物語の「違和感」を失くせ!
――もちろん、本当にこだわったシーンならば、誰に何をいわれようとつらぬくべきだと思いますが、こだわりのない言葉、文章、表現にある違和感はできる限り取り除くべきです。
人生は物語。
どうも横山黎です。
今回は「物語の違和感を失くせ!」というテーマで話していこうと思います。
◆読んでいて感じる「違和感」
物語を読んでいると「ん?」って、つっかかることがあります。難しい漢字があったわけでも、意味の分からない言葉があったわけでもありません。ぱっと言葉が出てこないけど、違和感を覚えることがあるのです。
たとえば。
僕の友達の小説を読んでいたときにありました。それはタイムリープもののミステリー小説でした。フェイクニュースのせいでいじめを受けている主人公が、タイムリープできる懐中時計を拾って、時間を巻き戻し、自分を陥れた犯人に復讐するという物語。
テンポが良く、展開が目まぐるしく変わるので、比較的読みやすかったんですが、物語終盤、違和感を覚えたシーンがありました。
あんまりべらべらしゃべるのも気が引けますが、ネタバレをすると、犯人はある女子生徒で、自分が体育教師から凌辱されてその腹いせで「僕」を陥れたとのこと。で、物語は、「僕」が犯人である彼女を守るために動き出す展開になるんですが、その皮切りに、僕が彼女に口づけをするんですよ。で、彼女も彼女でまんざらでもなさそうな雰囲気。
もうね、このあたりを読んでいるとき、僕の頭の中は「?」でいっぱい。
演出のために、キャラクター達を動かしているような気がして仕方がありません。男子の心理的にも、女子の心理的にも、ここで良い雰囲気になることには違和感しかありませんでした。
で、僕は正直に、「あのシーン、ちぐはぐ観が出ていると思うんだよねー」と伝えました。それを読んで、作者であるその友達は、「男女の描き方は自分自身の経験が皆無ということもあって、人生の課題だなってことに気が付かされた」とのこと。
重要なのは「気が付かされた」ってとこです。
僕が違和感を覚えた箇所を、彼は不自然に感じていなかったのです。僕に言われて、気付いて、これからの課題だなっていう風に思ったわけですから。
作者が良かれと思って書いたことが、不自然じゃないと思って表現したことが、読者からすれば違和感でしかないという、看過できない現象が起きているのです。
◆違和感は読みを止める
もちろん、本当にこだわったシーンならば、誰に何をいわれようとつらぬくべきだと思いますが、こだわりのない言葉、文章、表現にある違和感はできる限り取り除くべきです。
違和感は、読者の読みを止めます。読者の頭の中に「?」を浮かべさせてしまったら、作者の負けです。
一応断っておきますが、これは、ミステリー小説における謎に対する「?」とは違います。今回議論しているのは、物語における違和感。「展開的におかしいでしょ」とか「このキャラクターにこの台詞はふさわしくないでしょ」とか。
そういったハテナたちは、読者の快読の妨げになるわけです。
じゃあ、違和感を取り除くためにはどうすればいいのでしょうか。簡単なことです。誰かに作品を読んでもらえばいいのです。
◆違和感を失くすために
かねてから何度も記事にしていることですが、僕はやっぱり小説は人に読ませるべきだよなあと考えています。
自分じゃ分からない、気付けない違和感を、他人はすぐに見つけてくれます。
僕がよく引き合いにだすのが、学校のテスト。
先生から「終わったら見返しをしろ!」と口酸っぱくいわれて、一応見返すわけですが、自分の解答用紙とにらめっこしても気付けることは多くありません。返却されて、「何でこんなところをミスっているんだ」と後悔するのがいつものことです。
同じように、自分が書いたものの違和感は、自分じゃなかなか気付けません。
誰かに読んでもらうこと。
そして、違和感を指摘してもらうこと。
その大切さを再認識したのは、昨夜のことです。
僕は今、自分の小説『メッセージ』を、noteのサークルでメンバーの方々とあれこれ語り合いながら再創作しています。昨夜は第3回のミーティングを開き、第2章について気付いたことや感想を共有しました。
「話し合ってよかった!」と痛感したのが、瑞月という20歳の女性が、祖母秋子の部屋で、亡くなった祖父について語り合っているシーンについて議論しているときでした。振り袖姿に着替えた瑞月が、秋子、そして仏壇に飾られた写真の中で笑う祖父に見せびらかしている場面です。
元々、こういう会話だったんですが、メンバーの方が指摘してくれたのが、「どっちが瑞月でどっちが秋子か分からない」とのこと。言われて確かに!ってなりました。
今回の話をまとめます。
物語の核に関わってこない細部にも違和感は宿るので、読者の読みを止めないためにも、「?」をつくらないためにも、そいつらを排除した方がいいよね。作者自身が見返しても気付かないだろうから誰かに読ませるといいよね。
という話でした。
ちなみに、まだサークル、無料招待できますので、興味を持たれた方は是非コメントしてください。ご招待します。
最後まで読んで下さりありがとうございました。
横山黎でした。
【#295】20220421 横山黎
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