見出し画像

天国に旅立ったスターたち➆~元阪神・横田慎太郎さん~

構成作家という仕事をして20年近くになります。これまで多くの著名な方々とご一緒する機会に恵まれてきました。中には、残念ながらその後、天国へと旅立たれた方もいらっしゃいます。
 
スターというのは、実際に会ってみると独特の印象をこちらに与えるものです。何かがキラリと違います。そこで、今回も僕に素敵な印象を残した“天国のスター”の思い出を綴ります。 

【構成作家T】
主にラジオやテレビの台本を書いている40代の構成作家。
趣味はスポーツ観戦。とくに野球が好き。カープファン。
この連載は、2022年5月以来の第2弾となります。

好青年!元阪神タイガース・横田慎太郎さん

間宮祥太朗さん主演のドラマ『奇跡のバックホーム』(朝日放送テレビ2022年3月13日)が放送されたこともあり、あまり野球に興味がなくても横田さんのことはご存じのかたも多いのではないでしょうか?
あのドラマで間宮さんが演じた役が、元阪神の横田慎太郎さんです。

▲こちらは原作本の表紙(幻冬舎)

横田さんが、僕の担当する番組に出演してくださったことがありました。すでに現役を退かれ、故郷・鹿児島からのリモート出演でした。
 
本番前、回線チェックのため横田さんの姿が映し出されると、やはり現役時代と比べて少し細くなったかなという印象を受けました。しかし、柔和な表情の中にもアスリート特有の眼光の鋭さが感じられ、そこは勝負師の姿が残っています。
 
ディレクターとのやりとりを見ていると、話し方や言葉選びはまさに“好青年”を絵に描いたような感じ。
「きっとご両親の育て方が良かったんだろうなぁ」
隣にいたスタッフと、そんな会話を交わしたのを覚えています。
 
2023年7月18日。
横田慎太郎さんは脳腫瘍で28歳という若さで旅立ちました。
 
あまりにも早すぎます。人生に“たられば”はありませんが、もし病気になっていなければ、横田慎太郎という男は球界を代表する選手になっていたことでしょう。そして、日の丸をつけてプレーをしていたに違いありません。

彼の引退試合では奇跡が起きました。
外野を守る横田選手は脳腫瘍の影響で視界がぼやける中、センター前ヒットを捕球すると、すぐさま矢のような送球で本塁生還を阻止したのです。
それは誰もが称賛するファインプレー。
横田選手はこう語っています。「最後にまさかこんなに素晴らしい思いが出来るとは夢にも思いませんでした。今まで辛い思いをしてきたこともありましたが、自分に負けず、自分を信じて、自分なりに練習してきたので、『神様は本当に見ている』と思いました」
あなたの“奇跡のバックホーム”、一生忘れません。

そして去年9月、阪神タイガースが18年ぶりの“アレ”を決めた試合。
9回のマウンドに上がる岩崎優投手は、ドラフト同期である横田さんがバッターボックスに向かう時に使っていた曲『栄光の架橋』をバックに登場しました。
そのシーン、他球団のファンながら僕は鳥肌が立つほど感動しました。
つくづく仲間に愛されていた選手だったんだと熱いものがこみ上げてきましたね。
 
次回も天国にいるスターを振り返ります。おつきあいください。
 
(つづく)

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?