伝えきれるなら作品は短いに越したことはない

長い物語にももちろん興味があるし、僕も書くときは書くし、これからも綴っていこうとは思っていますが、それでも、言いたいことを言えるなら短いに越したことはないですよね。

【#179】20211226


人生は物語。
どうも横山黎です。


作家を目指す大学生が思ったこと、考えたことを物語っていきます。是非、最後まで読んでいってください。


今回は「伝えきるなら作品は短いに越したことはない」というテーマで話していきます。



☆海に降る雪


ひょんなきっかけから、畑山博さんの『海に降る雪』という本を読みました。1980年に発表された本で、昭和時代の青春時代を描いた恋物語が展開されます。テレビの効果音をつくる仕事をする井岡裕一と、旅行代理店で働く今里塩子との二人の恋模様です。


話の中身自体は、特別目立ったものではありません。誰もが心当たりのあるようなものです。僕が生まれるよりずっと前のことなのに、懐かしさを覚えました。


恋に夢中になる青春の危なっかしさや尊さを教えてくれます。



☆心の琴線に触れるフレーズたち


僕が、この本に魅力を感じたのは、「心の琴線に触れるフレーズたち」です。僕好みの名フレーズがたくさん登場してきます。


たとえば、

「小さいときの記憶って、どうしてみんな、いつも、夕方みたいなのかしら」
(引用:畑山博『海に降る雪』)

めちゃくちゃよくないですか?

「思い出」って夕陽のように切なくて、儚くて、でも綺麗で、いつまでもそのなかにいたいと思わせますよね。個人的には、「過去」も好きだし、「夕暮れ」も好きなので、より響いたってかんじですね。



あとは、

「地球は、ドーナッツになりたいのよ。ドーナッツみたいな輪っかになりたいのよ。今の軌道をぜんぶ自分の身体でつなげて、覆ってしまわなければ悲しくてたまらないのよ。真暗な宇宙の中に、ドーナッツみたいな形でぷかって静かに浮かびたいのよ……でも、それがまだ足りなくて、必死にぐるぐるまわって、今は、場所とりだけをしているの」
(引用:畑山博『海に降る雪』)


とか。


もうさ、よく分からないけど、引き込まれるものがあるじゃないですか? 地球はドーナッツになりたいなんて僕は思ったことなかったけど、それこそ宇宙のように広く自由な発想からくるこのフレーズに胸打たれます。




☆きっとまだ見つかっていない表現がある


僕は、良い作品をつくることももちろんですが、同じくらい良いフレーズをつくることに興味があります。中学、高校とひたすら歌詞を綴っていたからかもしれません。あとは、俳句とかショートショートにも興味があるので。


「端的に、伝えたいことを伝え、かつオリジナルの世界観を展開する」



これって、実はめちゃくちゃ難しいことだと思います。長い物語にももちろん興味があるし、僕も書くときは書くし、これからも綴っていこうとは思っていますが、それでも、言いたいことを言えるなら短いに越したことはないですよね。


今回『海に降る雪』を読んで、ステキなフレーズにたくさん巡り会って、やっぱり短い表現物っていいなあって思いました。


ってなわけで、これからもそのあたりを意識しながら創作に向き合っていこうと思います。



☆お知らせ


最後にお知らせします。


今僕は、「新しい『桃太郎』を共同制作でつくろう」という企画を行っております。

よく知られている『桃太郎』は勧善懲悪の英雄譚だけれども、多様な価値観、生き方を受け入れられる人物、共に生きていこうと先導する人物こそ、今求められているヒーローなのではないか、そんな疑問から始まった物語です。


「共生」をテーマに、『桃太郎』を一緒に作り直してみませんか?


興味を持たれた方は、是非、下のマガジンを覗いみてください。


最後まで読んで下さりありがとうございました。
横山黎でした。



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