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この料理家のレシピが天才すぎる⑦タモリさん編/高山惠

 つねに痩せたいと思っていたので、ここ数年は1日1.5食がライフスタイルとなっていました。家族がそろう夕食は糖質制限しつつ、しっかり目に食べ、朝と昼はごく軽め。忙しい時は意図的に朝食も昼食も抜いて1日1食で過ごしていましたが、最近は思うところがあって食生活を変えています。 

【高山惠 プロフィール】
ライターとして現在は雑誌「DIME」「BE-PAL」(小学館)、「週刊プレイボーイ」(集英社)、他さまざまなWEB媒体で執筆。
フードコーディネーターの資格を取得し、「食」のコーディネートも行う。
この連載は、前回2022年6月期のシリーズ第2弾です。

 実は40歳半ばを超え、年齢のせいなのか何なのか、心身共にしんどいことが続くようになってしまいました。健康的な生活を取り戻すには、ダイエットなんかしている場合ではないのではないか。とりあえず自分の機嫌はできるだけ自分でとろう。そう考えたのです。 

10年前にテレビで流れたタモリさんのレシピ

 まずはじめたのは、これまで意図的に制限していた昼食で、なるべく我慢をしないこと。昼食は基本一人で食べることが多いので、家族のためではなく、自分が食べたいものを食べるようにしました。
 
 これまで私が昼食で我慢をしていたのはパスタやラーメン、そしてご飯……いわゆるダイエットに悪いとされる糖質です。毎日食べるのはさすがに体重増が怖かったので、手始めに1週間に2回くらいは解禁することにしました。そうすると好きなパスタやラーメン、ごはんが食べられるのがうれしくて「(自分のために)何をつくろうかな?」と考える楽しみができました。そんな日々を過ごす中、私はインターネット上で、ある言葉をみつけたのです。
 
「タモリ流おすすめ冷やし中華」
 
 タモリさんといえばかなりの料理上手として知られており、在りし日の『笑っていいとも!』などでは、たびたび美味しそうな自己流の料理についてお話されていました。この「タモリ流おすすめ冷やし中華」の出典先を調べてみたところ、2012年8月5日に放送された『笑っていいとも!増刊号』だそう。ちょうど今から10年前ですが、現在でもインターネットでその情報が出てくるのです。
 
 現在のところタモリさん自ら監修する自身のレシピ本は存在していないので、細かい材料やしっかりとしたレシピはほぼ明らかになっていません。分かっている情報といえば「キュウリの千切りと水を絞った辛めの大根おろしを使用し、味付けにはだしと醤油+みりん少々+熱したゴマ油をかける」のみ。まるで全農広報部さんのツイートのようです。
 
 とはいえ私、冷やし中華はあまり好きではありません。酢醤油の酸味が苦手なのですが、このレシピは酢醤油ではないので、直感的に「美味しそう!」と思いました。ぜひ自分のためのお昼ご飯に作ってみたくなったのです。

「タモリ流おすすめ冷やし中華」つくってみた

 冷やし中華の麺は、家にあった袋めん『マルちゃん正麺』を使いました。マルちゃん正麺は乾麺にもかかわらず、生麺のようなコシとなめらかさを楽しめる優れもの。茹でた麺をたっぷりの氷水で冷やし、できるだけぬめりをとって、きっちり水分を切りましょう。これを怠ると余計な水分が出て、ベチャっとなってしまいます。
 
 さらに私はキュウリの青臭さも苦手なので、千切りのキュウリを少量の塩で揉んで、青臭さを含んだ水分もできるだけ切りました。だしとしょう油とみりん少々を合わせるのも手間なので、麺つゆで代用。大根おろしも水分を切り、盛り付けたらアツアツのごま油をかけて完成! これはレシピにはないですが、仕上げに家にあった青ネギとすりごまもかけてみました。

▲『マルちゃん正麺』を使うと生麺のような仕上がりになります

 食べてみた瞬間、驚きました。私が今まで苦手としていた冷やし中華の概念を覆す美味しさ! 味の基本はめんつゆとごま油、そして大根おろしときゅうり、これだけなのにどうしてこんなに飽きがこない味なのでしょう……。本当に天才すぎるレシピです。途中ラー油で味変してもいい!
 
 ただこのレシピは子どもに出してもあまり食べてくれない可能性が高い気もしました。シンプルだけど奥深いこの味の良さがわかるには、もう少し時間がかかるでしょう。自分のためにつくる自分だけの昼食という小さい幸せを手に入れた私の、ささやかなレシピです。
 
(つづく)

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