてきた。
「あん、もうこんな時間。そろそろ帰らなきゃ」
夢から覚めたように利香子さんがむっくりと起き上がった。
「あ、待ってよ。いま、なんていったの……?」
逃してなるものかと、祐介は利香子さんを抱き寄せて、必死に抑えこんだ。
「なんでもない……じゃあ、あと一回だけ、しよ。でも、私、もう疲れちゃったから。最後は祐介が上になって」
祐介に抱きつかれたまま、利香子さんはゆっくりと上体を起こした。どこにそんな力を秘めていたのか、利香子さんは易々と祐介ごと抱き起こすと、対面座位の体勢に戻った。
ペニスはまだ繋がっていた。
「ずっと入っているね……」
いまさらながら祐介は驚いたように呟いた。
「ふふ。ずっと祐介の、硬いからね。このまま……私を寝かせて」
艶っぽい声で、利香子さんが耳元で囁いた。
「う、うん」
祐介はペニスが抜けないように気を付けながら、利香子さんを仰向けに押し倒した。
真上から利香子さんを見下ろすのは初めてだった。
「あっ……」
祐介ははにかんだ。
「なによ。汗で、お化粧も落ちちゃったわ」
利香子さんは照れくさそうに自分の顔を撫でながら、口元を緩めた。
祐介はもう言わずにいられなかった。
「俺、利香子さんのこと、好きです」
「もう! そういうことは言わないでいいって、さっきも言ったでしょ」
利香子さんは呆れたように睨みつけてきた。だけど、口元はまだ緩んでいた。
「俺、利香子さんと恋人になりたいです」
こんなにも大好きなのだ。それにこんなことまでして、友達のままでいられるはずがない。
「バカ、うるさい……早く……してよ」
利香子さんはぷいっと顔を背けた。
「だって、利香子さん、これが終わっても、また会ってくれる? キウイ基地に来てくれる?」
「な……どうして、そういうことを聞くのよ」
利香子さんはムッとした顔となって、吐き捨てるように言った。
「エッチしちゃったから、もう友達には戻れないんじゃないかって」
祐介は本音を漏らした。
「……そうね、戻れるわけないね」
「え!?」
「あんたねえ、こんなにいっぱい中で出しておいて、いまさら友達はないでしょ~」
急に歌うように言いながら、利香子さんが視線を戻して、祐介を見上げてきた。
そこにあったのは、にぃ、といつものイタズラな笑みだった。
その途端、利香子さんの身体の中で、祐介の分身が大きく跳ねた。
「じゃ、じゃあ……お、俺と付き合って……」
「だから、そういうことは、いちいち言わなくていいの。返事するのが恥ずかしいでしょ!」
利香子さんは顔を真っ赤にしながら、両脚を開いてきた。
それは祐介を受け入れる体勢でもあった。
「今日は……あと一回だけだからね……」
祐介を見上げて、利香子さんは微笑んだ。
「利香子さん……!」
「ふふ……おいで」
そこにいたのはポルノ女優でもなければ、レジのお姉さんでもなかった。
この夏、祐介が好きになった初恋の人だった。
『キウイ基地ーポルノ女優と過ごした夏』
(第四章 裏山と、白ワンピの彼女)より抜粋
【本日発売】
楽天ブックス、DMMブックス、コミックシーモア、Kindle、UーNEXT、bookwalkerなど、40以上のオンライン書店で発売。
柚木怜 著
『キウイ基地ーポルノ女優と過ごした夏』
(匠芸社・シトラス文庫)
定価 770円
【作品紹介】
裏山の秘密基地の中で二人きり。ふいに利香子さんが振り返って、瞳を覗き込むように見つめてきた。祐介の心臓がトクンと鳴った。利香子さんの一重の瞳が妖しく光り、潤んでいた。「祐介……これ、なあに?」
──昭和六十年の夏。高校受験に失敗した十六歳の青年と、アッケラカンとした巨乳のポルノ女優が繰り広げる、汗と性欲まみれのひと夏の経験。
家の離れで見た祖父と母親の近親相姦・二人で観に行った場末のピンク映画・裏ビデオに残っていた陵辱の二穴姦……『明君のお母さんと僕』『お向かいさんは僕の先生』に続く、青年と年上女性の性愛を描いた、柚木怜の叙情的官能小説、第三弾!
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