父は子に殺されなければならない
父親は子どもに殺される、殺されなければならない、ということをご存知でしょうか?
泣きそうになったお父さん、大丈夫です。
本当に殺されるわけではなく、精神的に殺されるという意味です。
それはそれで辛いかもしれませんが、この『父親殺し』は子どもにとって、父子関係にとって必要なことなのです。
父親の役割を知って、良好な親子関係の形成を目指してみてはいかがでしょう?
父を殺して母と結婚した王様
『エディプスコンプレックス』という言葉をご存知でしょうか?
この『エディプスコンプレックス』という言葉、ギリシア神話の悲劇から名付けられた用語です。
この神話では、エディプスは自分の父親であると知らずに実の父親を殺し、自分の母親と結婚しています。
これは神話の話であり、この神話から名付けられた『エディプスコンプレックス』は精神分析の用語です。
精神分析の祖であるフロイトが提示しました。
エディプスコンプレックスとは、母親を手に入れようと思い、また父親に対して強い対抗心を抱くという、幼児期においておこる現実の状況に対するアンビバレントな心理の抑圧のことをいう。(Wikipedia)
エディプスコンプレックスは3〜6歳の男児が抱くとされ、フロイトによると良心・倫理観・理想を形成し、その後の行動を統制することになると考えられています。
女児にもエディプスコンプレックスがあると言われますが、男児とは異なり、愛情対象を母親(女性)から父親(男性)に変えるための過程であるとされます。
現代における父親殺し
本当に父親が殺されてしまえば困りますよね。
私も一児の父親なので、そうであるならば泣きそうです。
現代では許されることではない(昔でも許されない)ので、子どもは違う方法で父親を殺すことになります。
現代における『父親殺し』をわかりやすく解説した文章を引用したいと思います。
思春期の男子の特徴として、親の言うことに何かと反抗する傾向があります。特に父親の言うことには、頑なに反対してしまいます。このように父親に反抗し、対決し、父親との葛藤を乗り越えていくことが、「成長」の過程では不可欠となります。(樺沢紫苑:父滅の刃, P58)
そう、本当に殺されるわけではないので、安心してください。
子どもは父親との間で精神的な葛藤を抱き、それを乗り越えることで成長していきます。
つまり、父親は子どもが乗り越えるべき壁である必要があるのです。
大きな壁として立ちはだかる父親
とはいえ、現代では星一徹とか磯野波平のような『ザ・父親』みたいな父親は少ないですよね。
星一徹のアレは現代では虐待ですし。
では、現代での父親はどうあるべきなのでしょうか?
私自身もこれからずっと模索していくことになるとは思いますが、一番大切なのは常に子どもと向き合うことなんだろうと考えています。
父親は、子どもと向き合う。
父親は、子どもから逃げない。
父親は、子どもがぶつかってきたら受け止めなければならない。
必要以上に子どもに厳しく接する必要はないと思います。
父親だって子どもと仲良くしたいですから。
思春期になってしまえば一緒に遊ぶということは少なくなるかもしれませんが、子どもが小さいうちは本気で遊ぶことが大切だと考えます。
コテンパンに打ち負かす必要はないですが、「父ちゃんすげー!」くらいには思えないと、乗り越えるべき壁という存在にはなれません。
かけっこでも、ボール投げでも、テレビゲームでも、まずは父親は子どもが目指すべき存在、尊敬の対象になる必要があると思います。
そして成長に伴って子どもは少しずつ父親を越えていける。
一つ越えると、また次の目標が見つかる。
これを続けていくことが、子ども自身の成長に繋がっていくはずです。
父親は子どもが乗り越えるべき課題を提示し、子どもはそれを一つ一つ乗り越える。
これが現代における『父親殺し』ではないでしょうか。
まとめ
『エディプスコンプレックス』という精神分析用語を紹介し、『父親殺し』ということについて考えてきました。
『父親殺し』というとなかなか衝撃的な表現ですが、本当に殺されるわけではなく、子どもは父親の存在を乗り越えていくべきだということです。
そのために私たち父親は、子どもに規範を示し、乗り越えるべき壁でいる必要があります。
完璧な父親になることは難しいですが、少なくとも子どもがぶつかってくるときには真正面から受け止める。
人間関係が希薄になってきた現代だからこそ、父親くらいはまっすぐに子どもと向き合う存在である必要があるのではないでしょうか。
より深く学びたい方へ
引用した『不滅の刃』です。父親の役割、父性について、アニメや映画の分析を通して考察されています。『鬼滅の刃』も重要な位置づけで分析されています。
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