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上肢機能回復を諦めない5つのポイントー上肢・手の機能的役割から捉えるー

relief OTです。

私が回復期リハ病院で勤めている時に、
アウトカム:FIM利得
が求められるようになり、脳卒中後上肢麻痺の機能回復の優先順位が下がったり、介入機会が後回しになっていった印象を受けます。

今でも、回復期リハ病院で勤めている方は思い当たる部分もあるのではないでしょうか?
今回は上肢・手の機能的役割から、機能回復を諦めない5つのポイントをお伝えしていきます。

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上肢機能回復への介入悩んでいる
重度麻痺の方への介入意義に悩んでいる
上肢機能回復より日常生活動作訓練が重要と思っている
上肢・手の役割を知りたい
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

という方にオススメします♪
では、本題に入ります。

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1.上肢・手の機能的役割

上肢・手の機能的役割は様々な文献・参考書で多くの機能が言われています。

個人的に下記スライドに記してある内容で、重要なことはお伝えできると考えています。

5つの上肢・手の機能的役割
①支持・バランス  ②保護  ③到達・把握
④操作       ⑤表現

上肢機能回復を考える上で、5つのポイントのうちどれかは必ず当てはまるかと思います。

なぜ、今目の前の方の上肢介入を行っているか?
是非、一度振り返って考えてみて頂けたら嬉しいです。

では、ここから5つのポイントの詳細をお伝えしていきます。

2.支持・バランス

上肢・上肢帯は肩甲骨、鎖骨、上腕骨、橈骨、尺骨、手根骨をさします。
脳卒中後上肢麻痺の影響により、片麻痺といわれる後遺症が生じる場合が約49.3%と報告されています。

片麻痺の影響により、肩甲帯の位置に変化が生じるとしましょう。

人の上肢(腕)は片腕で、体重の約8%の重さがあると言われています。
体重が55㎏と仮定すると片腕約5㎏の重さになります。

上記の図のように肩甲帯及び上肢のバランスが均等であれば、身体にとって平衡は保ちやすいですが、片麻痺によりアンバランスが生じると身体にとって平衡が保ちにくくなることが容易に想像がつきます。

5㎏の上肢(腕)の平衡が崩れれば、左右どちらかにその分の重力が加わりやすくなります。

上肢機能回復には生活で麻痺手を使用するという側面だけでなく、
歩行や日常生活動作の場面においてバランス・平衡感覚を保ちやすくする、改善するという側面があります。

3.保護

上肢の構成に含まれる、手掌・手指は身体の部位の中で、感覚が2番目に鋭敏・敏感であると言われています(1番目に鋭敏・敏感な身体部位は顔面や口腔など)。


手掌・手指は探索器・感覚器としての機能を有し、外界のモノ・コトを判別してくれます。

そのため、熱い物を触れた時に「あつ!」と瞬時に判断して、保護伸展反応を惹起させたり、鋭敏な物に触れた時には「危ない!」と判断して、そのモノを避けようとします。

このように上肢・手指からの感覚を通して、身体を保護すること・守るという側面があります。

4.到達・把握

ここからは私たち療法士が上肢機能回復においてよく考える部分かと思います。

到達:reach、把握:graspと言ったりします。

物品を取ったり、操作するために到達:reach
物を掴んで、操作したり、扱うために把握:grasp
を日常生活の中で、多く行っています。

生活で麻痺手を使用するためには、到達・把握という要素が非常に重要であり、ほとんどの療法士がこの要素の機能回復のために介入をされているかと思います。

5.操作

操作は到達・把握した後に、物品を扱う作業になります。

操作に重要な要素は物品の形状に対して、把握をしっかり行えたり、持続的に物を把握するために筋発揮を行えたり、物品を持ちながら操作するための中枢部(肩甲帯や肩関節)の安定性や自由度が求められます。

6.表現

私たちは普段何気なく、身振り・手振りをしてコミュニケーションを取ったり、ジェスチャーなどで感情や気持ちを表したりしています。

つまり、上肢・手指の機能は表現する・コミュニケーション・伝えるといった側面をもちます。

また、操作の部分とも重複する部分もありますが、操作するということを通して、書字・タイピングなど文字・文面を通した表現にも寄与するかと思います。

上記5つのことから、私個人としては上肢機能回復の優先順位を下げたり、後回しにしたりすることはせず、その時の対象者の方の状況・状態に合わせて介入できたらと思っています。

多くの療法士さんは真摯に上肢機能回復に向き合われていると思いますが、この記事を読んで自身の上肢機能回復の向き合い方に不安を感じる方がいましたら、是非これから向き合い方を変えて頂く機会にして頂けたらと思います♪

ここからはその他の部分を有料にしてお伝えしていきます。

7.その他

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