半側空間無視へのアプローチ

こんにちは、理学療法士の「あらい」です。

 かなーり久々の投稿です。まちいろ新規プロジェクトも徐々に進行中!!通所型でのSTさん活躍モデルを作成中です。今までやったことないことってどうしてこんなに魅力的なんでしょう。ドキドキワクワクが止まりません(笑)

 さて、今日は主に脳卒中後の後遺症にみられる「半側空間無視」に対するアプローチと理解についてのお話

半側空間無視とは?

 体の半分が気づきにくくなる症状です。実際に目が見えないのかというとそういうわけではなく”見えています”だけど気づかない、そのため声掛けや促しを行えば時間はかかるけれど見えるし、気づけます。脳のダメージ部位によりますが多いのは左半側空間無視>右半側空間無視>両極性といった具合で左側が最も多いです。

 日常生活でも歩いていて左側にぶつかりやすい、食事時左側の食べ残しが多いなどがみられます。

半側空間無視のリハビリ

 メニューで多いのは左側への注意の促し(声掛け)、左半身の積極的な活用(反復)、感覚入力といったところでしょうか。繰り返し声掛けの中で積極的に使う環境や反復運動で注意を向けます。また左側への感覚が乏しくなってしまうため手足の先、末梢からの感覚入力は有効ですね。

 これらの技法によりある程度は注意が向くようになりますが、難しいのは生活レベルに落とし込んだ時です。運動時やリハビリの時は見落としがなくなっていてもいざ食事、排せつ、入浴となったときは声掛け・促しが必要となってしまったり、日常生活の中で100%自己の気づきを作るのは難しい部分もあります。それには環境因子が大きくかかわります。

環境因子と半側空間無視

 環境因子というのは実際に暮らしている環境や社会背景、家族構成まで含みます。食事1つとってもテレビを見ながらなのか、床に座ってなのか、イスなのか、物がたくさんある環境なのか、それぞれ人によって違うはずです。例えば右側にテレビがある環境でそれを見ながら食事をするとします。左側向けそうですか?きっと難しいですよね。仮に左側にテレビがおいてあったら違うかもしれませんが、このように食事1つとっても環境すべてが影響するため、場面場面で半側空間無視が現れたり消失したりします。ですので一番いいのは食事なら食事、入浴なら入浴と可能な限り”シングルタスク”な環境を作ってあげることです。しかし生活レベルでそれを求めるのは難しいのが現状、ですのでリハビリにおいてもある一定のレベルから”シングルタスク→デュアルタスク→マルチタスク”と切り替えてアプローチが必要になります。長い戦いにはなりますが半側空間無視なくせます。

半側空間無視おすすめリハビリアプローチ

さぁいよいよアプローチです。おすすめはストレッチポール

ストレッチポール?なんぞや?気になる人はググってください。なぜ半側空間無視にストレッチポールが有効なのか!?

半側空間無視の人はそもそも”認識”がずれています。人は無意識に自分の中心真ん中が分かるようになっていまが、半側空間無視の人はこの認識が非麻痺側側に寄ってしまうのです。

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右側にずれる理由として右の感覚優位な状態が続くためです。左側が不自由ゆえに不使用=感覚の低下(運動、表在、深部感覚)が生じ無意識に自身の中心領域が右側にシフトしていくのです。そしてこの状態が長く続けば続くほどずれは強くなり半側空間無視の症状も強くなるといったメカニズムになっています。

リハビリで左側を積極的に活用促すのはこういった理由からですね。

ストレッチポールの話に戻ります。通常であれば左側の手なら手、足なら足とアプローチが限局しますが、ストレッチポールならしっかり右半身と左半身、中心でわけながらアプローチが可能となっており、自身の中心を取り戻すうえで最適といえます。

はじめは乗るのも降りるのも介助で行いストレッチポール上で動作展開も分節的に行うのが安全です。不安定な支持面の中で左半身で支え、右半身の動作を促すのはずれによっては超高度ですので、安全に配慮しつつ行ってください。

ぜひ予想以上の変化が期待できますのでお試しあれ!最後にデイでストレッチポールを始めた脳梗塞後遺症Br-sⅡ-Ⅲ-Ⅱ左半側空間無視の人が塗った塗り絵をご紹介します。入院中と在宅のビフォーアフターです。

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作業的な塗り絵に意味はありません。ですが評価の視点、誰かに感動を届けるための塗り絵には大いなる価値を持ちます。

何もできないんじゃない、何も提供できない場を作ってしまっているだけです。感情失禁なんかありません感性が豊かなんです。T.Sさんの想いが色々な人に届きますように。

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