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どうして昨今のタイトルは長くなっているのか

――結論からいうと、「殿堂入りした言葉が増えてきて、短い言葉では差別化できないから」です。


人生は物語。
どうも横山黎です。


今回は「どうして昨今のタイトルは長くなっているのか」というテーマで話していこうと思います。


☆タイトル論part2


昨日に引き続き、タイトル論を展開していこうと思います。ありがたいことにいくつかコメントをいただき、タイトルに対する興味がどっと沸いてきました。


コメントの中でも指摘がありましたが、昨今の作品のタイトルは長くなっていると思います。キャッチコピーのようなタイトルが流行しているとのご指摘も。


それ自体は僕も感じていたことであるので、今回はタイトルの現状と僕なりに向き合ってみようと思います。特にリソースがあるわけではなく、僕はこう思うんだけど……という話ですので、是非コメント欄に感想や考察を残してくださればなと思います。



☆殿堂入りしたタイトルが増えた


いうまでもありませんが、「長くなってきた」という表現は「前は短かった」という意味を併せ持っているわけです。つまり、昔は短いタイトルが多かった。


時代と共に、タイトルの長さが長くなってきたのです。では、どうしてそのようなことが起きるのか、突き詰めていくと理由は1つに終息すると思います。


「差別化できないから」


最近は、一億総発信時代となり、作品を発信するプラットホームが増えました。本屋さんやCD屋さんだけでなく、ネット上に作品が溢れ返っています。作品の看板となるのはタイトルですから、是が非でも消費者の目に留まるようなキャッチ―なフレーズを考えるようになったのだと思います。


つまり、作品は無限にあるから差別化するためにタイトルを長くするようになったというわけです。


あまり明るくないけれども、ラノベの世界はそのイメージ。



しかし、僕が今回語りたいのはまた別の話です。結論からいうと、「殿堂入りした言葉が増えてきて、短い言葉では差別化できないから」です。


例えば、今から『鼻』というタイトルでめちゃくちゃ良い作品を書いたとて、芥川龍之介の『鼻』には勝てないじゃないですか。


音楽の世界でも、今から『糸』というタイトルの曲はつくれないじゃないですか。どんなに頑張っても中島みゆきには勝てない。


そんな風に、短いタイトルは既にイメージが固まっているものが多く、いくら磨きをかけてようと限度があると思うんですよね。身近で魅力的な単語ほど、既に誰かのものになっているので、差別化が難しいわけです。


だから、魅力的な単語を組み合わせて長くする必要に迫られるわけです。


僕もこの経験はあります。


以前、『秘密は夜に閉じこめて』という小説を書きました。「秘密」をテーマにした青春ミステリーです。「秘密」がテーマなんだから、ストレートに『秘密』でもいいわけですが、どう頑張ったって東野圭吾の『秘密』には勝てない。すぐにその案を排除しました。同じテーマを扱うはずなのに、そこから遠ざかるようにタイトルをつけようとした記憶があります。


最近はいつもそんな感じでタイトルを考えています。



☆席が空いている魅力的な単語はあるか?


溢れるように作品はあるし、殿堂入りしたタイトルが多くなってきたし、長いタイトルにしないと差別化できないよね、という話ではあるんですが、僕はそう簡単にあきらめたくありません。
#何と張り合っているんだろう


今さらではありますが、「そもそもタイトルで差別化をはかる必要はあるのか」という議論は抜きにして話を進めますね。



長いタイトルが主流な時代だからこそ、短い単語ではっとさせられるタイトルには大きな価値があると考えます。


短ければ短いほど、魅力は増します。


分かりやすいので最近の楽曲を例に挙げますが、『Lemon』は米津玄師のものだし、『猫』はDISH//のものだし、『香水』は瑛人のものじゃないですか。
#あれ少し古い?


タイトルが溢れ返る今でも、そこに魅力を見つけて、タイトルに掲げて、圧倒的な作品をつくって、差別化をはかることはできるわけじゃないですか。


そんなこんなで僕は、常日頃、タイトルになるような(作品を象徴できるような)単語を探しています。


僕の書いた小説でいえば1単語といえば、『ミント』や『メッセージ』が挙げられます。気に入っていないわけではないがですが、100%納得いっているわけではありません。探せばいくらでも出てきそうなタイトルです。




しかし、僕は既に「あ、これだ」と思うタイトルを見つけています。「人生は物語」がモットーの僕にふさわしく、圧倒的で、魅力的で、美しい1単語です。



『マスターピース』


最高傑作という意味です。



この単語をきいてぱっと出てくる作品はないのではないでしょうか? さらっと調べたら、「master-piece」というバッグブランドがあったり、SCANDALの曲があったりしますが、小説のタイトルにはなっていない模様。


一応、それをタイトルにして詩を書いたことがありますが、いずれ小説を書くつもりです。『マスターピース』を自分のものにできるように、圧倒的な物語を追求していけたらなと思います。


だからお願いです。


『マスターピース』という傑作が出てこないでください。みなさんも『マスターピース』という作品を書かないでください
#つべこべいわず早く書けって話


最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

【#286】20220412




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